CEOメッセージ

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CEOメッセージ

当社は、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献することを企業理念として掲げています。
現代社会において、通信はあらゆるものに溶け込んでおり、生活や産業、社会活動の基盤となっています。そのため、通信の安定性と信頼性はより一層重要な要素となっており、通信事業者として、24時間365日通信を守り、社会的に重要な役割を担っています。また、経済発展と社会課題の解決を両立するレジリエントな未来社会の創造に向けた取り組みも重要な課題であり積極的に取り組んでいくべきことと認識しております。
当社は、このような未来社会を実現するために、「KDDI VISION 2030」を2022年5月に策定しました。

「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」

当社の使命は、人々の「命」「暮らし」「心」をつなぐことです。「つなぐチカラ」を進化させていきます。そして、レジリエントな未来社会の創造において、誰もが思いを実現できる、そんな社会をつくっていきたいと考えております。

そして、「中期経営戦略(23.3期-25.3期)」では、企業価値の向上と社会の持続的成長の好循環を基本としたサステナビリティ経営を根幹に据えた事業戦略と、経営基盤の強化を推進しております。

事業戦略においては、既存事業の深化とシナジー効果を最大限に発揮し、成長領域を拡大する「サテライトグロース戦略」を推進しています。5G通信をサテライトのセンターに据え、その周りに成長領域を配置し、さまざまな変革にチャレンジして事業を推進していきます。
また、経営基盤の強化については、地球規模の環境課題である「カーボンニュートラルの実現」をKDDI単体で2030年度までに、グループ全体で2050年度までに達成することを目指しております。また、人財ファースト企業への変革、グループ一体経営の推進にも積極的に取り組んでおります。

今後、新技術による事業環境の変化や世界情勢による社会環境の変化が加速することが予想されます。私たちはグループ一丸となって変化に対応し、持続的成長を推進してまいります。
こうした取り組みを進める中で、お客さまや社会の期待に応えるためにも、変わらぬご支援とご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

KDDI株式会社
代表取締役社長 CEO

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23.3期の振り返り

中期経営戦略1年目を終えて

現中期経営戦略では、持続的な利益成長と株主還元強化の両立を目指すことを掲げています。23.3期の連結売上高は5兆6,718億円で前期比+4.1%、営業利益は1兆757億円で前期比+1.4%となりました。

値下げ影響や燃料高騰影響などに対し、注力領域であるDXと金融事業の順調な成長と、コスト効率化推進などにより増益することができました。
事業成長の目標として掲げている「5G推進によるARPU収入増」「注力領域の利益成長1,000億円以上」「コスト効率化1,000億円規模」の実現に向け、着実に取り組みを進めています。

23.3期 前期比
売上高 56,718億円 +4.1%
営業利益 10,757億円 +1.4%
 うちビジネスセグメント 1,908億円 +2.0%
 うち金融事業 360億円 +85.6%

KDDI VISION 2030

当社はありたい未来社会を実現するため、「KDDI VISION 2030:『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を2022年5月に新たに掲げました。
環境変化に強いレジリエントな社会基盤の構築に貢献するため、テクノロジーを活用しながらパートナーの皆さまとともに事業を通じて「命」「暮らし」「心」をつなぎ、誰もが思いを実現できる社会をつくることに貢献していきます。
あらゆる産業や生活シーンで付加価値を提供できる存在「社会を支えるプラットフォーマー」を目指し、2030年を見据えて「5Gを中核に据えた事業変革」を推進していきます。

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サステナビリティ経営と中期目標

長期投資家等マルチステークホルダーの関心事項と当社のビジョンおよび事業へのインパクトを軸に「重要課題(マテリアリティ)」を策定しました。これを踏まえて、サステナビリティ経営を根幹に置き、事業戦略とそれを支える経営基盤強化を推進していきます。
これにより、パートナーの皆さまとともに、社会の持続的成長と企業価値の向上を目指します。また、社会の成長が次の事業戦略に活かされ、そして再び社会に還元される好循環を目指します。


中期経営戦略

重要課題(マテリアリティ)を定め、中期経営戦略を推進

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サステナビリティ経営

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事業戦略/サテライトグロース戦略

事業戦略では、SA(スタンドアローン)によって本格化する5Gを核とした注力領域の事業成長を「サテライトグロース戦略」と名付けて取り組んでいます。つなぐチカラである通信をセンターに、衛星のように位置付けられた事業領域を新たに拡大していきます。センターの5G通信について、「つなぐチカラ」を進化させるためにあらゆることに取り組んでいきます。
また、マルチブランド通信ARPU収入を25.3期に22.3期比増にするため、5Gのネットワーク構築やさまざまなサービス提供、および5G対応端末の浸透を進めていきます。
新たな事業拡大の中心はDXとLX(Life Transformation)です。法人のお客さまには、デジタルを活用してビジネスをサステナブルに成長できるものに変革していくご支援となるようなDXソリューションの提供を進めていきます。個人のお客さまには、メタバースに代表されるLXを通じ価値観が多様化する時代において、フィジカル空間でもサイバー空間でもワクワクする世界をお届けしていきます。
また、金融のビジネスも拡大していきます。これからの暮らしは通信と金融が非常に近しいものとなると考えられます。暮らしに通信と金融が溶け込んでいく時代に、通信と金融の各種サービスのシナジーを最大化することで、金融サービスをお客さまにより身近なものへと発展させていきます。


サテライトグロース戦略

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注力領域の取り組みサマリー

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ご注目いただきたいポイント

「KDDI Digital Twin for All」

現代社会の特徴は、さまざまな内的・外的な要因によって環境の変化が著しい点にあります。こうした劇的な変化を乗り越え、「KDDI VISION 2030」に掲げる「誰もが思いを実現できる社会を。」を叶えるために、「KDDI Digital Twin for All」という構想を掲げました。法人のお客さま向けのDXと、個人のお客さま向けのLXは、この取り組みにおける2本柱となっています。
「KDDI Digital Twin for All」では、人々が生活しているフィジカル空間で生じたデータをサイバー空間へ転送し、デジタル上で高度かつリアルタイムにシミュレーションし、その結果を再度フィジカル空間にフィードバックして、私たちの生活をより良いものに変革していきます。

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「競争と協調」

Beyond 5G時代に求められる高度な技術革新や、社会価値・環境価値を高めながらサステナビリティ経営を進めていくために、他社と競争すべき領域と協調すべき領域を定め、メリハリある投資戦略を実行することが重要となります。そこで、協調すべき領域として、2023年3月には、オールフォトニクス・ネットワークを中心とした革新的通信技術を広めるため、日本電信電話株式会社と光ネットワーク技術のグローバル標準化に向け基本合意書を締結しました。これにより、両社がこれまで培った通信技術、経験をもとに、持続可能な大容量の光ネットワークの実現を目指します。

また、2020年に事業を開始した株式会社5G JAPANでは、当社とソフトバンク株式会社が保有する基地局資産を効率的に相互利用するインフラシェアリングにより、5Gの地方展開を推進することで社会の持続的な成長に貢献していきます。さらに、楽天モバイル株式会社には、4Gネットワークをローミング提供することで、当社は4G設備の有効利用を図るとともに5Gネットワークの構築に注力し、全国のエリアカバー拡大を推進していきます。
これからも、通信事業者のみならず世界中のさまざまなパートナーとの協調を通じて豊かなコミュニケーション社会の発展へ貢献していきます。

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経営基盤強化の取り組み

サステナビリティ経営を支える経営基盤の強化として、社会的な重要課題でもあるカーボンニュートラルの実現、人財ファースト企業への変革、人権尊重やグループガバナンス強化等への取り組みも推進していきます。
地球規模で大きな課題となっているカーボンニュートラルについてもより積極的に取り組み、KDDI単体で2030年度までのCO2排出量実質ゼロ実現を目指します。これに先立ち、KDDIグループがTELEHOUSEブランドで展開している全世界のデータセンターにおいては2026年度、グループ全体では2050年度のCO2排出量実質ゼロ実現を目指し、再生可能エネルギー発電の事業化に加え、携帯電話基地局・通信設備などでの省電力化や再生可能エネルギーへのシフトを強力に推進していきます。
また、変化の激しい事業環境の中で持続的に成長し続けていくためには、イノベーションの推進、社員や組織の高度な自律性と成長を促す「人財ファースト企業」への変革が不可欠です。イノベーションの推進においては、5GおよびBeyond 5Gの研究開発および設備投資を強化します。また、サテライトグロース戦略に基づく事業創造・研究開発・AI・先進セキュリティ技術への取り組みを加速し、スタートアップとのコラボレーションなどパートナーシップをより深化させていきます。

中期経営戦略の進捗

中期経営戦略においては、「事業成長」と「株主還元」の両面を目指します。持続的な利益成長に加え、5G・注力領域への設備投資と戦略的事業投資を行い、株主還元として、配当性向40%超という財務方針のもと機動的な自己株式取得も検討していきます。
今後とも、KDDIグループへの変わらぬご支援とご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。