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5G Sub6エリア拡大。KDDIのつながり続ける通信への追求

近年、動画配信サービスや音楽ストリーミングサービスなどのトラフィックが伸び、加速の一途をたどっている高速大容量通信「5G」へのニーズ。このニーズに応えていくために、 5Gエリアの整備を進めてきたKDDIは現在、5G専用ネットワーク「Sub6」の基地局数が国内キャリア最多となっています*1。さらに電波出力の向上やアンテナ角度の適正化など、技術力を駆使した品質向上の取り組みを着実に行うことで、途切れにくく高速な通信環境も実現しています。
*1総務省「第5世代移動通信システムの導入のための特定基地局の開設計画」令和5年度 第二四半期末時点。

「5Gの普及期元年」ともいえる2024年までに、KDDIは5Gエリアの整備にどう取り組んできたのか、Sub6の早期エリア展開に携わった3名に、KDDIにおける5Gの“現在地”と、途切れず高速な通信環境を実現する技術について聞きました。

● Sub6基地局数が国内移動体通信事業者最多*2に。5Gならではの快適な通信サービスを提供

*2総務省「第5世代移動通信システムの導入のための特定基地局の開設計画」令和5年度 第二四半期末時点。

2020年3月から都市部を中心にサービス提供がスタートした5G。総務省の発表によると、全国の5G人口カバー率は2023年3月末時点で96.6%に達しています。また、コロナ禍を経て、動画配信サービスなどのトラフィックが伸び、5Gのニーズは加速の一途をたどっています。

5G導入期において、KDDIではどのような取り組みが行われてきたのでしょうか。KDDI コア技術統括本部の木下敦史は、次のように説明します。

KDDI株式会社 コア技術統括本部 エリア企画室 エリア企画G 木下敦史KDDI株式会社 コア技術統括本部 エリア企画室 エリア企画G 木下敦史

「5G普及期を見据えて、主に2つの取り組みを実施してきました。1つは、4Gで使用していた周波数を5Gに転用し、エリア展開を実施することで5Gエリアの土台部分を早期に構築すること。特に、生活動線となる鉄道路線や商業地域を重点的に整備することで、より多くのお客さまに5Gを体験していただくことを目指しました。もう1つは、5G専用ネットワークであるSub6の基地局を増やすこと。現在、KDDIでは、国内移動体通信事業者最多となる約3.9万局のSub6基地局を展開しています」(木下)

5Gで使われる周波数帯は、「4G周波数を転用したもの」と「Sub6」と呼ばれる6GHz未満の周波数帯、「ミリ波」と呼ばれる28GHz帯の3つに分かれます。4G転用のメリットは、既存の技術を応用できエリアをカバーしやすい点。一方で、Sub6やミリ波は周波数帯を広く確保できるため、より高速な通信が可能になるといったメリットがあります。

KDDIの5G展開方針KDDIの5G展開方針

「5Gならではの利用シーンに対応していくには、Sub6の整備が欠かせません。これまで整備してきた4G転用の5Gエリアを強化する形でSub6エリアを展開することで、5Gならではの高速大容量なサービスを提供できると考えています」(木下)

● わずか7カ月でSub6エリアを従来の2.8倍まで拡大*3

*3:2024年5月末時点の関東エリアにおける数値(同年1月末比、KDDI調べ)

Sub6基地局を拡充してきたものの、KDDIではこれまでその出力を制限し、アンテナ角度も適正値より下げて設定していました。その理由は、割り当てられたSub6の周波数帯が、衛星通信事業者と干渉してしまうため。しかし、2024年3月末で衛星通信事業者が地球局の移転を完了し、干渉条件が緩和されたことにより、風向きが変わってきました。KDDI コア技術統括本部 エキスパートの小田成司は、衛星通信事業者との調整について次のように振り返ります。

KDDI株式会社 コア技術統括本部 技術企画本部 電波部 エキスパート 小田成司KDDI株式会社 コア技術統括本部 技術企画本部 電波部 エキスパート 小田成司

「衛星通信事業者様との干渉が起きていたのは、当社だけではありません。より快適な通信サービスを提供するために、国内移動体通信事業者4社が一体となり、業界として衛星通信事業者様との調整を進めていったのです。結果として、衛星通信事業者様にご協力いただき、2024年3月末で地球局の移転が完了。Sub6本来のポテンシャルを発揮できる環境が整いました」(小田)

エンジニアチームは、地球局の移転完了に先駆け、2023年11月から準備を進め、移転完了後の2024年4月から5月末にかけて一気にSub6基地局の出力アップを実施しました。その結果、関東地方のSub6エリアは2.8倍に、全国のSub6エリアは1.5倍に拡大しました。(2024年5月末時点の関東エリアにおける数値。同年1月末比。KDDI調べ。)
前例がないほどの短期間でエリア拡大が実現できた背景について、KDDI コア技術統括本部の若林 賢はこのように明かします。

KDDI株式会社 コア技術統括本部 技術企画本部 システム戦略G 若林 賢KDDI株式会社 コア技術統括本部 技術企画本部 システム戦略G 若林 賢

「エリア拡大の実現につながった一番の要因として、5G導入期からSub6基地局を地道に増やしていったことが挙げられます。衛星通信事業者様との干渉が緩和されると同時に、抑制していた出力を上げれば、Sub6エリアのカバー率を一気に広げることができると見込んでいました」(若林)

衛星干渉条件の緩和①

さらに、アンテナ角度の最適化も実施。Sub6エリアをより広く取ることができるようになり、出力アップのみではSub6エリアの拡大は2倍程度の効果でしたが、アンテナ角度の最適化を進めることで、2.8倍の拡大を実現しました。*3

「アンテナ角度は、ただ上げればいいわけではなく、どの程度上げるかによって通信品質が変わってきます。基地局間の干渉により通信品質が劣化してしまうケースもあるため、小規模エリアでのトライアルとビッグデータでの分析を基に、最適な角度を見極めていきました(若林)

衛星干渉条件の緩和②
Sub6基地局アンテナの機械チルト変更作業の様子Sub6基地局アンテナの機械チルト変更作業の様子

● 通信品質でお客さまに選ばれるauへ、「お客さま体感品質No.1」を目指す

KDDIではエリアの拡大だけでなく、お客さま体感品質No.1を目指しています。これを達成するために、エンジニアチームは従来の社内品質指標に加えて、第三者機関の評価指標も取り入れ、「お客さま目線での品質向上」に取り組んでいます。

「これまで培った通信品質向上の取り組みや技術の蓄積、社内指標をベースにしつつ、新たな切り口からも検討を実施しております。また、中立的な立場にある第三者機関から、他社と横並びで評価されることが、エンジニアのモチベーションにもつながります。社内の指標と第三者機関の指標のベストミックスにより、より良いお客さま体感品質を確立していきたいと考えています」(木下)

通信品質を高めるために工夫を重ねることはもちろん、エンジニアがどのような取り組みをしているか、お客さまに分かりやすく伝えることも必要だと木下は続けます。

「2024年6月に実施した『5G(Sub6)のエリア拡大・通信品質向上に関する説明会』では、実際にSub6基地局の出力をアップするデモンストレーションを披露。Sub6エリアが広がるとはどういうことか、説明会に参加された方々に体感していただきました」(木下)

Sub6基地局の出力をアップするデモンストレーションの様子Sub6基地局の出力をアップするデモンストレーションの様子
Sub6基地局の出力をアップするデモンストレーションの様子(速度約3倍の表記は一般的な実効速度における5G(4G転用)と5G(Sub6)との比較。2024年5月末時点。KDDI調べ。)Sub6基地局の出力をアップするデモンストレーションの様子(速度約3倍の表記は一般的な実効速度における5G(4G転用)と5G(Sub6)との比較。2024年5月末時点。KDDI調べ。)

● 通信を通して誰もがやりたいことを実現できる世の中に

3Gや4Gが実現したとき、世の中には新しいサービスが次々登場しました。そこには、誰も想像していなかったようなサービスも含まれており、今やそれらのサービスは日常生活に溶け込み、“当たり前”になりつつあります。

「5Gの時代も同様に、これまで想像しなかったようなサービスが当たり前になっていく可能性は高いでしょう。通信を通してやりたいことが実現できるよう、多様化するサービスに対応できるネットワークをつくっていくことが、私たちのエンジニアの使命でありモチベーションだと思っています」(若林)

今や通信は、日常に欠かすことのできないライフライン。5Gの本格普及により、リアルタイムでのVR体験や、完全自動運転、スマートシティの実現など、通信でできることは格段に広がっていくはずです。それらが当たり前に存在する世の中をつくっていくために、KDDIはこれからも5Gエリアの拡大や通信品質の改善を重ね、「つながり続ける通信サービスの提供」を実現し、「通信品質でお客さまに選ばれるau」を目指します。

「通信を通して誰もがやりたいことを実現できる世の中に」インタビュイーの写真

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