つなぐチカラ

「MWC Barcelona 2024」に初出展。世界に示す「つなぐチカラの進化」

KDDIは、2024年2月26日から29日までスペインのバルセロナで開催される世界最大規模の通信関連イベント「MWC Barcelona 2024(Mobile World Congress Barcelona 2024)」に初出展します。

今回のKDDIの展示テーマは「Life Transformation ~Enhancing the power to connect~」です。これは「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」というKDDI VISION 2030に通じる思いを示しており、生活者視点でのグローバルな社会変革を、通信を軸とした技術によって目指すというものです。

具体的な出展内容や、出展にかける思いについて、KDDI 経営戦略本部長の門脇 誠がご紹介します。

KDDI株式会社 執行役員 経営戦略本部長 門脇 誠KDDI株式会社 執行役員 経営戦略本部長 門脇 誠

● MWC Barcelona初出展にかける思い

MWC Barcelona は、モバイル通信事業者や関連企業からなる業界団体「GSM Association(以下、GSMA)」が主催する、世界最大規模の通信関連イベントです。モバイル通信事業者、端末メーカー、テクノロジープロバイダー、販売会社、コンテンツ提供会社などが出展し、業界のキーパーソンが出席するカンファレンスを組み合わせています。

「Mobile World Congress Barcelona」というイベントタイトルのとおり、以前は展示の中心が最新の携帯電話やスマートフォンだったMWC Barcelonaも、最近は変化してきていると、門脇は話します。

「コンシューマ向けのスマートフォンの進化が話題の中心だったものが、最近では、通信技術を活用した産業や社会の課題解決に焦点を当てた、エンタープライズ向けの内容にシフトしていると感じます」

今回KDDIが出展テーマとして掲げている「Life Transformation ~Enhancing the power to connect~」には、生活者視点で社会を変革したいというKDDIの思いが込められています。

「いまや通信は社会や生活に溶け込んでいます。スマートフォンが普及し、通信が機能していることを前提としてさまざまなサービスや業務が生まれ、通信は社会や生活にとって欠かせない存在になっています。そのような社会のなかで、KDDIが生活体験をどのように革新できるのか、MWC Barcelonaで世界に向けて発信したいと考えています」

● 世界中のパートナーとの共創がグローバル事業のカギ

2000年にDDI、KDD、IDOの合併によって誕生したKDDIのグローバル事業の歴史は古く、合併以前から国際通信事業やデータセンター事業に取り組んでいます。

現在では、自動車メーカー向けのグローバル通信プラットフォームの提供、世界中で3,000以上もの企業にご利用いただいているデータセンターブランド「TELEHOUSE」の運営、ミャンマーやモンゴルでの電気通信事業など、これまでの通信サービスの経験や技術力を新興国へも展開し、グローバルでの通信プラットフォーム事業を拡大しています。

「モビリティやIoTの技術が発展していくにつれて、通信はボーダレスに提供されるようになりました。KDDI自身もグローバルで提供できるサービスを拡大していく方針ですが、ボーダレスに事業を推進するにあたって、パートナー企業との共創が今後より重要になると考えています」

● MWC Barcelona 2024出展を通じて伝えたいこと

今回KDDIがMWC Barcelona 2024にてご紹介するのは主に次の6つの事業領域です。

1. モビリティ・IoT向け「グローバル通信プラットフォーム」

これまで、KDDIのモバイル通信事業では、約3,000万のモバイル回線のお客さまに対して通信サービスを提供してきました。その過程で培った技術は、自動車をはじめドローンやロボティクスなどさまざまなモビリティデバイスに通信が組み込まれた世界に生かされています。グローバル通信プラットフォームでは、モビリティデバイスの位置や状態を、24時間365日、国内外問わず監視・保守するサービスを提供しています。すでに国内含めグローバルで4,500万超*1 の回線を提供しており、今後日系自動車メーカーに加え海外メーカー向けにも拡大していく予定です。
*1:2023年12月末現在の実績(SORACOM含む)

「3,000万のモバイル回線のお客さまの通信を24時間365日守ってきた私たちの経験と知識は、通信があらゆるものに溶け込む今後のモビリティ・IoT社会の核となると考えています。KDDIはこの安全と信頼をベースとしたモバイルの運用を最大の強みとしながら、さらにデータやAIなど様々な技術を活用することで、パートナーの皆さまに新たな付加価値をご提供するグローバル通信プラットフォームを実現してまいります」

2. 通信機能を容易に外部から利用できる「共通API」

通信の社会への浸透を加速していくと期待されているのがAPIを介した通信・付加価値機能の外部提供です。KDDIでは、GSMAが進める「共通API」構築のための「GSMA Open Gateway」構想に早期に参画し、本人確認のためのAPIや、利用シーンに応じて所定の通信品質を保つAPIなどの開発を推進しています。これにより、通信事業者以外の企業・団体が自身のサービスやアプリケーションに通信や付加価値機能を容易に組み込むことができ、企業がその顧客とよりつながりを持ち、モノが安全につながる環境の実現が可能になります。

「例えば、放送業界での映像中継では、映像を伝送するための有線ケーブルの引き回しが大変なことに加え、そのために撮影場所やアングルなどにも制約が出てしまうという課題があります。そこで、撮影用のカメラ機材に5G通信機器を装着し、5G通信で映像伝送を行うことで、これらのケーブルが不要になり、撮影準備の工数が大幅に削減されます。また、シーンに応じた最適な通信品質をご利用頂けるため、無線環境下でも安定した品質での映像配信が可能となります。このように、さまざまな業界の課題と向き合い、パートナーの皆さまとの共創を促進していきたいと思っています」

3. データセンターブランド「TELEHOUSE」

KDDIが約30年以上にわたり展開しているデータセンター事業TELEHOUSEは、最先端の技術と高品質を誇るグローバルデータセンターのプロバイダーです。2024年1月現在、欧州、北米、アジアの3つの地域で45拠点以上のデータセンターを運営しており、世界最大級の多国籍企業からローカルに事業を展開する中小の企業まで、3,000社以上のさまざまな企業や組織にご利用いただいています。

「データセンターのお客さまにとってニーズの高い立地、シビアな要求に対する確かなコネクティビティの提供など、品質には強いこだわりを持っています。生成AIの台頭により、これまで以上にデータ通信の需要が見込まれる中、レイテンシ(通信遅延)の解消が大きな課題になっていますので、TELEHOUSEの持つコネクティビティの重要性をより広く発信する機会にしたいと考えています」

4. 衛星ブロードバンドサービス「Starlink」

KDDIは60年前から国際衛星通信を提供し、日本の衛星通信を支えてきました。その経験と知見を生かし、KDDIは、Space Exploration Technologies社(スペースX)が提供する衛星ブロードバンドサービスStarlinkの国内初の認定インテグレーターとして、同社と業務提携を行いました。

「空が見えればどこでも通信ができるという、非常に画期的な技術です。従来の通信網では難しかった山間部や離島、海上施設などに通信サービスを提供できるため、非日常のさまざまな利用シーンに寄り添うことができます。また、災害時の通信手段としても有効で、令和6年能登半島地震においても、通信サービスの復旧に活用されました。今後の社会の進展に伴い、さまざまな社会課題の解決に役立つ重要な技術だと考えています」

5. メタバース・Web3サービスプラットフォーム「αU(アルファユー)」

バーチャル空間のコミュニティやショッピング体験、高精細なライブ体験サービス、NFTマーケットなど、デジタルツインやメタバース関連事業のブランドがαUです。これまで、渋谷や大阪の街、小売店、鉄道会社、不動産会社などさまざまな自治体・企業とコラボレーションし、デジタル空間での新たな体験を提供してきました。

「デジタルツインはこれから拡大が期待される技術です。現実空間と仮想空間の垣根を取り払うことで新しい人間関係やビジネスにつながるサービスを応援したいと思っています。昨年10月から、店舗の空間を再現したバーチャル店舗でショッピングができるαU placeや、3D音楽ライブ配信サービスのαU liveの提供を開始しました。MWC Barcelona 2024ではαUの世界観とともに、これらの新たなサービスを会場で実際に体験いただける展示を行う予定です」

6. Z世代向けの通信サービス「povo」

KDDIがシンガポールの通信事業者Circles Life社と展開するpovoは、トッピングやギガ活など、従来のモバイル通信事業者にはない新たなコンセプトのサービスを打ち出し、日本のZ世代に向けのブランドとして浸透してきました。

「povoは、デジタルサービスの双方向性を活かして、Z世代のお客さまのニーズに対応したサービスを次々と打ち出しています。最近では、ライブ配信アプリなどで活躍されているクリエイターの方々とのコラボレーションによって、新たなファン層の獲得にチャレンジしています。既存の通信事業者と異なるアプローチで、日本のみならず世界のZ世代に対してつながっていく可能性を、MWC Barcelona 2024で発信していきたいと考えています」

● 将来のパートナーやチームメンバーとの新たな出会いに期待

KDDIのビジョンや技術を紹介するのはもちろんのこと、世界中のパートナーとの出会いがMWC Barcelona 2024出展の大きな目的の1つです。KDDIは海外ではまだまだ認知いただいておらず、世界中の業界関係者や一般の方が参加するMWC Barcelona 2024出展を非常に良い機会と捉えています。

「KDDIは、"『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。"というKDDI VISION 2030を掲げています。通信があらゆるものに溶け込んでいく時代に、当社がパートナーと共に世界中の社会課題を解決していきたいという思いが込められています。今回のMWC Barcelona 2024を契機に、グローバルなテクノロジーを活用して日本の生活者体験を進化させ、それをまたグローバルに展開していくという当社のスタイルに対する認知や理解が進み、同じ志を持つパートナーとの共創が増えることを期待しています」

最後に門脇は、今回KDDIの若手メンバーが数多く参加していることを付け加えた。

「KDDIにとってMWC Barcelona 2024への出展は新たなチャレンジですが、この準備には社内の若手スタッフが積極的に参加しています。KDDIは多様なビジネスにおいて若い社員たちの挑戦を非常に重要視しており、若くても意欲のある社員が活躍できる会社であることも知っていただきたいですね。そして、一般の生活者の皆さまが『面白い』『便利だ』と感じていただけるようなワクワクする未来を創造していきたいと思っています」