つなぐチカラ

世界中の「つなぐ」を支えるKDDIのグローバルデータセンターTELEHOUSE

スマートフォンやクラウドサービスの普及に伴い、私たちの生活や働き方のデジタルシフトが急ピッチで進んでいます。この変革を支えているのが、KDDIグループの一員として、グローバルデータセンター事業を展開するTELEHOUSEです。KDDIは2024年2月26日からの4日間、スペイン・バルセロナで開催される世界最大のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2024(以下、MWC 2024)」に初出展し、TELEHOUSEの接続性の高いインフラが担うデジタルデバイドの解消と社会の豊かな発展など、相互接続がつくる未来について紹介します。その機を捉えTELEHOUSE EUROPEの幹部に話を聞きました。

● 欧州、北米、アジアでグローバルデータセンターを展開

TELEHOUSEは、KDDIグループの一員として1989年に設立されたグローバルデータセンターのプロバイダーです。2024年1月現在、欧州、北米、アジアの3つの地域で45以上のデータセンターを運営し、10カ国以上でコロケーションのサービスや「インターネットエクスチェンジ(IX)」などの接続サービス(コネクティビティサービス)を提供しています。

提供しているサービスのうちコロケーションとは、お客さまのITリソースを安全で信頼性の高いデータセンターでお預かりし、保守・運用をサポートするサービスです。TELEHOUSEでは24時間365日体制で高品質なコロケーションサービスを提供しています。

また、IXは、インターネットトラフィックの交換を可能にする相互接続点として機能するサービスです。主要なキャリア、インターネットサービスプロバイダー(ISP)、クラウドサービスプロバイダー、コンテンツプロバイダー、データセンタープロバイダーの相互接続点を集約し、オペレーター間のトラフィックの効率的な交換を可能にします。

「英国では、ロンドンにあるTELEHOUSEデータセンターのキャンパスが『ロンドンインターネットエクスチェンジ(LINX)』の最初で主要な拠点となっています。また、米国でも独自のIXであり、国際接続性の高い『ニューヨークインターナショナルインターネットエクスチェンジ(NYIIX)』を所有しています」(TELEHOUSE EUROPE、Pestridge)

マーク・ペストリッジ(Mark Pestridge): Executive Vice President & General Manager, TELEHOUSE EUROPE/ 顧客体験価値の向上を通した中長期的なビジネス戦略策定の責任者マーク・ペストリッジ(Mark Pestridge): Executive Vice President & General Manager, TELEHOUSE EUROPE/ 顧客体験価値の向上を通した中長期的なビジネス戦略策定の責任者

TELEHOUSEが展開しているようなデータセンターは、一般の生活者にとって存在が見えにくいものです。果たしてデータセンターは、人々の暮らしや社会に対しどのような価値を提供しているのでしょうか。その点についてPestridgeはこう説明します。

「データセンターは今日のデジタル社会に不可欠な基盤です。日常生活で使用されるさまざまなクラウドサービスをはじめ、動画のストリーミングサービスやeコマースサービス、さらにはスマートフォンアプリなど、私たちが1日の中で頻繁に使用するサービスは全てデータセンターによって支えられています」

● 3,000以上の企業・団体の「つなぐ」を支えるTELEHOUSE

2024年1月現在、TELEHOUSEのサービスは3,000以上の企業・団体のお客さまにご利用いただいています。その規模は、世界最大級の多国籍企業からローカルに事業を展開する中小の企業までと広範で、業種もキャリアやクラウドサービスプロバイダー、コンテンツプラットフォーマーはもとより、金融、製造、小売など、多岐にわたっています。

そんなTELEHOUSEの事業を取り巻く市場の状況についてTELEHOUSE EUROPEのLewisはこう明かします。

「データセンターの市場はハイペースで成長しており、欧州ではコロケーションサービスに対する需要が長年にわたり増大し続けています。また、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の流行によりリモートワークが活発化したことで、データセンターの需要拡大に一層の拍車がかかりました。今後においても、IoTや人工知能(AI)、5Gなどを使ったアプリケーションの普及を背景にデータセンター需要は増え続けるでしょう」

ポール・ルイス(Paul Lewis): Senior Vice President & Leader of Technical Services, DC Operations, TELEHOUSE EUROPE/ TELEHOUSEの技術、運用、新規プロジェクトの責任者ポール・ルイス(Paul Lewis): Senior Vice President & Leader of Technical Services, DC Operations, TELEHOUSE EUROPE/ TELEHOUSEの技術、運用、新規プロジェクトの責任者

欧州のデータセンター市場に関してPestridgeは以下のような説明を加えます。

「特にパリ、アムステルダム、ロンドン、フランクフルト、ダブリンなどの主要都市でデータセンターへの需要が急激に増大しており、2023年の年間成長率は17%に達すると予想されています。しかも、この成長トレンドは、今後3年から5年、さらには、それ以上の長期間にわたり続く見込みです。加えて、ハイパフォーマンスコンピューティングやIoTの需要増により、TELEHOUSEが事業拡大に乗り出したマルセイユをはじめとする欧州のセカンドティア(第2群)市場でもデータセンター需要が急増しています」

● 「顧客中心主義」を行動の中心に置く

成長が著しいデータセンター市場は競争が激しい市場でもあります。

その市場にあって数多くの顧客からTELEHOUSEが信頼され、支持されてきた理由としてPestridgeは、データセンターにおける「高い運用品質」と「強固なセキュリティ」、そして「障害からの回復力(レジリエンス)」を一貫して追求してきたことを挙げ、こうも続けます。

「私たちは『顧客中心のアプローチ』を採用し、『顧客中心主義』を行動の中心に置いています。その方針のもと、お客さまの声に常に耳を傾け、それぞれのご要望に合わせてサービスをカスタマイズし、個々のお客さまがビジネスを展開しやすい環境を整えてきました。それもTELEHOUSEの大きな特長です」

この顧客中心主義についてLewisは以下のような説明を加えます。

「データセンターのサービスに対するお客さまのニーズは、事業規模や業種、組織の大きさによってさまざまです。ゆえに、私たちは、当社のサービスをどのような目的で利用してくださるのか、当社と取り引きする各段階において、どのような要望をお持ちなのかを深く理解するよう努めています。また、そのニーズはお客さまのサービス、事業の発展・成長などに応じて変化します。そうした変化を定期的にリサーチしながら、TELEHOUSEの顧客体験を継続的に進化させ、改善しています」

Lewisは、TELEHOUSEの顧客中心主義を象徴する具体的な取り組みとしてコロナ禍への対応策を振り返ります。

「コロナ禍ではインターネットの使用量が急増しましたが、その中で私たちはデータセンターのシステムを安定して稼働させる一方、人員の安全性も確保しなければなりませんでした。そこで政府のガイドラインに沿ったポリシーを速やかに定めて実行に移し、キャンパス内のスタッフと来訪者の安全を確保しました。さらに、お客さまが擁するエンジニアが、TELEHOUSEのデータセンターを訪問する必要性を減らせるようリモートハンドサービスをご活用いただきました。このサービスは、高度なスキルを持ったTELEHOUSEのエンジニアが、お客さまが提供しているITサービスを代行するというものです。これによりコロナの感染リスクを最小限に抑えることができました」

英国最大かつ最高レベルのコネクティビティを兼ね備えた最新鋭のデータセンター「TELEHOUSE LONDON Docklands North Two」の外観(=英国・ロンドン)英国最大かつ最高レベルのコネクティビティを兼ね備えた最新鋭のデータセンター「TELEHOUSE LONDON Docklands North Two」の外観(=英国・ロンドン)

● 持続可能な未来を見据えて

近年、世界中でESG(環境、社会、ガバナンス)への関心が高まっています。TELEHOUSEでもESGの取り組みに力を注ぎ、常に最高基準のルールのもと、エネルギー効率の向上やグリーン調達の促進、効果的な資源管理、温室効果ガス排出量の削減に努めています。

「例えば、ロンドン・ドックランズのデータセンターキャンパスは、再生可能エネルギーを使用して運営しています。また、パリでは、私たちのデータセンターから発生する熱を近隣地区の暖房に使用しており、この取り組みをフランクフルトやロンドンにも拡大する計画があります。さらに、TELEHOUSEドイツのCEOは、欧州の『Climate Neutral Data Centre Pactsup*1』のボードメンバーとして、業界全体のカーボンニュートラルの促進に力を注いでいます」
*1:Climate Neutral Data Centre Pact:気候中立性を達成するための、ヨーロッパのクラウドインフラストラクチャサービスやデータセンターの業界団体

加えてTELEHOUSEでは、データセンターを展開する各地域社会の責任あるメンバーとして、地元の雇用促進計画への協力として実務経験の提供や、慈善活動への積極的な参加を行っています。それらの活動を通じて社員や地域社会の人々へプラスの影響をもたらすよう努めています。

そんなTELEHOUSEは、KDDIが初出展する世界最大規模の通信関連イベント「MWC 2024」にも参加します。
PestridgeとLewisはその出展への期待感をこう示します。

「今回の『MWC 2024』には、およそ9万人の来場が予想されます。この場は、TELEHOUSEの既存および潜在的なお客さまと直接お会いし、それぞれの目標達成や課題解決に向けて、私たちがどのように協力できるかを話し合う絶好の機会です。また、液浸冷却システム*2 といったデータセンターの革新技術の分野で、キープレイヤーとの新たなパートナーシップを築く場になるとも期待しています」(Pestridge)
*2:液浸冷却システム:サーバーやストレージを専用の液体に浸すことで、効率的に冷却する技術。KDDIは、液浸冷却技術をパートナー企業とともに独自に開発し、実用化に向けて実証実験を重ねています

「『MWC 2024』では、KDDIの卓越したモバイル通信技術とTELEHOUSEのグローバルデータセンターの組み合わせによって、どのようなソリューションが実現されるかを訴求します。それを通じてKDDIグループには、誰もが自分の夢を実現できるデジタル社会の創造に大きく貢献し得る能力があることを示したいと考えます」(Lewis)

人々のライフスタイルや働き方を変革するサービスを、成功へと導く上で重要な役割を担っているKDDIとTELEHOUSE。両者はともにグローバル市場での存在感とケイパビリティを着実に増しています。