2023.2.13

「chiica」が実現する、地域経済循環の新しいモデル

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日高村のデジタル化事業における「立役者」

Change Peopleで人材育成を成し遂げ、Change Businessで企業を世界で戦えるように鍛え、Change Japanで日本そのものを劇的に変えていく――。そうしたビジョンを創業時から貫いているチェンジは、日高村の「村まるごとデジタル化事業」における、クルマのシャフト(車軸)と言えます。

日高村とKDDIを車輪とするならば、チェンジは両者のつなぎ役。一見すると黒子のようなチェンジこそが、この事業の推進における立役者でもあります。チェンジ NEW-IT ユニット シニアマネジャーの尾形正則さんは、「チェンジ内でもこの事業は注目されていて、多くの社員から応援されています。実は自治体向けの取り組みでは初めてとなる、KDDIと当社の共創プロジェクトです」と話します。

株式会社チェンジ NEW-IT ユニット シニアマネジャー 尾形正則さん株式会社チェンジ NEW-IT ユニット シニアマネジャー 尾形正則さん

「行政業務でもデジタル技術を活用しているのが当たり前の状態にしたいと考えています。住民もデジタルツールを自然に使いこなしていけば、その先には高い生産性を取り戻した日本の未来の姿が描けます。そういった観点で、日高村の取り組みは、実は日本で最先端の事業だと確信しています」

事業主体である日高村による確かなリードに加え、日高村・チェンジ・KDDIの三者の意見やアイデア、行動が組織の垣根を越えて混ざり合い、積極的な活動となっている点が本事業の特徴です。三者がそれぞれ人材やリソースを持ち寄り、サポートし合う関係性が築かれています。

「毎週の定例会議で問題が山のように持ち込まれ、常に試行錯誤してきました。しかし本事業のゴールは何かという意識統一がされていたため、ブレることはありませんでした。それは、日高村が『デジタルへと舵を切る』という大英断をされたからにほかなりません」

「chiica」が実現する、地域経済の新しい循環モデル

チェンジの持つサービスやソリューションの特徴は、地域に根差したものとしてデザインされている点です。もし行政が住民にポイントなどを提供したとしても、その使い道が全国規模の大手チェーン店に吸収されるようなものでは地域経済にお金が循環しません。チェンジの提供している地域通貨プラットフォームの「chiica(チイカ)」は、こうした課題を解決する手段として本事業で採択されました。

自治体のデジタル化事業においては、アプリ間連携によって地域通貨が生活や経済の一部になることが理想です。住民の日々の健康活動が住民にちゃんと還元されれば、スマホを持ち歩く理由や動機づけになります。アプリ間連携の柔軟性が高いchiicaは、健康と経済がアプリを介して連携するモデルに最適なソリューションだったのです。

「何かの形でインセンティブがなければ人は動きませんし、新しい習慣が根付くこともありません。だからこそ、きちんと実利を組み込んでいくことが大切です」と尾形さんは強調します。日高村では、歩き、運動し、健康情報を登録するとポイントが付与され、地域内での買い物に利用できます。まさに住民・行政・地域企業にとっての“三方よし”の施策だと言えるでしょう。

「この事業でスマートフォンに馴染んだご高齢の方々が『気になっていることを、自らスマホで調べて解決できるのが普通』になるのが理想です。そうした光景を見ることが、ごく日常的なことになるよう、住民の皆さんと私たちは一歩一歩前進していると思います。近い将来、日高村はデジタルデバイドが自然解消した日本で最初の自治体になるかもしれません」