サステナビリティ
統合レポート2022

サテライトグロース戦略
と経営基盤強化
(非財務)

新中期経営戦略の枠組整理と重要テーマ

重要テーマ15Gを中核とした
サテライトグロース戦略


新中期では事業戦略を「サテライトグロース戦略」と位置付けました。本格化を迎える5Gをセンターに置き、通信事業の進化と、通信を核とした注力領域を拡大していきます。
成長のカギとなる5Gでは、あらゆるシーンに通信が「溶け込む」ことで、多様なパートナーとともに、新たな価値が生まれる時代を目指します。5つの注力領域として、[1]DX (デジタルトランスフォーメーション)、[2] 金融、[3]エネルギー、[4] LX (ライフトランスフォーメーション)、[5] 地域共創(CATV等)を定義し、通信を核としてシナジーを発揮することで、新たな領域の成長を加速します。

重要テーマ2パートナリングとテクノロジーに
よる通信を核とした成長領域の拡大


通信が溶け込む時代、KDDIの強みである5Gや長年培ってきたノウハウやパートナリングを活用し、既存事業の深化とそれと関連した事業でのシナジーを最大限発揮することにより、新たな成長を目指します。
DXでは、5Gを中核にグループアセットを活用し、事業を通じて人々の暮らしがトランスフォームされていく好循環を目指します。
金融ではプラットフォームサービス提供によるBtoBtoX型の事業展開、エネルギーはデータ活用によるVPP事業等の事業展開、LXはライフデザインの次の形として、ライフスタイルをトランスフォームしていくという思いを込め、5G浸透とテクノロジーの進化で生活体験・行動を革新、地域共創はデジタルデバイド解消を推進します。

  • Virtual Power Plant:分散された太陽光や蓄電池などのエネルギー源をICT等を活用し、一つの発電所のように制御する技術

5G通信

エリアの拡大と新たな価値提供

基盤となるエリア構築は、より多くのお客さまに5Gを快適にご利用いただけるよう、生活動線に沿ってエリアを強化していきます。また、全国エリアカバーも拡大することで、デジタル田園都市国家構想の政府目標にも貢献していきます。さらに、5Gではスタンドアローン (SA) の本格化とともに新たな価値提供の場が拡大します。ネットワークスライシングによりユースケースに応じた安定通信が可能となり、オープン化や仮想化によりネットワーク運用にも進化がもたらされます。諸外国に後れをとっていた5G導入ですが、テクノロジー、利用シーンともに積極的に取入れ、Beyond 5Gも見据えていきます。


5Gテクノロジーの進化

5G SAの本格化とともに新たな価値提供の場が拡大


5G SA活用事例(ソニー株式会社)

©CAPCOM CO., LTD. 2016,
2020 ALL RIGHTS RESERVED.


ネットワークスライスを活用し「どこでもエンタメ体験」を共創


5G エリア構築

生活動線に沿って強化、全国エリアカバーも政府目標に貢献


お客さまの生活動線に沿ったエリア
データトラフィックが大きいエリアを分析・予測し、効率的に構築


全国エリアカバー
デジタル田園都市国家構想の5G人口カバー率目標(24.3期95%)に貢献


マルチブランド通信ARPU収入増

5G契約数の浸透率は中期目標として80%を目指し、マルチブランド通信ARPU収入は25.3期に22.3期比増を見込みます。ARPUの最大化に向けてはKDDIの強みである、パートナリングによるサービス拡充と5Gならではの体験を提供していきます。エンターテインメントをリードする各種サービスを、安心のデータ使い放題とともに高精細な映像とリアルタイムなサービスでお届けしていきます。


5G契約浸透率
※パーソナルセグメントベース


マルチブランド通信ARPU収入
※パーソナルセグメントベース


注力領域(DX、金融、エネルギー、LX、地域共創)で目指す姿と各領域の取り組み

DX

注力領域の成長の中心は、DXの「法人事業」です。ビジネスセグメントを通信に次ぐ第二の柱として、グループ連結営業利益における比率を約2割規模まで高めていきます。NEXTコア事業は売上高のCAGR二桁成長を目指します。そのために、通信が溶け込む時代にグローバルパートナーと長年培った安心の運用・保守管理体制という強みを活かし、5GとDXにより、パートナーとともに新たな価値を創造していきます。
将来的には、通信の運用やコンシューマ事業で培ったID管理、決済、データ分析等の豊富なアセットに加え、5Gネットワークスライシングによる帯域保証を組み合わせ、業界毎に適したソリューション事例をセットし、お客さま企業のDXを加速していきます。また、国内でのDX成功モデルを、国内外一体となった営業体制をベースに、グローバルにも展開していきます。


[売上高]
DX 推進によりNEXTコア事業が事業成長を牽引


[営業利益]
ビジネスセグメント全体でCAGR二桁成長



お客さま企業のDXを加速

ビジネス創造をサポートする業界毎のプラットフォーム提供を目指す


金融

金融事業は、売上・営業利益のCAGR二桁成長を目指します。成長ドライバーとなる住宅ローンやクレジットカード会員数を中心に拡大し、加えて、金融グループ内の幅広い機能やサービスの連携・クロスユースを推進していきます。将来的には、auフィナンシャルグループのBaaSの提供基盤を非金融事業者様にご利用いただき、その先の顧客や従業員、出店者等へ提供することで、BtoBtoXサービスを展開し、事業領域を拡大します。通信同様、あらゆるサービスに金融サービスが溶け込んでいくことで新たな付加価値の提供を目指します。

  • BaaS:バンキング・アズ・ア・サービス

金融クロスユース

グループ内の幅広い金融機能の連携


クロスユース施策例


エネルギー

収益の安定化とお客さま基盤の拡大により、中期において売上高CAGR二桁成長を目指していきます。新たなカーボンニュートラル関連事業にも進出します。再生可能エネルギー(再エネ)発電に加え、再エネ拡大による需給バランスの不安定化に対し、VPP事業の推進により需給調整力を強化していきます。


カーボンニュートラル関連事業

事業を通じて社会のカーボンニュートラルへ貢献


再エネ発電
基地局等に太陽光パネルを設置、パートナーとさらに拡大


再エネ拡大を支える需給調整
蓄電池の設置等、VPP事業拡大に必要な取り組みを推進


LX

将来を見据えた事業モデルの創出に向け、生活者目線に立ったLXテクノロジーに注力し、LXでは、多様化が進む消費・体験行動に革新をもたらし、ワクワクする未来社会を創造します。メタバースでは、ユーザー同士が直接、コンテンツの所有や共有が可能となるWeb3.0時代に向けて地方自治体と連携した都市連動型メタバースであるバーチャルシティを通じ、地域社会や経済の活性化を図り、誰もが自分を表現できる空間を創出します。
衛星通信では、スペースX社の衛星通信サービスStarlinkによって、あらゆる場所に高速通信を行き渡らせることで山間部や離島においても都市水準の通信品質を提供します。ドローンでは、モバイル通信を搭載したスマートドローンや運行管理システムを開発するとともに、先進的な実証実験や導入事例を積み重ねることで、未来社会の新たな体験創出に貢献してまいります。


Life Transformation(LX)

将来を見据えた事業モデルの創出に向け生活者目線に立った技術領域の研究を推進



LXによる価値創出

Web3.0/NFT
自律分散型のWeb3.0時代に向けて取り組みを加速


メタバース
Web3.0時代の新たな価値提供プラットフォームを展開


地域共創

地域社会が抱える課題に向き合い、地域共創を実現していきます。中期累計1,500万のデバイド解消に取り組みます。



オンデマンド交通
地域の皆さまと最適な移動を共創


スマホ教室



経営基盤強化

事業戦略の推進と、それを支える経営基盤の強化により、パートナーの皆さまとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指します。ここでは経営基盤強化に向けた取り組みについて紹介いたします。


カーボンニュートラル

KDDI単体で2030年度までに自社の事業活動におけるCO2排出量実質ゼロ実現を目指します。加えて、TELEHOUSEブランドで展開している全世界のデータセンターにおいては、2026年度までにCO2排出量実質ゼロ実現を目指します。また、KDDIグループ全体では2050年度までにCO2排出量実質ゼロを目指します。
これらを達成するために、インフラシェアリングを進め、5Gエリアの効率的な構築、基地局AI 制御やデータセンター液浸冷却等を活用した省エネに取り組みます。
またKDDIは2022年7月1日付でauエネルギーホールディングス株式会社を設立しました。再生可能エネルギー利用への切り替えにも戦略的かつ積極的に取り組み、KDDIグループ全体での国内の脱炭素実現への貢献を図ります。


目標達成に向けて

カーボンニュートラル目標


省エネルギーの取り組み


人財

KDDI版ジョブ型新人事制度、社内DX、働き方改革の三位一体改革を次のフェーズに進めることにより、人財ファースト企業への変革を推進します。
さらに高い専門性を持った人財の育成を推進するため、「KDDI DX University」の活用によるプロフェッショナル人財の育成と全社員のDXスキル向上により、注力領域への要員シフトも実行します。
DX人財の拡大により、お客さまやパートナーと連携した新規ビジネスの創造、および自社の事業変革を推進します。
KDDIは、通信を軸にお客さまや社会と継続的につながり、付加価値を生むDXを推進し、5Gを活用した新規事業の創出や非通信事業の強化により、社会課題の解決やビジネスの変革を加速していきます。


人権尊重

KDDIグループは、全ての事業活動が人権尊重を前提に成り立つものと認識し、「KDDIグループ人権方針」を定めています。人権尊重の責任を果たすため、さらに取り組みを加速させるべく、2022年10月に「KDDIグループ人権方針」を改定しました。
新重要課題(マテリアリティ)においては、提供価値のひとつに「人権の尊重」を掲げ、KDDIグループ人権方針の遵守によってあらゆる事業活動において人権を尊重するとともに、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、人権デューデリジェンスの取り組みにおいて、グローバル企業に求められる人権課題を明確にし、施策の検討に反映させています。
特にミャンマー事業について、ミャンマーの人々の生活や経済活動に欠かせない通信サービスの提供をサポートしていることは、人権尊重を図るという観点でも、プラスの影響があると信じています。そのために、第三者の専門機関による人権デューデリジェンスを継続的に実施し、国際的な人権規範にのっとり対処しています。事業運営上の人権リスクについての評価は今後も継続的に実施します。


コスト効率化

中期1,000億円規模のコスト効率化を目指します。技術関連では、5Gエリア構築を加速する中、インフラシェアリング推進や先進技術活用を進め、投資水準の適切なコントロールをしていきます。また、営業体制の変革、販売チャネルの効率化にも取り組みます。


グループガバナンス

サテライトグロース戦略の推進に伴いグループ会社が増加し、事業が多様化しています。グループ全体でシナジーを発揮し成長していくためにもCFO人財の育成・支援体制を強化し、シ ェアードサービスの活用やモニタリング体制を確立することでリスクマネジメント体制を強化します。またグループ間データ連携へ向けた整備やプライバシーガバナンス体制を整備することで情報セキュリティの強化も行います。


リスクマネジメント・情報セキュリティ体制を強化