スポーツには、感動があります。さまざまな競技の世界大会で、日本人選手が活躍している姿は、観る人を熱狂させ、勇気を与えてくれます。
そんな世界を舞台に活躍するトップアスリートの多くが、学生時代に経験してきたのが部活動です。日本のスポーツ界を下支えしているのは、部活動(学生スポーツ)といっても言い過ぎではありません。
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しかし、部活動を中心とする学生スポーツは、備品や遠征費などの運営資金不足、指導者不足などさまざまな課題に直面しています。また、コロナ禍においては、入場制限により応援に行く人も減少するという新たな課題も生まれています。
さらに中長期的には、少子化やスポーツ離れによってスポーツ人口が減ることも懸念されています。部員一人一人の経済的負担がより大きくなることで、「スポーツをやりたくても、できない」ということにつながりかねません。
「日本のスポーツを発展させていく原動力は学生スポーツにある」という思いからKDDIは、株式会社運動通信社とともに、スポーツメディア「SPORTS BULL」、学生スポーツ応援コミュニティサービス「ANYTEAM」を運営するなど、学生スポーツを支える活動を積極的に進めています。

どこからでも学生スポーツが観戦・応援できるように部活チームとファンをつなぎ、一人でも多くの学生がスポーツに打ち込めるようにしたい、それがKDDIの願いです。
いつでもどこへでも、試合をつなぐ
部活動を支える資金面での学校格差や、ファンの応援が届きにくいなど、部活動や学生スポーツにはさまざまな課題があります。また、少子化やスポーツ離れで、学生スポーツ人口自体が減少しているという根本的な問題もあります。運動通信社の「日本のスポーツを発展させていく原動力は学生スポーツにある」という考えに共感をするKDDIでは、そうした現状を社会課題ととらえ、幅広いパートナーとともに学生スポーツを支える活動を行っています。
そうした思いで取り組んできた事業の一つが、株式会社運動通信社と共同で運営するスポーツメディア「SPORTS BULL」(スポーツブル https://sportsbull.jp/)です。
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「SPORTS BULL」はマスメディアでの放映機会が限られるアマチュアスポーツや学生スポーツなど、幅広い競技の情報や映像を配信することを特徴とするインターネットスポーツメディアです。
「スポーツには人を感動させる力あります。通信は、その瞬間を映像で届けることによって、世界中の人に感動を届けることができます。そういう意味で、スポーツとKDDIが持つテクノロジーは非常に相性がよいと考えています。バーチャル高校野球*1などの配信では、地方球場における通信インフラのサポートなども行っています」と説明するのは、KDDI株式会社 事業創造本部 LXサービス企画部の西原隆浩です。
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これまで、毎年注目を集める全国高等学校野球選手権大会も、各都道府県で行われる地方大会は地方局でしか放映されていませんでした。
2022年夏の選手権大会では、主催している朝日新聞や朝日放送の系列局と協力しながら、KDDIグループのJ:COMなどのネットワークを生かすことで、地方大会のほとんどをSPORTS BULLで配信することができました。
「“地元の予選が観戦できるのはうれしい”“インターネット配信なので、どこでもスマホで観ることができて便利”など、視聴者からの喜びの声をいただけるのが励みになっています」(西原)

バーチャル高校野球で培った実績は、春高バレー、高校サッカー、インターハイ(全国高等学校総合体育大会)など、幅広いスポーツ分野に活用され、どこでも好きなスポーツを観戦できる環境を、学友やご家族、地元のファンの皆さまに提供しています。
「コロナ禍においては、観客数制限をして行う試合も増えました。学生である今でしか見られない活躍の姿を、ご家族がライブで見られないという状況のなか、配信で観ることができるというのは社会的にも意義のあることだと改めて感じました。応援してもらえることは、部活チームにとってもモチベーションアップにつながるはずです」と、KDDI株式会社 マーケティング統括本部 マーケティング企画部 梅原卓郎は話します。

*1 バーチャル高校野球:運動通信社のスポーツメディア「SPORTS BULL」上で展開している高校野球の総合情報サイト。地方大会から甲子園まで、ニュースや動画中継などで多角的な情報を発信している。
ファンと部活チームをつなぎ、活動支援へ
「学生スポーツのインターネット配信により、『部活チームとファンをつなぐ』という目的に一定の成果を出すことができました。しかし、学生や学校関係者と向き合うなかで、まだまだ部活動に課題が残されていることに気づきました。具体的には、部活チームとファンとのつながりや、部活動を維持するための資金面の課題です」(梅原)
そこで、運動通信社とKDDIでは、現状の課題を解決し、スポーツに取り組む学生を支えたいという思いを実現するため、2022年10月に学生スポーツ応援コミュニティサービス「ANYTEAM」(エニーチーム)を開設しました。
ANYTEAMには主に2つの機能があります。1つが応援したい部活チームへ応援メッセージの投稿ができたり、その投稿に対してファン同士で書き込みができるファンコミュニティ機能です。

「がんばっている部活チームと、応援するご家族やファンをつなぎたいという思いからスタートしたプロジェクトでしたので、ファンコミュニティ機能は欠かせないと考えていました。実際、春高バレー、全国高校サッカーなど冬の学生スポーツ大会の時期を中心に、学生スポーツファンの皆さまに徐々にご利用いただいています」(梅原)
もう1つが、応援したい部活チームへ支援金を送ることができる「ドネーション機能」です。支援金は ANYTEAMを通じて各学校の口座へと支払われ、学校が運動部のための施設費、運営費、遠征費などの資金として分配する流れとなります。
「学校や部活ごとにさまざまな課題があります。そのなかには、運動施設の整備や用具の購入、遠征費などの費用面が、ご家族に依存することがあり、負担のためにスポーツを続けられないという悩みもあります。ファンが費用を支援することで、応援にも熱が入るような相乗効果を生むのではいかという期待もあります」(梅原)
2022年10月にスタートしたANYTEAMには、徐々に全国の学校から問い合わせが寄せられるようになっています。梅原は、「学生スポーツ界ではANYTEAMを使うのが当たり前と言われるような世の中にしていきたいです。観る人に感動を与えるスポーツと、場所を問わず情報のやり取りができるデジタルの強みを掛け合わせて、学生スポーツや日本のスポーツ全体を盛り上げていくことができれば、これ以上うれしいことはありません」と、今後の目標を語ります。
日本を世界が憧れるスポーツ大国にしたい
運動通信社は、“日本を世界が憧れるスポーツ大国にする”をVISIONに掲げ、2015年に設立されました。KDDIとパートナーシップを結び運営する「SPORTS BULL」のほか、オリジナルスポーツ漫画プロジェクト「COMIC BULL」、プレミアム音声サービス「Now Voice」など、スポーツに関する多様なサービスを展開しています。
「バーチャル高校野球に携わっていたときにKDDIさんとディスカッションする機会がありました。そのときに、『スポーツの領域で、次にどのようなチャレンジをしようとしているのか』と質問いただき、学生スポーツを中心としたインターネットライブ配信事業の話をさせていただきました。それに対して、『5G通信を活かし、スポーツにおけるライブの価値を一緒に高めて行こう!』と意気投合してもらったのです」と、運動通信社 代表取締役社長である黒飛功二朗さんは、KDDIとの縁を振り返ります。

こうして、両社が強固なパートナーシップを結んだことがSPORTS BULLの飛躍につながっていきました。2022年には夏の高校野球の本大会・地方大会含めて約3,600試合中3,300試合を超える配信を行い、今後は地方大会を含めた全試合の配信を目標にサービスの拡張を進めています。そうした実績を生かして現在では、春高バレー、高校サッカー、インターハイの各種競技など、幅広い学生スポーツを配信しています。
「現在、SPORTS BULLアプリのダウンロード数は650万を超えています。夏は高校野球だけでなく、各種競技のインターハイなども行われるため、最盛期には月のアクティブユーザー数が1,600万人を超えるサービスになっています」と話すのは、運動通信社で執行役員を務める椛沢保男さんです。

SPORTS BULLの特長の一つは、セレクトした複数の試合を同時に観戦できる点にあります。全国大会の地方予選では、各都道府県で同時刻にさまざまな会場で試合が行われるため、ファンの皆さんにとても喜ばれているそうです。
「学校関係の方や選手のご家族、ファンの方々などからポジティブな感想をいただけるのは大きなやりがいになっています。また、選手からも『強豪校のプレーを参考にしています』といったフィードバックが届くのもうれしいことです。当初は観戦するファンのために開設したサービスでしたが、結果として選手の競技力向上にもつながるのだと気づかされました。日本全体のスポーツレベルを引き上げることに寄与できれば、とてもうれしいです」(黒飛さん)
学生スポーツを支えることが、トップアスリートの育成につながる
運動通信社では、ミッションの一つに「スポーツの『みる』『する』『ささえる』の体験価値を高め、繋ぐ。」を掲げています。このうちの「みる」は、試合の配信により実現しています。そして、「ささえる」ためのサービスが、2022年10月に誕生した学生スポーツ応援コミュニティサービス「ANYTEAM」です。
「学生スポーツには、ポテンシャルがあります。実は日本の体育教育は世界的に見ても非常に充実しているのです。小学生の頃から、授業の中で幅広い競技に触れる機会があり、中学校では運動系の部活に入る率が高い。そういう意味では、既に日本はスポーツ大国と言ってもよいのです」(黒飛さん)
学校でスポーツに触れる機会があると同時に、テレビなどでスポーツを観戦する機会が多い点も、日本人とスポーツとの関係性には欠かせないと黒飛さんは続けます。しかしながら、近年のコロナ禍によってご家族やファンの応援ができなくなっていること、部活動を維持するための費用負担の増大などが、部活動をする上で大きな課題となっています。少子化による学生数の減少もあいまって、存続の危機にさられている部活動も少なくありません。
「部活チームと応援するファンを同じプラットフォームでつなぎ、部活動を支えることのできるサービスをつくりたいと考え、KDDIさんと話し合いながら実現したのがANYTEAMです」(黒飛さん)
「サービス開始直後、春高バレーや高校サッカーの地方予選が行われたこともあり、既にANYTEAMのファンコミュニティ機能は広く認知され、活用されはじめています。ユーザーの皆さまからは、SPORTS BULLで試合観戦しながらチームに応援メッセージが送れたり、ファン同士でコミュニケーションが取れたりするなど、好評をいただいています」(椛沢さん)
応援したい部活チームへ支援金を送ることができるドネーション機能に関しては、各学校の関係者の皆さまと協議しながら、事業を広げている段階にあると椛沢さんは説明します。

「世界で活躍するトップアスリートの多くは、学生時代に部活動を経験しています。逆に言えば、学生スポーツを支えることは、将来活躍するアスリートを支えることにつながるのです。今後は、SPORTS BULLで『みる』、ANYTEAMで『ささえる』に加えて、『する』をサポートするアカデミー事業を展開する構想を持っています。技術向上を支援することは、指導者不足や顧問の先生方の負担軽減にもつながるはずです。これからもKDDIさんとともにさまざまなアイデアを出し合いながら、スポーツ界全体の発展をサポートしていきます」(黒飛さん)