2023.3.17

5Gを軸に事業を共創。サテライトグロース戦略と未来社会

  • KDDI SUMMIT 2023
  • KDDI VISION 2030

「KDDI SUMMIT 2023」に登壇したKDDI株式会社 代表取締役社長 髙橋 誠の基調講演の後半を、ダイジェストでご紹介します。

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通信を中心として5つの分野の成長を目指す

「サテライトグロース戦略」。これはKDDIのこれからの事業の方向性を一言で表しています。

太陽系の中心で太陽が輝いているように、KDDIのサテライトグロース戦略の中心にあるのは5G通信です。その周囲には、成長させていきたい5領域が惑星のように配置されています。その5つとは、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「LX(ライフトランスフォーメーション)」「金融」「エネルギー」「地域共創」です。

サテライトグロース戦略サテライトグロース戦略

DXは日本でも国を挙げて取り組んでいる喫緊の課題として知られています。LXはKDDIの造語であり、お客さまのライフスタイルの変革を重要な戦略として位置付けています。金融は、多彩な金融機能をモバイルセントリックで提供してきたKDDIにとって引き続き強化していく事業領域です。エネルギー領域においては、再生可能エネルギー事業に参入し、太陽光発電を中心とした再エネ事業の開発にも着手しました。そして、地域共創においては、全国のパートナーの皆さまと協働してデジタルデバイド(格差)解消を目指しています。

デジタルツインでDXやLXを進化させる

現代社会の特徴は、さまざまな内的・外的な要因によって環境の変化が著しい点にあります。こうした劇的な変化を乗り越え、「誰もが思いを実現できる社会を。」を叶えるために、KDDIでは「KDDI Digital Twin for All」という構想を掲げました。法人のお客さま向けのDXと、個人のお客さま向けのLXは、この取り組みにおける2本柱となっています。

KDDI Digital Twin for Allでは、人々が生活しているフィジカル(物理)空間で生じたデータをサイバー空間へ転送し、デジタル上で高度かつリアルタイムのシミュレーションし、その結果を再度フィジカル空間にフィードバックして、我々の生活をより良いものに変革していきます。

デジタルツインの概念図デジタルツインの概念図

例えばDXの領域では、都市人流のデジタルツインを実現することで、渋滞対策や不動産開発、出店計画など、さまざまなビジネスシーンに貢献します。また、老朽化した橋などのインフラをスマートドローンで撮影してデジタルツインにすることで補修箇所を迅速に特定する、リアルタイムの都市データを収集・AIで分析することでロボットに最適な移動ルートを指示する、といった取り組みも進行中です。

一方LXの領域では、デジタルツインのバーチャル空間で、人々が楽しい時間を過ごすことができるようになりました。都市連動型メタバースとして企画された「バーチャル渋谷」はすでに3年目に入り、エンターテイメントやショッピングといったコンテンツ提供を進めています。また、先述した人流データと走行データを活用してエリア内乗り放題を実現している「mobi」は、デジタルツインを活用した先進事例と言えます。

より豊かなお客さまの暮らしと社会に貢献する――金融、エネルギー、地域共創

KDDIではこれまで、多彩な金融機能をモバイルセントリックに提供してきました。auじぶん銀行やau損保、auペイメントなど、あらゆるシーンに金融を溶け込ませることで、お客さま体験価値の向上をめざしています。これからは、いままで以上にスマートフォンを中心とした金融サービスが広がっていくことでしょう。通信と金融を融合させることで実現する新しいサービスを拡大させてまいります。

エネルギー問題、カーボンニュートラルは社会にとって大きな課題です。KDDIでは再生可能エネルギーを自ら生み出すことで、データ量の増大に伴う消費電力の増大に対応し、地球環境に優しい通信をつくりたいと考えています。新たにauリニューアルブルエナジー企画という新会社を立ち上げ、この会社のなかで再生可能エネルギーのビジネスにチャレンジしていきます。また蓄電池事業をはじめ、発電量予測や5Gによるリアルタイム制御・供給を管理するプラットフォームの構築による、VPP(バーチャル・パワープラント)事業も推進していきます。

そして、地域共創もKDDIにとって重要なテーマです。スマートフォンは生活に欠かせなくなったいま、デジタルデバイドを解消することもKDDIの役目だと考えています。携帯電話教室をパートナー様と全国各地で開催するなど、2022年からの3年間で累計1500万人のデジタルデバイド解消に向けて取り組んでいきます。

次世代へ向けた事業共創や起業家育成

今日、国や日本経済団体連合会(経団連)がスタートアップ育成支援に積極的に乗り出しています。長期にわたってスタートアップ支援に取り組んできたKDDIにおいても、この取り組みをさらに加速させていきます。

「KDDI Open Innovation Fund」を中心に、環境を考えるGX(グリーントランスフォーメーション)にフォーカスした「KDDI Green Partners Fund」、さらには、地域共創に重きを置いた「KDDI Regional Initiatives Fund」の3つのファンドを展開しています。

有望なスタートアップへの投資と事業共創は、すでに国内89社、海外42社との提携へと拡大しており、新しい時代を切り拓くステージに入っています。また、パートナー企業とスタートアップ企業とのマッチングでは、年間200件を超える支援を行っています。

本日の講演では、KDDI VISION 2030として、KDDIのめざしたい未来とサテライトグロース戦略をご紹介しました。KDDIは、パートナー企業とともに、お互いの企業価値の向上を目指す取り組みを推進していきます。その活動が社会の持続的成長につながり、さらにKDDI自身の企業価値向上につながると考えています。KDDIはこれからも、皆さまと共に素晴らしい世界をつくっていけるよう努力してまいります。