2023.3.17

駅や電車で5Gがずっとつながるための技術

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数多くの基地局を必要とする5G通信

5Gで利用する高周波数帯の電波は減衰しやすく、回り込みにくい性質があるため、駅施設周辺では4Gよりも基地局の場所と数を確保する必要があります。

5Gの通信で使われているのは「NR化」「Sub6」「ミリ波」といった周波数帯の電波です。「NR化」は4G LTEでも使われている周波数帯で、既存の基地局を活用してより早く5Gエリア化できます。「Sub6」と「ミリ波」は、5Gで新たに総務省から割り当てられた周波数帯で、高速・大容量通信ができるという特徴がある一方、周波数帯が高いほど直進性が高く、減衰しやすい、透過しにくいという性質もあります。

低周波数帯の電波は、ある程度の障害物を回り込むことができるため、壁の向こう側にも届きやすい特性があります。一方、高周波数帯の電波は障害物があるとその向こう側に届きにくい特性があります。このような電波特性のため、駅での5Gエリアの設計では、基地局から5G化したいエリアまでの見通しを確保することが重要になります。

もう一つの課題は電波干渉です。5Gの周波数帯は携帯電話専用のものではなく、他の事業者も使っている周波数帯です。そのため既存の衛星通信事業者との事前協議および干渉対策が必要です。駅施設内の5G対策にあたっては、電波の出力や方向、角度を調整することで、既存事業者と干渉しないアンテナ設置が進められています。

駅ホーム内の5G用アンテナ(写真中央)駅ホーム内の5G用アンテナ(写真中央)

さらに5Gの通信速度は、1つの基地局だけでなく複数の基地局でエリアをカバーすることで確保されています。通信量が多い場所では5G向けの新周波数帯を、より広く電波を届けたい場所では既存の周波数帯を活用するなど、複数の周波数帯を組み合わせることでお客さまに快適な通信環境を提供しています。

駅の外からも基地局を設置

駅ホームの5Gエリア化では、駅周辺の施設にアンテナを設置していることもあります。

例えばJR神田駅では、駅の近くにあるビルの屋上にホームに向けて電波を飛ばす基地局が設置されています。ビルが高すぎると電波が飛びにくくなるため、適切な高さでホームまでの見通しがよいビルが設置場所に選ばれています。

また5Gの電波は指向性が強いため、アンテナを向ける方向や角度がわずかでもずれてしまうと電波の届く場所が変わってしまいます。絶妙なアンテナの設置が、快適な5G通信を可能にしているのです。

快適な通信を左右するアンテナの方向や角度快適な通信を左右するアンテナの方向や角度

電車が走行中でも5G通信ができる理由

電車が走行中は、沿線の少し離れたところにある基地局から電波を受けてデータや音声のやりとりをします。

左から右へ走行しているとき、始めは左側にある基地局と電波のやりとりをしていますが、進行していくにつれて徐々に電波が弱くなっていきます。その後、より強い電波を受信できる右側の基地局と電波をやりとりするようになります。これを「ハンドオーバー」と呼んでいます。

電車の走行中も途切れることなく5G通信ができるのは、ハンドオーバーを繰り返しているからです。JR山手線のように5G通信が可能とされている路線では、電車の速度に合わせて基地局が最適な間隔で沿線に配置されており、確実にハンドオーバーができる設計を行っています。