KDDIは、鉄道、製造、通信、メディアなど多様な分野の企業や団体とともに、「YORIMIRAI」と名付けた新たな取り組みをスタートさせました。それは、合計35社(2025年8月29日時点)の多様な業界の企業や団体が、それぞれの知見や独自の技術・強みを持ち寄って、日本全国のさまざまな地域課題解決を目指すプロジェクト。新たな価値を創造し、持続可能な地域づくりを推進していこうという取り組みです。
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なぜKDDIが、多くの企業や団体とともに地域課題の解決に取り組むのか。そして、「YORIMIRAI」として活動することで、これまで行ってきた地域共創からどのように進化するのか。参加する企業と地域のパートナーの思い、さらに今進行しているプロジェクトの背景について、紹介します。
持続可能な地域共創の実現を目指す「YORIMIRAI」がスタート
KDDIはかねてより、日本の地域社会が直面するさまざまな課題に対して、通信を中心とした先進のデジタルテクノロジーを活用して、地域の方々の暮らしがより良く、便利になるような取り組みを行ってきました。こうした「地域との共創」は、企業や団体が個別に実践するよりも、それらが連携しながら能力を発揮することで、より大きな効果につなげることができるはずです。「YORIMIRAI」はそういった考えのもとでスタートしました。
2025年8月29日、参加する企業や団体、自治体が決意を新たにするために開催されたキックオフイベントで、KDDI 経営戦略本部 副本部長の江幡 智広は、以下のように語りました。
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「私たちもこれまで地域課題の解決に取り組んできましたが、一部の活動では本質的な解決に至らず、小さな課題が取り残される現実を感じてきました。そこで考えたのが、志を同じくする企業と連携し、1対1で地域に向き合うのではなく、複数が協働する仕組みです。
さらに、地域のプレイヤーやスキルを持つ企業に加え、日常的に地域の細部を理解している地元の企業や団体が関わることで、地域の方々が主役となり、活動は持続的かつ実効性のあるものになると考えています」(江幡)
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今回、KDDIがこうした地域課題解決の立ち上げメンバーになった背景について、KDDI 地域共創推進部の日野 有理砂が説明します。
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「私の所属する地域共創推進部は、発足当初からさまざまな自治体の皆さまとともに、DX推進を中心とした地域活性化に取り組んできました。しかし、自治体とKDDIが1対1で向き合う形では、プロジェクト終了とともに地域の取り組み自体も終わってしまうなど、地域での持続的な仕組みを構築することの難しさを感じる場面もありました。こうした課題を繰り返し経験する中で、連携の形そのものを変える必要があると考え、YORIMIRAIの構想を検討し始めました」(日野)
KDDIは通信に根ざしたアセットを地域課題解決に活用しながら、少しずつ支援の幅を広げてきた、と説明します。
「自治体のペーパーレス化やDX化を目指し、ツール導入や研修を実施したり、通信のAR技術などを活用して観光や交通の利便性向上を支援したり、さまざまな取り組みを行ってきました。教育や人財育成の分野では、大学と連携しながら未来人財の育成や、社会人のリスキリングも実施しました。2025年10月には、防災DXの一環として、自治体向けに『防災マップボード』の提供を開始しました。当社の特許技術を活用し、災害時に必要な情報を一つの地図上に重ねて可視化できるもので、災害状況や住民状況把握の効率化を目指し、取り組みを進めています」(日野)
異なる得意分野を持つ企業が、地域と持続可能なプロジェクトをサポート
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今回、「YORIMIRAI」の取り組みに参画しているのは、京セラ、KNT-CTホールディングス、JR東日本、三菱UFJ銀行に、大成建設、大日本印刷など、多様な企業や団体です。
そしてKDDIとともに事務局を務めるのは、パーソルテンプスタッフ、富士通、読売テレビ放送の3社。「YORIMIRAI」を成功させるための仕組みづくりに加え、参加企業同士の連携やプロジェクト支援を推進する役割を担う事務局のみなさんに、「YORIMIRAI」への期待と意気込みを聞きました。
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「地域が抱える雇用や人づくりの課題に、多様なプレイヤーが知見やリソースを持ち寄ることができるのが、『YORIMIRAI』の大きな魅力です。私たちは人財サービスで培った就業機会の創出と定着支援ノウハウを生かし、地域住民一人ひとりが安心して働き続けることができる仕組みを構築します。未来の働き方を地域から共に創り上げていきます」(鈴木さん)
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「『YORIMIRAI』は、一社では解決困難な地域課題に対し、多様な企業・団体の知見を掛け合わせて革新的な解決策を生み出す場だと考えています。グローバルテクノロジーカンパニーとして培ったDXやICT活用力に加え、スポーツ活動を通じたコミュニティ醸成も強みとし、事務局として地域社会の持続的発展に貢献していきます」(井口さん)
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「地域社会の発展は放送事業者にとって重要な使命であり、『YORIMIRAI』を通じて課題解決に貢献できることを嬉しく思います。私たちは広告や映像制作、イベント企画など幅広いプロモーション力と多業種ネットワークを生かし、地域に寄り添った取り組みを支援します。これまで培った発信力で、地域が活性化していく姿を広く届けていきたいです」(大島さん)
独自の強みを持つこうした都市部の大企業同士の連携と、さらには各地域の地元企業や自治体といった地域のパートナー(リージョナルパートナー)のサポートが加わることで、これまでにない持続的なプロジェクトを目指します。
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たとえば、大阪駅前の再開発プロジェクト「グラングリーン大阪」を拠点にイノベーション支援を担う、一般社団法人うめきた未来イノベーション機構は、「大阪・関西地域での豊富なネットワークを活かし、今回のアライアンスではプロジェクト創出や推進に協力し、多様な取り組みを支援していきたい」と意気込みを述べました。
また、長野県塩尻市は「これまで最先端技術を活用してまちに変革を起こすことを掲げ、産学連携でさまざまな取り組みを進めてきました。自動運転バスのレベル4運行などにも挑戦しており、領域にとらわれず地域課題解決に向けた新しい取り組みを生み出していきたい」とコメントしました。
東北や九州でプロジェクトが進行中
「YORIMIRAI」では、発足以前から各社が行っていたプロジェクトを発展的に継続させています。現段階では、東北エリアでの「地域産品を活用した農畜産業、観光関連産業の活性化」と「大都市イノベーション人財との交流による地域新規創業の活性化」、九州エリアでの「インバウンド観光客の消費額向上に向けた新商品の開発」が挙げられます。
このうち、福島県での2つのプロジェクト「ふくしま3大ブランド鶏」「PEANUTS HUB AIZU」について、KDDIでプロジェクトを担当する木村 恵子に聞きました。
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「『ふくしま3大ブランド鶏プロジェクト』は、福島県で飼育されている川俣シャモ・伊達鶏・会津地鶏の全国的な認知度向上と付加価値づくりを目指した取り組みです。生産量の拡大が難しい中で、ブランド化による価値向上を重視し、KDDIのICT活用やプロモーション支援と組み合わせ、持続可能な地域産業として育てていこうとしています。
また、『PEANUTS HUB AIZUのプロジェクト』は、「落花生」を核に据え、会津の農業・観光・工芸・福祉を横断的につなぎながら、100年先も続く地域づくりを目指す取り組みです。単独では難しい課題に対し、地元で法人化し、仲間や外部と連携して持続的な地域活性化に挑戦しています」(木村)
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この取り組みは、「YORIMIRAI」以前に、KDDIが福島県とタッグを組んだ「KDDI×ふくしまチャレンジマッチング」という取り組みがきっかけになったもの。KDDIからも複数の社員が参加し、2023年8月からスタートしたものが、多くの関係者を巻き込み、「YORIMIRAI」のプロジェクトに発展しました。
「これまでは、KDDI社員を中心にプロジェクトを支えていたため、担当社員が異動すると活動が途切れるというリスクもありました。『YORIMIRAI』という枠組みに入ったことで、KDDIとして継続的に支援できる仕組みが整ったのは大きなメリットです。さらには、他社の強みと掛け合わせることで、地域課題により実効性のある形で応えられるようになりました。例えば、ふくしま3大ブランド鶏プロジェクトでは発信力のある読売テレビ放送さん、PEANUTS HUB AIZUのプロジェクトでは地域団体や福祉と連携しながら、当社のICTやIoT技術を生かすことで、活動の社会的インパクトも格段に広がっています」(木村)
あわせて、「ふくしま三大ブランド鶏推進協議会」事務局の古川 幸治さんと、「PEANUTS HUB AIZU」代表理事の松﨑 健太郎さんに、「YORIMIRAI」に寄せる期待について聞きました。
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「大企業の方々が本気で地域の声を聞き、長期にわたり時間を割いて一緒に取り組んでくれることに驚きと感銘を受けました。こうした“人の熱”が加わることで活動は大きく前進します。福島の三大鶏の魅力を広く知ってもらい、食べ比べや多様な調理法で発信しながら、最終的には世界に誇れるブランドとして30年先も続く存在に育てていきたいです」(古川さん)
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「一企業では難しい課題も、『YORIMIRAI』を通じて大企業や地域の仲間と横並びで取り組むことで、新しい価値や面白い活動が生まれると感じています。『ピーナッツで世界を幸せにする』という大きな目標を掲げ、DAO(自立分散型組織)やNFT(Non-Fungible Token)といった仕組みも取り入れ、楽しみながら参加できるコミュニティを育て、地域と大企業をつなぐハブになっていきたいと思います」(松﨑さん)
KDDIはYORIMIRAIを通して地域に寄り添い、地域課題の持続的な解決に貢献する
これまで個々の企業の担当者に属しがちだった地域の課題解決のための共創を、アライアンス全体で継続的に支援できる枠組みに発展。さらにICT、雇用創出、発信力、金融・流通など、参加企業の強みを横並びで持ち寄ることで、単独では解決できない課題に取り組み、地域の力も借りながらプロジェクトを拡張してゆく──「YORIMIRAI」は今後さらに多くのパートナーとともに発展していきます。
KDDIはこれからも、誰もが思いを実現できる社会の実現を目指し、さまざまな企業と協力しながら、地域に寄り添った課題解決を目指していきます。