2023.9.28

三陸鉄道ならではの魅力をXRでどう伝えるか―au XR Doorの挑戦

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部屋の中に出現した仮想のドアをくぐると、そこには国内外の観光地が広がり、スマートフォンをかざすと360度の風景を楽しめる—。2020年に登場した「au XR Door」は、VRゴーグル不要で仮想現実の世界を体験できるアプリです。

「部屋の中に現れる仮想のドアに向かって実際に歩き、扉を通り抜けるという『身体を伴う実体験』ができるのがポイント。距離や時間を超えて、瞬間移動するような感覚を味わえます」こう話すのは、au XR Doorのコンテンツ制作を手掛けるKDDI 事業創造本部 Web3推進部の北崎修央です。

KDDI株式会社 事業創造本部 Web3推進部 北崎修央KDDI株式会社 事業創造本部 Web3推進部 北崎修央

2023年3月、このau XR Doorの新たなコンテンツとして三陸地域の魅力を発信する「au XR Doorで巡る、三陸鉄道の旅」が登場しました。

「今回の取り組みでは、三陸鉄道の魅力を伝えるために、新しい形のコンテンツにチャレンジしています」(北崎)

体感を伴うXRだからこそ実現できる表現を求めて

これまでau XR Doorは、仮想のドアを通り抜けると、その先に360度の景色が広がるというものでした。

まだ見ぬ場所にワープするような感覚を味わえるのがau XR Doorの魅力ですが、この手法では駅から駅へと走る「鉄道ならではの魅力」を伝えきれないのではないかという懸念もありました。

そこで今回は、仮想のドアを列車の車両ドアに設定し、列車に乗り込んで旅をするストーリー仕立てのコンテンツを制作することになりました。

完成したコンテンツは、スマホを空間にかざすと、三陸鉄道の車両がまるで駅にいるかのように目の前にすべりこんできます。車両ドアから中に入ると宮古駅に到着。ホームでマスコットキャラクターの「さんてつくん」が出迎えてくれます。

再び列車に乗り込むと、そこは三陸鉄道の車内。車窓には実際の風景や沿線の観光スポットの紹介映像が流れ、旅行気分を盛り上げてくれます。

車両に乗り込む瞬間のリアルさを追求

仮想のドアを車両のドアに設定するのは初めてだったことから、制作にあたってはいろいろと工夫を凝らしたと北崎は話します。

「列車が走ってきて目の前に止まる時の列車と人との距離は、うまく設定しないと轢かれそうで怖いですよね。列車に乗ってからホームに降りるまでの距離も、実際に歩いた時に違和感を覚えないようにしないと、現実に引き戻されてしまいます。細かいズレが出ないように注意しながら、列車に乗った時の感覚をリアルに再現することを目指しました」

身体を使うアプリだからこその一貫性を重視した結果、これまでにない仮想観光体験ができるコンテンツが誕生しました。

au XR Doorには、座った状態でVR空間を楽しむ「プチモード」と、歩き回りながらVR空間を楽しむ「アクティブモード」がありますが、北崎は「ぜひ、アクティブモードを試してほしい」といいます。

「実際に列車に乗り込む感覚や、ホームに踏み出す感覚は、XRコンテンツならではの体験です。ぜひ、楽しんでみてください」(北崎)