2022.12.01

三井物産とKDDIが描く、人流の可視化による社会課題解決のビジョン

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近年、都市生活をデジタル技術で豊かにするスマートシティ事業への期待が高まっています。政府が掲げる「Society 5.0」の実現に向けて企業や自治体は、都市づくり・街づくりにおいてもDXの取り組みを推進しています。

そうした中で、人流の把握や将来予測は重要な役割を果たします。それにいち早く着目したのが、三井物産でスマートシティ関連の事業に携わり、現在はGEOTRA代表取締役社長CEOの任にあたっている陣内寛大さんです。

株式会社GEOTRA 代表取締役社長 陣内寛大さん株式会社GEOTRA 代表取締役社長 陣内寛大さん

「三井物産でスマートシティ事業に携わる中で、以前から人流データをうまく活用すれば、街づくりのプランニングがより精緻に、かつ高度になると考え、そこに事業化のチャンスがあると見ていました。その考えをもってKDDIにGEOTRA Activity Dataの共同開発・事業検討の提案をしたことが、GEOTRAの設立につながりました」

GEOTRA設立以前のプロジェクトの段階から特に力を注いだのが、個人情報を一切使わずに人流の可視化とシミュレートを可能にする技術の開発です。秘匿化されたKDDI保有のGPSビッグデータなどを用いながら、統計情報とAI(人工知能)/機械学習技術のかけ合わせによって「架空の人」を合成する技術を開発し、GEOTRA Activity Dataをつくり上げたのです。陣内さんが携わってきた三井物産の都市開発・都市計画に関する造詣の深さ、KDDIのGPSビッグデータを中心とする技術。両社の持ち味を生かすことでGEOTRA Activity Dataは生まれたのです。

GEOTRA Activity Dataで広範な社会課題の解決へ

GEOTRA Activity Dataは、すでに大手不動産デベロッパーや自治体からの注目を集め、導入やGEOTRAとの共創の取り組みが活発に行われています。それに加えて、全国的に深刻化する橋梁・道路・トンネルなど、社会インフラの老朽化問題にも取り組んでいると、陣内さんは言います。

「数万にも及ぶ日本の社会インフラが老朽化し、修繕や建て直しが必要とされていますが、日本の建設業界は人手不足や資材の高騰などに苦しめられ、すべてを一挙に進めることは実質的に不可能な状況にあります。そこで、社会インフラごとにそれが壊れた場合の周辺地域への影響度合いをGEOTRA Activity Dataで分析・可視化し、修繕・建て直しの優先順位づけや計画の適正化に貢献していく考えです。また、新規社会インフラの建設時には、その社会的価値を科学的に割り出すツールの一つとして活用していくことも検討しています」

それと併せて、スマートシティの実質的な牽引役である建設・不動産事業者の新たな街づくりや環境づくりに関わる課題への理解を深めながら、現場で真に役立つ人流データとは何か、人流分析とは何かを徹底的に突き詰めていき、GEOTRAの成長・発展につなげていきたいと、陣内さんは意欲を示します。

今後も三井物産とKDDIは、「GEOTRA Activity Data」をより発展させ、人々が快適に暮らすことのできる都市づくりを目指していきます。