2023.11.30

安心安全な生活へ。地域・企業と連携し迷惑電話への対抗策を講じる福岡県警察

  • デジタルデバイド解消

日本全国で被害額、認知件数ともに増加している特殊詐欺。福岡県警察は、その特殊詐欺による被害拡大防止に向けて、KDDIやケーブルテレビ局などと協定を締結し、特殊詐欺防止に有効な防犯機能サービスの普及啓発のための取り組みや被害を防止するための広報啓発を連携して行っています。

福岡県警察本部で特殊詐欺予防対策を担当する生活安全部 生活安全総務課 犯罪抑止対策室 巡査部長の安部喜代さんは、特殊詐欺について次のように話します。

「特殊詐欺は、被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座への振込みその他の方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪と定義されていますが、分かりやすく申し上げますと、犯人が公務員や銀行員、百貨店職員など色々な者になりすまし、電話やメールなどを使って、被害者の方から大切な財産(お金)をだまし取る犯罪のことをいいます。また、犯人が色々なニセ者になりすましてお金をだまし取ることから、福岡県では2014年から『特殊詐欺』のことを『ニセ電話詐欺』*1と呼んで、県民の方々に広報しています」

*1 ニセ電話詐欺:福岡県における特殊詐欺の広報用名称

福岡県警察本部 生活安全部 生活安全総務課 犯罪抑止対策室 巡査部長 安部喜代さん福岡県警察本部 生活安全部 生活安全総務課 犯罪抑止対策室 巡査部長 安部喜代さん

全国的に増加する特殊詐欺。地域と連携し被害防止対策を進める

近年の特殊詐欺の状況について、安部さんは「全国的に特殊詐欺は増加しており、福岡県内に限りますと、特殊詐欺の発生は、2017年以降は減少傾向でしたが、2021年からは増加に転じ、2023年10月末時点の発生状況(暫定値)は、認知件数466件、被害額9億976万円で、件数・被害額ともに昨年の同じ時期と比べて増加しており、大変深刻な状況です。また、手口別にみると、本年に入って『オレオレ詐欺』と『架空料金請求詐欺』が特に増加している状況です」と説明しています。

福岡県警察は被害防止に向けて、民生委員の方を始めとした高齢者関係機関・団体と連携した各種広報啓発活動のほか、被害者の方が利用する機会の多い、金融機関やコンビニエンスストアと連携した声掛け阻止活動の対策を行っています。また県民運動として、金融機関、コンビニエンスストア、自治体、小売業、老人クラブ、さまざまな企業・団体の方などが参加する、だまされてしまった被害者への声掛け活動などにより、被害阻止活動を行う「ニセ電話気づかせ隊」を発足しています。

県民の安全・安心に向けて、特殊詐欺防止へ各企業とも連携

福岡県警察では固定電話通信事業者各社と、2022年10月以降、順次「ニセ電話詐欺を始めとした犯罪の被害防止に関する協定」を締結し、各社と連携して、特殊詐欺の被害防止に努めています。KDDIやケーブルテレビ局の各社とは、協定締結を契機に、各社が提供されている迷惑電話を自動で着信拒否する「迷惑電話自動ブロック」のサービス普及に向けた取り組みなどを協働して行っています。

「特殊詐欺の被害は全国的に増加の一途をたどる深刻な状況に置かれています。この状況を打開するためには、被害者の多くを占める高齢者一人一人の注意力を高める取り組みも大事ですが、高齢者を取り巻く環境への対策が重要だと考えています。このため、機械的・自動的な仕組みによって、高齢者の方々がそもそも詐欺の電話を受けずに済むように、犯人からの電話を遮断する電話機対策について、通信事業者を始めとした皆さま方と連携して取り組んでいかなければなりません。加えて、金融機関・コンビニエンスストアの皆さま方と連携した声掛け阻止活動にも一層取り組んでいかなければならないと考えています。特殊詐欺の撲滅に向け、こうして社会全体で取り組んでいくことで、県民の皆さまの安全・安心が確保されるものと考えています」