「つなぐ」を支える
人的資本

「つなぐチカラ」の進化で目指す未来
image

あらゆるシーンに通信が溶け込んでいく社会で、KDDIが通信とさまざまな産業をかけ合わせて新たな価値を生み出していくためには、KDDIグループ内外の組織や人、そしてそこから生まれた多様性を「つなぐチカラ」で進化させていくことが重要です。KDDI VISION 2030に向けた「人財ファースト企業」への思いを、菱田人事本部長に聞きました。


執行役員
コーポレート統括本部 人事本部長
菱田 直人

多様性とともに歩んできた歴史

お客さまへの驚きを超え、感動をお届けするサービスを生み出し続けてきたKDDIの根底には多様性が常にありました。
2000年、次世代携帯電話サービスの開始を前に、DDI、KDD、IDOが集結し、KDDIが発足しました。「総合通信キャリアとなり、NTTに対抗する」という旗印に集まったこの3社は、異なる組織文化を持ち、多種多様なバックグラウンド、価値観と個性を持つ人財が所属していました。そして、その後もさまざまな組織文化を持つ企業の統合を経て、今日に至ります。
多様性あふれる状況下において、当社は多様性を「組織のチカラ」へと還元させ続けてきました。「着うた」「LISMO」等の業界初の画期的なモバイルWEBサービスの展開、「INFOBAR」などのデザインケータイ開発は、さまざまな専門性を持つ人財が異なる意見と卓越した技をぶつけ合うことで実現できたのです。
現在では、スタートアップ企業への出資やパートナー企業とのコラボレーションにより、KDDIに関わる人財が持つ個性と専門性を取り入れながら、オープンイノベーションを加速化させるとともに、多様性を進化させています。これらの成功要因は、「KDDIフィロソフィ」を掲げることで、多様な人財の目的・行動のベクトルを合わせ、求心力を高めたことに他なりません。


image
image

社員の心をつなぐ、KDDIフィロソフィ

当社の企業理念は「全従業員の物心両面の幸福を追求」であり、経営資源は人・モノ・カネと言われる中で、「人」さらには「人の心」が大切です。そして、企業が何のために存在するのか、その企業で働く従業員が何を目指し、そして何を基準に行動するのか、KDDIフィロソフィで明文化しています。これこそが人財ファースト企業だと考えています。KDDIフィロソフィにより、多様な人財の心のふれ合いを促し、深い信頼関係を構築してきました。世のため、人のために役に立つことは何かを考え抜き、「心を高める」ことで、目指す方向性を整合させ、求心力を高めてきました。
そして、これからもKDDIフィロソフィを根幹に置きながら、「人財ファースト企業のさらなる追求」に取り組むべきと考えています。


「KDDIフィロソフィ」
image
社是

KDDI VISION 2030に向けた、人財ファースト企業のさらなる追求

事業環境が大きく変化し、 DX、金融、エネルギーなど事業領域を広げるサテライトグロース戦略を推進していく中では、これまで以上に多様な専門性を持つ人財を獲得し、その人財同士が混ざり合うことで、事業や組織機能の高度化につながるイノベーションを創出していく必要があります。
しかし、安定成長の結果、KDDI発足時、急成長期に有していた挑戦心は削がれていることも事実です。事業環境が目まぐるしく変化する中では、社員一人ひとりがサテライトグロース戦略の推進をジブンゴトとして捉えながら挑戦・成長し続け、新規領域への進出をはじめとしたイノベーションを加速化させなくてはなりません。だからこそ、KDDI VISION 2030に向けて、人財ファースト企業のさらなる追求に取り組んでいきます。

サステナブルな人財ポートフォリオの実現

「人財ファースト企業のさらなる追求」を実現させるためには、専門性を持つ自立したプロ人財が挑戦・成長し続けることが重要です。事業領域が多岐にわたるKDDIグループにおいて、個性と能力を発揮できる場所を見つけ、挑戦しながらスキルを高め、さらにレベルの高い挑戦をします。そして、より高度な挑戦には複数の異なる専門分野の人財の集合知が必要になります。それぞれの領域のプロ人財が認め合い・高め合った結果、グループ全体でプロ人財を輩出し続ける“サステナブルな人財ポートフォリオ”が充足されていきます。

社会をつなぐチカラの進化


つなぐチカラの進化により、KDDIグループ社員の生きがい改革の実現


image
image

社会をつなぐチカラの原動力となる人的資本

社員の心身の健康維持・向上は重要で、仕事と生活の垣根がなくなりつつある「ワーク・アズ・ライフ」の時代に、働き方や働きがいだけではなく、「生きがい改革によるウェルビーイング向上」も人財ファースト企業として追求していく重要な要素です。全従業員の幸福の追求を考えるとき、働きがいだけではなく、生きがいを重視していくことが重要です。社員と「どのような時に幸せを感じるか?」という話をしたとき、人から感謝をされたり、人や社会に良い影響を与えたり、自分の成長につながっていると実感できたりしたときに幸福を感じると話してくれました。KDDIの社員は、「社会の役に立つようなことがしたい」という思いがとても強い。そういった思いが、命や暮らしや心を「つなぐチカラ」の原動力になると信じています。
そして、社員の“生きがい”を追求することでKDDIはさらに魅力的な会社となり、お客さま・パートナー企業・労働市場とのエンゲージメントを高められ、愛され信頼され続ける会社となるのです。

「人財ファースト企業のさらなる追求」に向けた今後の展望

「挑戦、成長し続けるプロ人財」を育成するために導入した「KDDI版ジョブ型人事制度」は、社員にとって大きな変化であり、制度の浸透には課題があると認識しています。例えば、プロ人財になるためには、自発的に自分の専門領域を見つけて、スキルを磨いていくことが求められますが、キャリア自律も制度が変わっただけでは簡単には促進されないと考えています。その課題の解決方法の一つに「積極的に制度を活用して体験すること」があります。今後はその課題を解決するために、キャリア研修や社内カウンセリングを通じて社員一人ひとりの挑戦を後押しし、成長できる文化の醸成に取り組んでいきます。
大きな制度変更の不安がある中、手上げでの社内副業、公募やKDDI DX University(KDU)を活用して、専門性やスキルを高め、キャリア形成に踏み出した事例を紹介します。


マテリアリティ5 人財ファースト企業への変革(サステナビリティ統合レポートPDF版)

新しい領域への挑戦とキャリア形成を後押しするKDU

以前はIoTを専門としたスキルアップに専念していたのですが、当時所属していた事業部の部長の勧めがきっかけとなり、KDUでビジネススキルやDX全般のスキルを学んで、新たなキャリアに踏み出しました。
KDUを受講する前はビジネススキルを学んだ経験が全くなく、物事の考え方、レポーティングなどの基礎知識からビジネスストラテジーといった応用知識まで講義一つひとつ全てが新しい学びでした。今は、IoTサービスプラットフォームの拡販に向けた企画やお客さま提案を行っており、市場や環境動向の調査からターゲット選定、提案推進まで積極的に業務に取り組んでいます。KDUを通して自分自身、成長ができたと実感しています。
日本が少子高齢化社会を迎え、次はグローバルでの成長が必要です。グローバルDXとしてどのようなビジネスがあるか、各国の課題は何か、それに対してKDDIとして何ができるかを、「KDUで学んだ知見」×「今後自身で学んでいく知見」で考えていけるような仕事ができると良いと思っています。

image

「好きなことを仕事にしたい」を副業と公募で適性を見極める

学生時代にジェンダーについて学んだのですが、就活時にKDDIが先進的なLGBTQ+支援に取り組んでいることを知り、入社前からKDDIの人事に興味を持っていました。配属されたカスタマーサービス部門で5年間の実務経験を積み、幅広い年代の女性の働き方やキャリア観に触れたことで、KDDIで働く女性の自由で自律的なキャリア形成を推進したいという思いを一層強くし、人事本部での副業を経験、公募で人事企画部に異動しました。
副業制度の参加前は、ジョブチェンジすることに不安を持っていましたが、副業を経験することで自分の思いの強さに自信を持ち、公募にも思い切ってチャレンジすることができました。応募時には、副業により深耕した人事業務への思いを明確に説明することができたと思います。
社内副業は、社員個人が気軽にチャレンジできる制度なので、ぜひより多くの社員に活用してほしいと思っています。人事企画部に異動してからは制度に関して視野が広がり、専門性を持った人財のスキル伝承や、組織的な業務効率化にもつながる仕組みであることを知りました。社員個人だけでなく組織目線でも、より多くの人に活用したいと思ってもらえるような訴求をしていく必要があると思っています。

image