サステナビリティ
統合レポート2022

マテリアリティ 1

通信を核とした
イノベーションの推進

提供価値(2)
サステナブルな産業・
インフラ環境の実現

お客さま視点のDXが地域や産業に革新的なソリューションを提供し、持続可能な産業・インフラ環境を実現していく

取締役執行役員副社長
ソリューション事業本部長
森 敬一

コーポレートDXによる課題解決の機会

人々の生活や働き方はコロナ禍を契機に大きく変化しました。ニューノーマルは、これまでの価値観を刷新し、社会課題の解決を一層加速させると確信しています。KDDIは、お客さまの働き方DXを推進することで、場所や時間を問わず、より高い生産性で仕事ができる労働環境の構築を目指しています。5Gやゼロトラストソリューションにより、離れた場所を安心・安全に結び、どこにいても情報格差なく、オンライン上でチームを組んでプロジェクトや開発を滞りなく進められる環境は、子育てや介護との両立などの社会課題解決や通勤時間の有効活用にもつながります。経済活動が都市部に偏り、消費者も同様に集中している現状に対し、特に人口減少の進む地域においては、地域を起点とした働き方を推進することで、その地域の産業振興や活性化をもたらすような好循環を生み出すことが期待されます。

DX・IoT領域で積み重ねた知識やノウハウとパートナー企業との協力関係

サステナブルなDXを推進する上で、KDDIの強みは3つあります。1つめはケイパビリティです。DXに関する知識やノウハウ、高い技術を持った人財を多数擁しています。2022年7月には、KDDIグループ各社の知識やノウハウをつなぎ、お客さまのDXを支援するDX専業の「KDDI Digital Divergenceグループ」が始動しました。クラウド、アジャイルをはじめDX推進に必須となるケイパビリティを持つ事業会社を立ち上げることで、DX支援・開発を強化します。2つめは、IoT領域の豊富な知見です。現場に適したセンサーの選定、データの収集・分析など、20年にわたる取り組みから知見を深めてきました。3つめはパートナリングです。当社は全世界600社以上の通信事業者と強い協力関係にありますが、クラウド、流通、マーケティングなど専門分野を持つパートナー企業と協働することで、社会課題の解決やビジネスの変革を後押ししていきます。
また、DXの推進にはテクノロジーだけではなく、ビジネスモデルそのものを革新していく発想が不可欠であることから、2020年に社内に設立した「KDDI DX University」を通じて、DX人財の育成にも力を入れています。

DXで人はより付加価値の高い業務にシフトしていく

IoTは産業を支えるビジネスDXの根幹です。センサーや端末を通じてIoTにより収集されたデータをAIが精査・分析することで、人は意思決定や長期的なプランニングなど付加価値の高い業務に注力することが可能になります。たとえば農業分野では、点在する数十ヵ所の田畑を歩き回り3時間かけて水位や水温を確認していた農家さんが、IoTの導入により、自宅にいながら天候や田畑の状態を瞬時に確認できるようになり、業務効率化・収益増加につながった事例があります。このように地域の産業や一次産業をIoTで革新していくことも私たちの大きな役割です。さまざまな「つなぐ」をデジタルで支え、離れた場所とのコミュニケーションをより強固にしていくことで、KDDI VISION 2030で掲げる「誰もが思いを実現できる社会」に向けて、社会や環境に貢献する持続可能な産業・インフラ環境の実現を目指していきます。


提供価値(2)

サステナブルな産業・インフラ環境の実現

[ サステナビリティ中期目標(23.3期-25.3期) ]

産業・インフラDXに貢献する
IoT回線数
4,400万回線
ゼロトラストソリューションの
導入率
35
5G人口カバー率政府目標(24.3期)
95%への貢献
重大事故発生件数
0
  • 総務省の事故報告判断基準ガイドラインに準ずる

[ 具体的な取り組み ]

  • 多様な働き方を支援するコーポレートDX
  • 5GやIoTによりビジネスに変革をもたらすビジネスDX
  • 革新的な発想を持つDX人財の育成

[ 強み ]

  • 通信基盤、DXの知見、ノウハウ、人財等の多様なケイパビリティ
  • IoT領域のトップランナーとして積み重ねた実績・経験
  • 多様な専門分野を持つパートナー企業とのビジネス共創

[ リスク ]

  • 事業拡大による研究開発費や調達コスト等の増加
  • 世界情勢の不安定化

[ 機会 ]

  • 多様なパートナー企業とのコラボレーションによる新規事業の共創
  • 作業の効率化や自動化、遠隔操作などによる労働人口不足や後継者不足の解決

[ 社会課題 ]

過疎化、少子高齢化、労働人口減少、コロナ禍での生活スタイルの変化や働き方改革への対応


IoT累計回線数の増加

KDDIのIoT累計回線数はコネクティッドカーや電力・ガス・スマートメーター等、社会インフラとグローバルの領域で強みがあります。そうした重要インフラでの活用について約20年の運用実績・保守管理体制を有していることも強みです。

IoT累計回線数はKDDI単独で2022年6月に2,600万回線を突破するなど順調に拡大しており、国内ではトップシェアとなります。
中期的にも25.3期に4,400万回線を目指す等、通信その他の社会インフラ・つながるクルマに対して、革新的なソリューションを提供することで、サステナブルな産業・インフラ環境の実現に貢献していきます。

海外においては、ローカライズとグローバル標準の最適な組み合わせにより、支援範囲はコネクティッドカーに留まらず、お客さまの海外拠点のDXや、幅広い産業へのプラットフォーム提供など、大きな拡がりを見せています。

今後、新たな付加価値をさらに生み出していくために、さまざまな業界ごとのプラットフォームを提供し、お客さま企業のDXを加速していきます。

KDDI 「IoT世界基盤」

ローカライズからグローバル標準までさまざまなニーズに対応


強みを生かしたDXの展望

通信が溶け込む時代に最適な運用管理ノウハウをさらに進化


Jパワーと共同で、全国約40ヵ所の電力設備ドローン点検実証を実施

電源開発株式会社(以下 Jパワー)とKDDIは、全国に点在するJパワー保有設備のドローン点検実証を、水力発電設備約40ヵ所を皮切りに、2021年11月1日から順次実施しています。ダム、配電線、建屋などの電力関連設備をドローンで撮影、三次元モデル化し、設備異常の自動検出や経年劣化状況の解析といった技術を用いて、作業効率化、既存の点検作業との精度の比較や代替可能性などを検証します。

Jパワーは、これまで電力設備点検の安全性向上や作業時間・コストの削減に向け、送電線・架空地線自律撮影技術を使った送電設備点検ドローンの技術開発など、ドローン利活用推進に取り組んできました。その取り組みの中で、2020年9月からKDDIと共同で、風力発電設備においてドローンのオートフライト機能(自動飛行機能)を活用したブレード(風車の翼部分)点検実証を実施し、点検時間を従来の10分の1程度に短縮することに成功しました。2021年5月以降、67基の風力発電設備を対象としたオートフライト機能を活用したドローンによるブレード点検をすべて完了し、23.3期はさらに対象を拡大して点検を実施しています。

KDDIは、ドローンが日常生活を支えるインフラとして、物流・監視・農業などのさまざまな分野で活躍する社会の実現に向け、4GLTEなどのモバイル通信でドローンを遠隔制御し、安全な長距離飛行を実現するスマートドローンプラットフォームを開発・提供しています。
今回の全国点検実証後も、Jパワーの電力設備点検技術と、KDDIのドローン飛行・運用技術を組み合わせ、水力発電、火力発電、風力発電などの電力設備のドローン点検への取り組みを推進していきます。


ドローンで撮影したデータから三次元モデル化した例:糠平発電所

IoTを活用したスマート漁業・農業の取り組み

KDDIは、全国各地でIoTの活用による漁業・農業の課題解決に積極的に取り組んでいます。

漁業・農業は長年の経験や勘による作業が多く行われており、また、海や水田などの状態変化を直接確認しに行くなど、従事者の負担が大きいことが課題にありました。IoTの活用により、海や水田の状態を現地に行くことなく手元のスマートフォンやタブレットで確認できるなどの作業効率化やコスト削減、収穫の安定化・品質向上を実現し、経験や勘をデータで見える化することで未経験者や若者の漁業・農業への就労機会拡大が期待できるなど、さまざまな課題解決に貢献しています。


京都府舞鶴市毛島沖に設置されたスマートブイ
兵庫県豊岡市の水田に設置された農業センサー

新たな価値の創造に向けたDX体制の整備とリソースの拡充

2022年4月、KDDIはDXのソリューションを一気通貫でご提供できる体制を整備するため、ビジネスDX・開発関連部署を垂直統合し、DX推進本部を新設しました。
また、2022年5月には、中間持株会社「KDDI Digital Divergence Holdings株式会社」を設立しました。DXの専業体制を構築することで、お客さまのDXをスピーディに支援し、グループ会社の効果的な連携を実現するとともに多様な外部DX支援企業との事業提携も拡大、グループDX事業全体の価値最大化を実現します。


「KDDI Digital Divergence Holdings」を設立


2022年7月1日時点の体制