2023.2.13
「共創」によって、地域による“デジタル格差”をなくしたい
通信会社の使命は、豊かな暮らしの実現をお手伝いすること
多くの人が、昨日の生活の延長上に今日があり、明日も同じ日常を続けていけると思っています。しかし、同じような生活が将来にわたって永続することはありません。昨今は、デジタル技術などの進化によって、生活もビジネスもきわめて変化が激しい時代です。その中で、変化を“契機”と捉えられるかが大きな分かれ道となります。日本が深刻な人口減少の局面にあることを誰もが頭では理解しているでしょう。その課題とどう向き合っていくかを考えることが大切だと、KDDI 経営戦略本部 地域共創推進部の細川 穣は話します。
「社会を取り巻く問題点の存在に十分に気づいていない、見て見ぬふりをしてしまうことこそが、明るい未来への最大の障壁ではないでしょうか。人が減り、これまでと同じ仕事や生活を維持できなくなったときに慌てるのではなく、今向き合い、変化を起こしていくことが大切だと私たちは考えています。KDDIは通信会社の使命として、人々の新しい豊かさの実現に向けて真剣に取り組んでいます」
細川はこう話し、デジタル技術がそのための鍵となる存在だと言います。生活の場所を問わずに享受できる、高品質で安定した通信・情報サービスこそが、新しい暮らしのデザインには不可欠なのです。
届けたい人に、情報が届かない――。情報格差が最大の壁
日高村の高齢化率は約40%と全国平均の28%よりも高いという現実に直面しています。どのようにしたら地域の皆さんが、デジタル技術のメリットを存分に享受できるのでしょうか。
「スマートフォンを配るだけでは何の意味もありません。なぜなら、配布前の慣れた日常に、すぐに戻ってしまうからです」と細川は説明し、事業の初期の頃を次のように振り返ります。
「地域の方々にお会いすると『スマホどころか携帯電話も必要ない。使い方もわからない。余計なお金も払いたくない』といったお声がたくさん聞こえてきました。それらの声に対して日高村役場とKDDIでは、なぜこの取り組みが必要なのか、スマホが生活にどう役立つのか、対話を重ねました。それぞれの立場でしっかりと地域の皆さんの声に向き合い、この取り組みによって生活がどう変わり、豊かになるのかを伝えていく必要があると考え、スマホによるデジタルとの接点づくりの提案をしてきました」
しかし事業発足後は、精力的に情報を発信しても、デジタルデバイド(ICT技術の恩恵を受けられないことによる格差)の先にいる方々への周知はなかなか行き渡りませんでした。発信された情報が、自分に役立つ情報だと認識してもらえなかったのです。
そこで、日高村の82の自治会すべての会長さんと連携し、役場からの事業説明会を自治会単位で実施していくという地道な活動を続けました。それでも情報が届かないときは、会長さんが直接ドアノックをして事業説明をしてくれたこともありました。
「自治会長の方々だけではなく、多くの方々がこの事業の趣旨、必要性を理解して協力してくださいました。課題が見つかるたびに、プロジェクトに携わる関係者が増えていくことに、課題を解消すること以上の意味を感じました。例えば、コロナ禍でなかなか現地に入れなかった私たちの代わりに土佐市のauショップがスマホ先生を出張派遣して、スーパーマーケットの特設コーナーで住民の皆さんとコミュニケーションをとってくださいました。ここで伺った皆さんの声が、その後の『スマホよろず相談所』『スマ友ステーション(デジタル共助ステーション)』開設といったプロジェクトに生かされています」
「誰ひとり取り残さない」デジタル社会を共創していく
“地域のために”という志を同じくする日高村役場、チェンジ、そして住民の皆さんと一緒に取り組んでいる事業である「村まるごとデジタル化事業」は、住民の皆さんが健やかで豊かに暮らし続けるための地域のデジタル基盤として、今後さらに大きな役割を果たしていくとKDDIは確信しています。
人口が減少しているいまだからこそ、デジタル技術で人と人、人と情報がつながることが、より重要になってきています。KDDIは高品質で安定した通信を提供するだけでなく、本事業で実践しているように、地域の皆さんの声に耳を傾け、人と人とのつながりや対話を重視した人間味のあるデジタル化事業をパートナー様ととともに共創していきます。そうすることで、誰もがどこにいてもデジタルの恩恵を享受できる、「誰ひとり取り残さない」社会の実現を目指してまいります。