2024.01.23
シニアの方々の「潜在的なニーズ」をどれだけ掘り起こせるか 「旅するスマホ教室」誕生の舞台裏
スマートフォンを使ったオンラインチェックインを実際の空港で擬似体験できる。KDDIとANAあきんど株式会社(以降、ANAあきんど)が山口県の岩国錦帯橋空港で、シニアの方々を対象とした「旅するスマホ教室」を開催しました。
スマホ教室というと、基本的な操作を教わる「座学」のイメージがありますが、今回の取り組みは「シニアの方々がスマートフォンでやってみたいことを実際に体験していただく」ことを重視しました。
「シニアの方々のデジタルデバイドを解消するためには、日々の暮らしの中でスマートフォンを使って楽しいと思ったり、便利だと感じることを、どれだけ提案できるかが大事だと思っています」。こう話すのは、KDDI 地域共創推進部の小泉安史です。
シニアの方々が「スマートフォンでやってみたいこと」を実際に体験
このように考えるようになったきっかけは、昨年度山口県と連携して実施した山口県内の老人会の代表20名の方々との「スマホを使ってやりたいこと」のディスカッションだったと小泉は振り返ります。
シニアの方々にスマートフォンでやってみたいことをお聞きすると「観光地で撮った写真を友人や家族に共有したい」という声が多かったことから、紅葉で有名な防府天満宮で体験型のスマホ教室を実施したところ、参加者の方々がとても楽しそうにスマートフォンを使ってくださったといいます。
「現地の公民館で基本操作を学んだあと、講師と一緒に紅葉をスマートフォンで撮影して、LINEで共有するところまでを実際に体験していただきました。すぐに定員に達したことや、『これ、本当に面白いね』という声があちこちから上がっていたことから、体験型スマホ教室のニーズが高いことを実感しました」(小泉)
こうした取り組みをご評価いただき、新たな体験型スマホ教室を提案してほしいという山口県からの依頼を受けて企画したのが「旅するスマホ教室」です。
空港に隣接する街、岩国で飛行機のオンラインチェックイン体験
岩国錦帯橋空港で飛行機のオンラインチェックインを擬似体験するという取り組みは、地域創生に取り組んでいるANAあきんどとデジタルデバイドの解消について話をする中で生まれました。
「ANAグループさんが、飛行機の搭乗まわりの手続きをスマートフォンのアプリに集約する取り組みを進めているとお聞きしたとき、体験型のスマホ教室に向いているのではないかと考えました。旅行はシニアの趣味の中でも上位に入りますから、試してみたい人が多いのではないかと思ったのです」(小泉)
このような思いから生まれた企画は、空港に隣接する岩国市と和木町の賛同を得て、「旅するスマホ教室」という形で実現しました。
KDDI 地域共創推進部の福士純子によれば、擬似体験ではあるものの、ほぼ実際と同じ体験ができるといいます。
「体験用のアプリは、座席の選択からQRコードの表示まで、本番さながらのリアルな体験ができました」(福士)
告知から1週間で満席、今後も楽しみながら学べる提案を
旅するスマホ教室は、告知から1週間で満席となり、当日はスマートフォンを初めて使う方から、搭乗のオンラインチェックインを試してみたいという方まで、さまざまな習熟度の方にご参加いただきました。
今後の取り組みについて、小泉は次のように話します。
「私が所属する地域共創推進部は、『2024年末までに累計1,500万人のデジタルデバイドを解消する』という目標を掲げ、さまざまな施策を行ってきました。その中でわかったのは、デジタルが難しいと思っている方々に対して『心から楽しいと実感してもらえる体験』をいかに探し出して提示できるかが重要ということです」(小泉)
シニアの方々が楽しんで使い続けたくなるスマートフォンの在り方を、パートナー企業とともに探り、新しい形のスマホ教室として提案する。KDDIはシニアの方々のより豊かな暮らしにつながるスマートフォン活用を推進していきます。