「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を2030年に向けたビジョンとして掲げるKDDIは、過去に生まれた思い出や記憶を、現在、そして未来に「つないでいく」ことにも、大きな価値があると考え、大切にしています。
ケータイの進化は目まぐるしく、かつてのケータイからスマートフォンの時代へと移りつつあります。しかし、お客さまのご家庭には、幸せや苦労を共にしたケータイがたくさん残されています。たとえ起動しなくても、大切な思い出が眠ったままになっているからです。
そこで、KDDIは「おもいでケータイ再起動」というプロジェクトを立ち上げ、全国のお客さまの思い出と再会するお手伝いをしています。専用の機械を使ってケータイを再起動した後、思い出の写真を印刷してプレゼントします。さらに、地元の新聞社とのコラボレーションにより、オリジナル新聞を作成する企画がスタートするなど、新しい広がりも生まれています。様々な思いを抱いて参加してくださったお客さまを笑顔にする「おもいでケータイ再起動」について、ご紹介します。
「まだ捨てられないケータイ」を持っているお客さまが約7割?!
「おもいでケータイ再起動」とは、電源が入らなくなったケータイを復活させるイベントです。電池の過放電で充電ができなくなったケータイを専用機器で充電、再起動を行います。再起動が成功すれば、ケータイに保存してあった画像や動画、アドレス帳、ボイスメモなどを再生できるようになります。希望があれば、写真を1枚印刷してお渡しします。特に料金をいただくことはありません。
KDDI ブランドマネジメント部 北山健太郎は、お客さまの大多数が、昔使っていたケータイを大事に持ってくださっていたことが、「おもいでケータイ再起動」プロジェクトの始まりだったと話します。
(1).jpg)
「KDDIはこれまでの携帯電話をすべて掲載しているWebサイト「auケータイ図鑑」を公開しています。Webサイトを作る際にお客さまにアンケート調査をしたところ、当時は9割の人がケータイを大事に持っていらっしゃることがわかったんですね。そのうちの5割は電源が入らない、もしくは入るかどうかわからないと答えていました。それならば、ケータイを再起動して中身を見てみたいという要望があると考えたことから、この取り組みは始まりました」(北山)
ケータイのバッテリーは、「過放電」という状態になり、通常の充電器では充電できなくなります。このバッテリーに特別な機器で電気を流し込み、再び充電ができるようにします。過放電以外の理由で再起動出来ないケースもあり、再起動率は7~8割ほどですが、それでも試してみたことで諦めがつくお客さまもいらっしゃいます。
(1).jpg)
「おもいでケータイ再起動」は2016年に開始し、全国47都道府県で全370回以上開催してきました。参加いただいたお客さまは、延べ14,000人以上にのぼります。au以外の携帯電話も対応しています。
私たちの仕事はお客さまのためにある
「おもいでケータイ再起動」では、お客さまからケータイをお預かりし、その場で再起動にチャレンジします。亡くなった家族やペットの写真、我が子が小さかった頃の動画、何気ないボイスメモなどが出てくると、思わず涙するお客さまも。
「お客さまが本当に喜んでくださって、一緒に笑ったり泣いたりしていると、私たち通信会社の仕事がお役に立てているんだ、と気づきをいただけます。お客さまからたくさんの感謝のお言葉を頂きますが、私たちがお客さまからいただくものもたくさんあります。社員にとっても、貴重な機会だと思っています」(北山)
KDDI ブランドマネジメント部 柴田真理子は、「お客さまのケータイ1台1台に人生のドラマがある」と感じています。
(1).jpg)
「先日のイベントで、ある女性が声を上げて喜んでくださっていました。お話を聞くと、写真には花嫁衣裳を着た4人の女性が映っていました。ブライダルの専門学校に通っている時に、みんなで綺麗にして撮ろうと言って撮影した大事な写真なのに、もうケータイの電源が入らないからと諦めていたそうです。今からこの3人に連絡して、写真を送りますとお話してくださいました。
ケータイが再起動できると、今日出会ったばかりのお客さまでも、まるで前から親しかったかのように思いを分かち合えます。お客さまのケータイ1台1台にそれぞれの人生があることを実感します」(柴田)
まだたくさんの方がガラケーをお持ちであるという報道もあります。今後も「おもいでケータイ再起動」をたくさんの方に体験していただくために継続していきます。この取り組みでは、不要になったケータイのリサイクルも受け付けており、ケータイ SDGsとしても世の中のお役に立てると考えています。
経営層も積極的に「おもいでケータイ再起動」に参加
「おもいでケータイ再起動」は、全国でほぼ毎週開催しています。お客さまの対応をさせていただくのは、全国から手を挙げたKDDIの社員です。例えば、関東に住んでいる社員が九州へ出向くこともあります。この取り組みは、KDDIの「業務の1%活動」の一環として行っています。
KDDI 経営企画1部 政 拳士郎に、「業務の1%活動」について話を聞きました。
「業務の1%活動は、2022年度から開始しました。エーザイさまが行っているヒューマン・ヘルスケアの活動をオマージュさせていただき、全社員が直接お客さまに触れ合える活動として行っています。KDDIが目指す姿として掲げている、"お客さまに一番身近に感じてもらえる会社"への取り組みのひとつです」(政)
.jpg)
KDDIは技術部門をはじめ、様々な業務を担当する社員がいるため、すべての社員がお客さまと実際に触れ合う機会は持ちにくいものです。「オールKDDI」として社会に対して価値提供を行い、目の前の業務に必死に取り組むためには、普段とは違う体験も必要です。「おもいでケータイ再起動」の活動を通じて、お客さまの思いを感じ取ることにより、自分の業務がお客さまのお役に立てていることを体感できます。
これまで、延べ約1,600人の社員が参加し、経営層もメンバーの一人として多数参加しています。髙橋社長が参加した際には、お客さまを驚かせてしまいましたが、大変喜んでくださいました。
(1).jpg)
「つなぐチカラ」でお客さまの過去と現在、そして未来を繋ぐ
政自身もKDDIの社員として、「おもいでケータイ再起動」に参加した経験があります。
「2017年に入社し、当時立ち上げたばかりのおもいでケータイ再起動に参加しました。その時の出来事は今でも鮮明に覚えています。再起動したケータイで学生時代の部活動の写真を見て、この友達とまた集まると話してくださったお客さまがいらっしゃいました。過去と現在、未来という点と点が、線に繋がっていくことを実感しました。一社員として、その場に関わることができるのは、非常にありがたいと思っています」(政)
「おもいでケータイ再起動」では、社員が目の前のお客さまに一生懸命に取り組むうちに、能動的に動き、自然とチームプレーが生まれます。社員同士も部署を超えて繋がっていきます。
KDDIは、2030年に向けたビジョンとして「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を掲げています。おもいでケータイ再起動は、そのビジョンに近づくための活動のひとつだと考えています。
ケータイに眠っていた思い出が お客さまだけのオリジナル新聞としてよみがえる
地元新聞社からのお声がけでコラボレーションが実現
「おもいでケータイ再起動」は、たくさんの方々のご支援をいただきながら実施しています。これまで、地方自治体のお祭りへの参加、地域に密着したケーブルテレビ会社とコラボレーションなど、全国の方々と力を合わせて輪を広げてきました。
北海道苫小牧市でのイベントでは、北海道苫小牧市を主な媒体エリアとする日刊紙「苫小牧民報社」とコラボレーションいたしました。以前から「おもいでケータイ再起動」の取り組みをご存じだったご担当者様が、KDDIにお声がけくださったことがきっかけです。
「過去に北海道でイベントの話をお聞きし、単純に『これはいい取り組みだ』と感じたことを覚えておりました。その後、KDDI様とお話させていただく中で、『もしよろしければ弊社でも』と投げかけさせていただいたところ、ご承諾をいただいた次第です」(苫小牧民報社 星野さん)
苫小牧民報社とのコラボレーション企画は、2023年6月30日から2023年7月2日までの間、北海道苫小牧市のとまみんホール(苫小牧民報社内)で開催されました。
お客さまだけの「おもいで新聞」をプレゼント
今回のコラボレーションでは、「おもいでケータイ再起動」でよみがえった思い出の写真を題材として、お客さまのエピソードを新聞記者が取材し、インタビュー記事を執筆します。そして、写真と記事で構成されたオリジナルの「おもいで新聞」を作成し、お客さまにお渡ししました。思い出の写真だけでなく、来場記念の写真を撮影させていただき、今回のイベントに来た思いや感想を記事にする形式も用意しました。
「なるべくお客さまをお待たせしないように記事のひな形を用意して、前半部分はイベントについて、後半部分にお聞きした内容を入れるなど、効率化を図りました。記事のレイアウトとデスクの校閲作業を同時並行し、新聞の体裁にして印刷します。最後にラミネートを施し、お土産としてお持ち帰りいただきました。オリジナル号外新聞という珍しさと、写真が大きく引き伸ばされて掲載されるということもあり、予想以上の反応をいただきました。新聞発行者冥利に尽きます」(苫小牧民報社 星野さん)
イベントのあとも、「ぜひ参加したかった」「次はいつなのか」などの問い合わせが苫小牧民報社に寄せられたそうです。KDDIは、お客さまの期待を超える価値提供のために、今後も積極的にコラボレーションを進めていきたいと考えています。