2024.02.29

スマホ位置情報のリアルタイム解析―KDDIの技術

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実は、KDDIが「位置情報を取得してリアルタイムに通知する」という要素技術に着目したのは、今回の取組みを開始するより、ずっと前のことでした。

例えば、「特定の場所の周辺にいる人へのお知らせ機能」などは、特に多くの活用ニーズが寄せられたため、早期に技術的な試作は完成していたのです。

「トヨタ自動車との事故防止機能では、いままでの試作をベースにして、応用する形で開発を進めることができました。今回の実証を通じ、技術的にはすでに社会実装の一歩手前まで来た、と確信しています」

リアルタイム通知を支える、KDDIの技術力

本機能のなかでも、KDDIの技術力が本領を発揮したのは、「いかに適切なタイミングで通知するか」という点です。

「事故防止の観点だと、早めに通知が届いても、はっきり言って何の意味もないのかなと感じています。通知を受けて安全にブレーキを踏んでしっかりと速度を落とせる、安全に停止できるタイミングで通知しないといけないので、その見極めに最も注力しました」

ポイントは、従前より研究開発を進めていた「リアルタイム情報処理技術」をベースに、データ取得から通知までを迅速に行うための、サーバー処理を高速化する仕組みを開発して実装したという点。
条件にあった車両だけにターゲットを絞り、それ以外を除外するというロジックを、トヨタ自動車と連携しながら緻密に組み立てたのです。

「商用化すれば、全国津々浦々から位置情報が上がってきますが、例えば福岡の自動車と北海道の自転車がぶつかる可能性があるかというと、まずないですよね。ぶつかりそうなものだけを抽出して、それ以外を可能な限り除外できるよう、あらゆる条件設定を考えました」

データ取得量そのものを低減し、計算量を減らすことで、いずれ本機能の利用者が爆発的に増加したとしても、正常に稼働でき、適切なタイミングで通知できるシステムを実現できるように、今後もさらなる工夫を重ねていく予定です。

広い社会実装を目指し、ユーザビリティにも配慮

これからの社会実装においては、日本交通や出前館のようなモビリティを利用する事業者様の業務アプリケーションとの連携も視野に入れて、機能開発を進めていくことが重要になると考えています。
そのため、ユーザビリティがとても大事だと考え、通知音も工夫しました。
例えば、いざという時にしっかりアラートを上げられるようにするために、通知が頻繁に鳴ることがないよう工夫しています。

「また、タクシーで実装いただいたときに、耳障りな通知音が鳴ってしまってタクシー利用者様の満足度が下がることなどは、あってはならないことだと思いました。実際に現場で業務に従事されているパートナーのご意見も伺いながら、細心の注意を払って開発しています」

ほかにも、位置情報アプリは電力を消耗しやすいといわれますが、プッシュ通知時以外は画面を暗くするなど省電力にも配慮することで、電池切れの心配なくご利用いただけるようにするなど、利用者目線での開発を心がけています。

今後もKDDIは、業務中のユーザビリティ向上も含め技術的な改善を重ねて、社会課題を解決できるサービスの開発を推進していく予定です。