つなぐチカラ
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社会インフラ
宇宙から「ずっと、もっと、つなぐぞ。」の実現。
衛星通信プロジェクトが始動。
KDDIは半世紀以上にわたって日本の衛星通信サービスの一角を担ってきた。そして2021年、次世代の宇宙ビジネスをけん引するスペースX社の衛星通信サービス「Starlink(スターリンク)」を活用するプロジェクトを始動。5G時代の新たな高速通信を日本の隅々にまで行き渡らせるため、KDDIの新たな挑戦が始まっている。
世界中に高速通信を届ける「Starlink」
Starlinkは、イーロン・マスク氏がCEOを務めるスペースX社が手掛ける衛星通信サービス。「Starlink」の通信衛星は、高度約550kmの低軌道上に配置されており、従来の静止軌道衛星に比べて地表からの距離が65分の1程度と大きく近づくため、大幅な低遅延と高速伝送を実現しています。
衛星通信に取り組んで50年越えの「KDDI」
KDDIは、1963年に世界初の太平洋横断テレビ中継受信に成功して以降、50年以上にわたり、災害時の臨時通信や船舶・航空機向け通信、国際映像伝送など、日本の衛星通信のパイオニアとして、国際通信の発展に貢献してきました。
KDDIの衛星通信の歩み
KDD茨城衛星通信所
通信は、あらゆるヒト・モノをつなぎ、高速化を図ることで、社会に対し、さまざまな変革や便益をもたらしました。しかし、山間部や離島では、高速通信を担う光ファイバーが敷設できず、その恩恵が受けられないエリアも残されています。KDDIとスペースX社は“bring urban mobile experience to rural customers(都市部のお客さま体験を地方部にも)”というコンセプトを両社で共有のもと、50年以上にわたって培ってきたKDDIの衛星通信技術・経験と、Starlinkの最新の高速衛星通信を活かすことで、そういった課題に対して解決を図ろうとしています。
つながりづらい場所に高速通信を届け、
「ずっと、もっと、つなぐぞ。」の実現へ
KDDIは2021年9月、衛星通信サービス「Starlink」をau基地局のバックホール※回線に導入する契約を締結しました。光ファイバーを敷設できず、既存の衛星回線などでつながっている基地局のバックホール回線をStarlinkの衛星通信に置き換え、高速化することで、これまでサービス提供が困難とされていた山間部や離島においてもauの高速通信をご体験いただけるようになります。Starlinkを活用し、いつでもつながり続ける安心をお届けするとともに、デジタルデバイド(情報格差)の解消に努めていきます。
※バックホール:携帯電話の基地局と基幹通信網(コアネットワーク)を結ぶ中継回線のこと
都市と変わらない高速通信を実現
KDDI山口衛星通信所に、Starlinkの通信衛星と地上のインターネット網を接続する地上局を構築
「つながる」と、どんな未来がやってくる?衛星通信 編
あらゆる産業に通信が溶け込み、人々の生活基盤が「つながる」中、今後の衛星通信の役割・重要性とは?
あらゆる生活シーンに通信が溶け込み、人々の生活基盤において通信の存在が前提となる中、5Gや光ファイバーを含む高速通信のエリア整備が進む都市部と、未整備エリアが残る山間部や離島などの地方部とのデジタルデバイドが課題となっています。その課題に対し、衛星通信の広域性・設置個所の汎用性、災害耐性といった特徴が地方部における快適な通信環境の確保に寄与し、デジタルデバイドの解消に対して非常に重要な役割を持つと考えています。
業務提携の相手にスペースX社を選んだのはなぜか?
昨年業務提携を発表したスペースX社をパートナーに選んだ理由は、彼らが全世界で提供する高速衛星通信サービス「Starlink」のポテンシャルへの高い期待からです。「Starlink」は従来の衛星通信と比べて大幅な低遅延と高速伝送を実現可能な革新的な衛星ブロードバンド通信であり、50年超の衛星通信の歴史と実績を有するKDDIの衛星通信技術とのシナジーにより、新しい価値創造が可能と考えたため両社での業務提携に至りました。
高速通信が可能に
今回のパートナリングで大変だった点や刺激を受けた点は?
- 非静止衛星との接続は前例のない取り組みであったため、技術要件の作成については苦労しました。
- 創業者のイーロン・マスクが何度も失敗しながらも10年近くかけてファルコンロケットの打上げに挑戦して遂に成功させたというスピリッツを持っており、大変粘り強い会社です。そこに刺激を受け、前例のない取り組みでも粘り強く検討を進めました。
あらゆる場所がつながるようになると、どのような未来や社会が実現する?
山間部や離島など、いままで光ファイバーの敷設が困難で、通信環境を確保することが困難であった地方部においても高速・低遅延の快適な通信環境が確保でき、情報通信技術の恩恵を受けられるようになることで、都市部と地方部のデジタルデバイドが解消された社会が実現できます。
衛星通信における今後の展望は?
Beyond 5Gにおける宇宙ネットワークと地上系ネットワークのシームレスな連携・接続です。既存のセルラー網でカバーしていないエリアを衛星通信でカバーすることで、あらゆる場所・地域での切れ目のない通信サービスの提供が実現されます。
副本部長 河合 宣行
2011年山口衛星通信センター長、2020年グローバル技術・運用本部副本部長。
2021年技術戦略本部副本部長(兼務)。
衛星通信関連のITU-Rの標準化についても日本代表として活動(2019年
世界無線通信会議(WRC-19)第5委員会(COM5)議長)。
モバイル通信を搭載した「スマートドローン」で社会課題を解決し、快適な暮らしを実現する。
「有人地帯における補助者なし目視外飛行(レベル4飛行)」の法施行を目前に控え、ドローンの社会インフラ化に対する期待がさらに高まる中、KDDIグループはドローンの社会実装とドローンを活用した社会課題の解決に向けた取り組みを加速しています。
ドローンを社会のインフラに
2016年からドローンの事業化に向けた取り組みを進めてきたKDDIは、モバイル通信を搭載したスマートドローンや、安全な遠隔飛行・長距離飛行の実現に必要不可欠な運航管理システムを開発し、先進的な実証実験や導入事例を積み重ねてきました。2022年4月には「KDDIスマートドローン株式会社」を設立。「叶えるために、飛ぶ。」をミッションに、ドローンが自律飛行し、人の暮らしや働き方がより快適になる社会の実現を目指しています。
自治体・企業との共創で地域の課題を解決
KDDIスマートドローンは地方自治体や企業と連携し、ドローンの活用による社会課題の解決を図っています。2020年8月には、長野県伊那市にて全国初の自治体運営によるドローン配送サービスを開始。
住民がケーブルテレビを活用して注文した日用品などをドローンで配送し、買い物が困難な中山間部の住民や高齢者の方々をサポートしています。また2021年10月と2022年2月には、都市部の有人地帯において、食品や医療品をドローンで輸送する実証実験を実施し、実生活に近い運用性・ビジネス性の検証を行いました。
スマートドローンで支える未来
技術革新は、スマートドローンの可能性を大きく広げます。KDDIスマートドローンは、今後のさらなるサービス向上の取り組みとして、スペースX社の衛星通信サービス「Starlink」によるauネットワークの拡充により、山間部と離島におけるスマートドローンの活用を目指しています。また、グループ企業のPRODRONEとは、空を飛び水中に潜ることが可能な世界初の「水空合体ドローン」の開発を進めており、スマートドローンの活躍の可能性を水中へ拡げています。
KDDIスマートドローンは今後も、企業・自治体・スタートアップの皆さまとともに、スマートドローンの活用の拡大と実用化に取り組み、ドローンを通じた社会課題の解決と社会の持続的な発展に貢献していきます。
代表取締役社長 博野 雅文
2004年KDDI入社。WiMAX基地局の開発業務を経て、長くセルラーネットワーク構築に関わる企画・開発業務に従事。2016年10月よりセルラーネットワークを活用したスマートドローンの事業化を推進。2022年4月に現職に就任。