2023.5.28
データドリブンで健康増進と医療支援をつなぐ
エンジニアたちが語る「健康増進」と「医療支援」の違い
auウェルネスは、健康増進から医療支援までをワンストップでサービス提供していますが、それらはアプリの機能としてはまったく異なる方向性です。
「『健康維持に努めましょう』といってエクササイズ機能をご案内することと、『体調が優れない方はこちらへどうぞ』と医療サービスへつなぐことは、それぞれ両極に位置しています。それらの体験を1つのアプリでシームレスにお届けしようと日々努力しています」と話すのは、KDDIの中西 剛です。
技術力によって健康増進と医療支援をまとめたとしても、それを利用者の方々に使っていただかないことには意味がありません。KDDIの青西孝文は「例えばポイント機能のように、利用を促す工夫を盛り込みながら、アプリの完成度に日々磨きをかけている状態です」と、ユーザーの生活の中へアプリが自然に入っていくための試行錯誤を語ります。
日本における医療格差の解消がKDDIの大きな目標です。健康や医療にまつわるサービスをワンストップで提供してこの目標を達成するために、auウェルネスにはパートナー企業の技術を数多く盛り込みました。
「健康増進や医療サービスなど、各領域でさまざまな企業が特定のサービスを提供しており、KDDIがそれぞれをつなげて一連の体験としてお客さまに提供することが重要だと考えています。技術的な取り組みだけでカバーするのではなく、パートナー企業と信頼関係を結び、連携しながらサービスを広げている最中です」(青西)
データドリブンとパーソナライズ化が今後のポイントに
健康増進と医療をつなげるために、KDDIは新たな取り組みも行っています。その1つが、Apple WatchとKDDIの健康アプリ「ポケットヘルスケア」を組み合わせた、心房細動の早期発見を目指す実証事業です。
この実証事業ではApple Watchに搭載されたプログラムを利用して装着者の心電図や不規則な心拍を測定、そのデータから心房細動の兆候を検知し、医療機関へつなぎます。
「auウェルネスのサービスを拡充するにあたっては、こうした実証を重ねて、サービス化、システム化していくことが非常に重要です」(青西)
Apple Watchのように医療機器として認められた機器と連携することはお客さまへより価値のあるサービスを提供するきっかけになる、と中西は話します。
「自分の体調をあまり把握していない方も多いでしょう。そのような方でもApple Watchとauウェルネスを日常的に使うことでアプリが異変を察知し、本人に自覚がなくても医療へとつないでいくことが可能になります」(中西)
利用者に対して自然な形で行動変容を促すことで、健康増進ひいては医療へつないでいくことができます。また今後は、アプリ内の表示も工夫し、シニア層でも使いやすいように調整していく予定です。
「将来的には、お客さま自身のさまざまなデータに基づきパーソナライズ化されたサービスを目指したいです。『最近はこういったものを多く食べ、体調がこういう具合だから、今日はもっと運動してみませんか』といったやりとりをお客さまとできるようにしたいと考えています」(中西)
「生活習慣を改善するにしても、利用者の方々を一律で指導するわけにはいきません。一人ひとりの状態を正しく見極めた上で、その人に適した健康指導を展開していく必要があります。そのようなことも含めてアプリが個々の利用者に対応できるようになれば、健康な人が世の中に増えていく、そう期待しています」(青西)