2023.9.28

仮想のドアの先にある「本物の三陸」を楽しんでほしい―三陸鉄道

  • 地域共創
  • au XR Door
  • 三陸鉄道

鋸の歯のようにジグザグに入り組んだ海岸線、尖った白い岩と紺碧の海、松の緑のコントラストが美しい浜辺、高さ30メートル超の大きな橋梁―。三陸の海岸線を縫うように走る三陸鉄道に乗ると、このような美しい風景を楽しめます。

沿線には、新鮮な海の幸を楽しめるお店や温泉、海水浴場など魅力的な観光スポットも多く、観光客から人気を博しています。有名な「ウニを詰めた牛乳瓶」発祥の地は三陸鉄道沿いの山田町といわれており、そこから派生した「瓶ドン」(瓶に入った海鮮をかけて食べる丼)は宮古の人気グルメとして知られています。

1984年に開業した三陸鉄道は、これまで度重なる試練を乗り越えてきました。2011年3月11日の東日本大震災で甚大な被害を受け、列車の運転ができない状態に陥りました。2014年に全線復旧を果たしたものの、2019年の台風19号で大きな被害を受け、全体の7割が運転できない状態になったのです。

2020年3月に全線復旧を果たした直後、今度はコロナ禍に伴う緊急事態宣言が発出され、観光客が減少。コロナが落ち着いた今も、その影響から抜け出せていないのが現状です。

三陸鉄道と沿線地域の課題について、三陸鉄道株式会社で広報を務める三河和貴子さんは、こう話します。

三陸鉄道株式会社 広報担当 三河和貴子さん三陸鉄道株式会社 広報担当 三河和貴子さん

「新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、少しずつ観光客の方々が戻っていますが、まだコロナ前の水準には及びません。三陸の魅力をアピールして、今まで以上に多くの方々にこの地を訪れていただけたらと思っています」(三河さん)

ローカル線ならではの素朴な魅力も再現

KDDIが三陸鉄道に「au XR Door」のコンテンツ制作を提案したのは、東日本大震災の被災地支援の一環としてでした。

「KDDIさんが岩手での被災地支援を検討する中、弊社の復興の取り組みをご評価いただいてコンテンツ制作の話が始まりました」こう話すのは、三陸鉄道総務課で副主任を務める前田邦明さんです。

三陸鉄道株式会社 総務課 副主任 前田邦明さん三陸鉄道株式会社 総務課 副主任 前田邦明さん

スマートフォンを動かすことで、360度の景色を楽しめるau XR Doorの説明を聞いた時、前田さんと三河さんは紹介したいさまざまな風景が頭に浮かんだと話します。

「リアス線の2つの大きな橋梁は、ドラマのロケ地に使われたり、ポスターになったりする景色の美しい場所です。恋人たちの聖地といわれる恋し浜、季節ごとに異なる景色を楽しめる浄土ヶ浜など、鉄道沿線には見どころがたくさんあるので、アプリで紹介できると聞いてとても楽しみでした」(三河さん)

「サーフィンで有名な浪板海岸も白い浜と青い海のコントラストがとても美しい場所で、リアス線のみどころのひとつです。ローカル鉄道ならではの素朴な雰囲気の車内をコンテンツでどう再現するのかも楽しみでした」(前田さん)

苦難を乗り越えて復興を遂げた三陸鉄道と、その沿線の魅力をよりリアルに伝えたい―。そんな両社の思いから、三陸鉄道のコンテンツはau XR Door初のストーリー仕立てで制作することが決まりました。

「列車の座席に座っているような感覚で、車窓からの風景や観光スポットの雰囲気を楽しめるコンテンツをつくることになりました」(前田さん)

制作にあたっては、三陸鉄道が貸切列車を用意し、1日2〜3往復して車窓からの風景や観光スポットを撮影。トンネルを通過する際の窓の映り込みも再現するなど、リアルな表現にこだわりました。

「完成したコンテンツは、想像していたよりも自然に仕上がっていて驚きました。車窓を流れる風景もはめ込み動画とは思えない出来映えで、車内の雰囲気も私たちがいつも見ている光景がうまく再現されていました」(前田さん)

企画列車で三陸を知り、楽しんでほしい

前田さんは、au XR Doorで三陸鉄道や沿線の街に興味を持った方々に、ぜひ、この地に足を運んでほしいと話します。

「コンテンツのドアの先にある三陸を、ぜひ、リアルで楽しんでほしいですね」(前田さん)

前田さんと三河さんのおすすめは、三陸鉄道の職員たちがアイデアを出し合って展開している「企画列車」です。三陸の新鮮な海の幸を楽しみながら三陸の絶景を楽しめるプレミアムランチ列車、沿線の菓子店とコラボしたスイーツ列車など、楽しい企画列車が走っています。

「森の中に出没するシカを間近で観察できる、ナイトジャングルトレインも人気です。シカが多い夜の時間帯に運行する臨時列車で、盛岡市動物公園と協力して企画しています」(三河さん)

「震災から復興までの道のりをたどる震災学習列車も、知ってほしい取り組みのひとつです。防災について考えるきっかけになればと思っています」(前田さん)

企画列車「震災学習列車」の様子企画列車「震災学習列車」の様子

観光地の魅力を、最新技術でリアルに表現する―。KDDIは観光地の方々とともに、観光地の情報を発信します。