2024.01.23

空港の街だからこその「スマホ体験」をシニアの方々に 座学だけでは味わえない楽しさを感じてもらうために

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左から、岩国市 総合政策部 デジタル推進課 デジタル推進班 上中慶輔さん、ANAあきんど株式会社 営業統括室 地域創生部 企画チーム マネジャー 永田翔多さん左から、岩国市 総合政策部 デジタル推進課 デジタル推進班 上中慶輔さん、ANAあきんど株式会社 営業統括室 地域創生部 企画チーム マネジャー 永田翔多さん

豊かな自然に恵まれた山口県岩国市。日本三名橋の一つとして知られる錦帯橋や五竜の滝を抱く寂地峡などの観光地で知られるこの街は、市街地と空港が隣接している「空港の街」としても有名です。

そんな岩国市が喫緊の課題として取り組んでいるのが、デジタルデバイドの解消です。岩国市は、市域の9割以上が地理的条件が厳しい中山間地域であり、シニアの方々も多いことから、利便性の高い行政サービスを効率よく提供することが求められています。

その手段として期待されているのがスマートフォンであり、岩国市では、誰もがスマートフォンを使いこなせるようになるための支援を行ってきました。中でもシニアの方々の使いこなしをサポートする取り組みに注力してきたと話すのが、岩国市 総合政策部デジタル推進課 デジタル推進班の上中慶輔さんです。

「シニアの方々の社会参加を支援し、安心して暮らせる街づくりをめざして『高齢者スマホ活用支援事業』を展開しています。その一環として、市街地に足を運ぶのが難しい中山間地域のシニアの方々向けに、訪問型のスマホ教室を実施しました」(上中さん)

KDDIと共に展開したこの取り組みには70人超のシニアの方々が参加。ご自宅に伺って、個々のニーズに合ったスマートフォンの使い方をお教えしたところ、8割以上の方々から『満足』という評価をいただくことができたといいます。

スマホ教室に「座学だけでは伝えきれない楽しさ」を求めていた岩国市にとって、空港のチェックインをスマートフォンで実体験できる「旅するスマホ教室」は、「まさに期待通りの取り組みだった」と上中さんは話します。

「岩国市は市の中心地から車で10分のところに岩国錦帯橋空港があり、市民にとって空港はとても身近な存在です。きっと喜んでいただけると思いました」(上中さん)

スマートフォンでシニアの方々の人生を豊かにする手助けを

KDDIとともに「旅するスマホ教室」を企画したのが、地域創生に取り組む全日本空輸株式会社(以降、ANA)のグループ会社、ANAあきんど株式会社(以降、ANAあきんど)です。ANAあきんど 営業統括室 地域創生部で企画チームのマネジャーを務める永田翔多さんは、山口県が推進するワーケーションプログラムの一つで、県内の企業が社会貢献活動の一環として主催するシニアの方々向けの、無償のスマホ教室に参加した時の経験が今回の企画につながったといいます。

「スマホ教室に参加したシニアの方々が『スマートフォンを便利に使えるようになって、人生が豊かになった』とおっしゃっているのを聞いて、もっと私たちにできることはないかと考えました。この取り組みを通じて縁ができたKDDIさんと一緒に、ぜひ、シニアの方々が楽しくスマートフォンの活用を学べる教室を企画したいと思ったのです」(永田さん)

企画にあたっては「通話やメールの先にある楽しみ」を意識したと永田さんは話します。

「企画にあたってヒアリングをさせていただいた岩国市の方々からは、『スマートフォンの実体験を通じて、基本的な操作の先にある楽しみを味わってほしい』というお話がありました。ちょうどその頃、ANAグループがスマートフォンを使った空港のオンラインチェックインを推進していくことになったので、これを体験していただくのはどうかと考えました」(永田さん)

こうして生まれた「旅するスマホ教室」は、岩国市と和木町の賛同を得て開催が決定。11月14日に岩国錦帯橋空港で開催されたスマホ教室では参加者の方々から「前から気になっていたスマートフォンでのチェックインを体験できてよかった」「実際の操作の流れがわかったので安心して使える」という声が上がりました。

12月には和木町で「旅するスマホ教室」が開催されました。和木町では2022年からデジタルデバイド解消の一環として年3回、スマホ教室を実施しており、今回の参加者の中にはリピーターとして参加した方もいらっしゃったそうです。

和木町役場 企画総務課 企画係の吉田郁也さんは、今回の成果について「参加者の方から『自分には縁がないと思っていたスマートフォンでのチェックインを体験できてうれしい』『次の旅行ではスマートフォンでチェックインしてみたい』といった感想をいただいて、大きな成果があったと実感しています」と話します。

「人を大切にしたデジタルデバイド対策」を目指して

岩国市の上中氏は、旅するスマホ教室を通じて「民間企業ならではの新しい視点や観点」がデジタルデバイドの解消につながることを実感したと話します。

「行政だけではなかなか思いつかない『楽しみながら学べるさまざまなアイデア』を民間の方々と一緒に形にしていきたいと思いました。それこそが、私たちが掲げる『人を大切にしたデジタルデバイド対策』につながっていくはずです」(上中さん)

和木町の吉田さんは、「車両型の出張auショップや、自宅訪問型スマートフォン教室などの実証実験に力を入れているKDDIさんとともに、シニアの方々が新たな技術と触れ合う機会をつくっていきたい」と話します。

シニアの方々が自ら使いたくなるような楽しいスマホ体験を行政の方々と共に考え、提供していく。KDDIはこれからも、シニアの方々のデジタルデバイド解消に向けた取り組みを推進していきます。