スタートアップとの共創によるイノベーション創出の重要性が高まる中、東京都は「持続可能な都市を高い技術力で実現する」という理念のもと、未来の都市像を発信するアジア最大級のグローバルスタートアップカンファレンス「SusHi Tech Tokyo」(スシテック東京)を2024年から開催しています。オープンイノベーションを推進するKDDIは、昨年に引き続き2025年5月に開催された「SusHi Tech Tokyo 2025」に出展。この国際的な舞台を通じて、日本のスタートアップのグローバル展開を後押ししました。
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テクノロジーで持続可能な都市を実現する「SusHi Tech Tokyo」
「SusHi Tech Tokyo」(Sustainable High City Tech Tokyo)は、気候変動やエネルギー問題など世界の共通課題に対し、国内外のスタートアップ、投資家、大企業、研究機関、都市、学生など多様なプレイヤーが集結し、解決策を模索するとともに未来の都市モデルを共創・発信することを目的としています。
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2025年の開催では5.6万人以上の来場者が参加し、活気ある議論や商談が展開。今年は“旬”の技術領域に焦点を当てたスペシャル・コンテンツ“Focus on”が導入され、「AI(人工知能)」の社会実装、「Quantum(量子技術)」の最新動向、持続可能な食糧供給を目指す「Food Tech」などがテーマとなりました。会場の専門セッションや技術展示には、参多くの参加者が熱心に耳を傾けて、新たなビジネスの可能性を探っていました。
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AI、メタバース、宇宙など先進技術をもつスタートアップ7社
KDDIは、革新的な技術やアイデアを持つスタートアップとの事業共創を目指し、投資ファンド「KDDI Open Innovation Fund(KOIF)」の取り組みを進めてきました。このKOIFを通じて長年にわたり国内外の多数のスタートアップの成長を後押ししており、今回はその中でも特に日本のスタートアップの海外進出支援に焦点を当て、「SusHi Tech Tokyo 2025」に出展。
会場では、KOIFの出資先から選ばれた海外志向の高いスタートアップ7社とともに、AI、メタバース、ロボティクス、宇宙といった各社の先進的な技術やサービスを紹介し、多くの来場者の関心を集めました。
今回のKDDIブースに集結した7社は、世界市場での活躍が期待される企業ばかりです。当日の熱気とともに、各社の取り組みをご紹介します。
Activ8株式会社
メタバースエンタメ事業を展開。KDDIとは2025年3月にバルセロナで開催された世界最大級のモバイル展示会「MWC」への共同出展など、通信×エンタメ領域で協業を重ねています。当日は、人気キャラクター「#kzn(キズナ)」が透過ディスプレイで来場者をお出迎え。その未来感あふれる映像表現に、国内のみならず海外からのお客さまが多く足を止め、強い関心を寄せていました。
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Idein株式会社
画像や音声等の解析技術を用いて実世界のデータを安全に収集・活用するエッジAIプラットフォーム「Actcast」を開発。KDDIとは2020年の出資以来、共同でサービス開発を行うパートナーです。当日は、コンビニの商品棚を模した展示で、商品を手に取ると映像が変わる「AIサイネージ」を実演。その技術力と完成度の高さから、具体的なビジネス相談につながるケースも多数生まれました。
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New Innovations株式会社
「食」領域の自動調理ロボットやAIクラウドシステムなどを開発・提供。KDDIとは出資に加え、事業運営の中で技術的な連携もあります。当日は、かき氷の全自動調理ロボット「Kakigori Maker」の実機展示が大きな反響を呼びました。また、完全無人・非接触でスペシャルティーコーヒーを受け取ることができるAIカフェロボット「root C」は「実際に見たことがある」と声をかけられる場面も多く、注目度の高さをうかがわせました。
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株式会社STYLY
都市空間にデジタル情報を重ねて表示できるプラットフォーム「STYLY」を提供。KDDIとは創業当初から、XR技術による都市のアップデートを目指す長年の共創パートナーです。当日は、Apple Vision Proを装着するとディスプレイからアイスクリームトラックが飛び出し、まるでその場でアイスを購入できるような未来の購買体験を披露。リアルとデジタルが融合した新たなエンタメ体験に、多くの来場者から感動の声が上がりました。
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株式会社スペースデータ
衛星データとAIによるデジタルツインで、持続可能な未来設計へ貢献。宇宙を、まるでインターネットのように誰もが身近に活用できる社会の実現を目指しています。当日は国際宇宙ステーション(ISS)の船内外を高解像度で再現したシミュレーター「バーチャルISS」を展示。来場者は船内探索を通じて、リアルな宇宙環境を体験することができ、宇宙飛行士の模擬体験に人だかりができていました。
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株式会社ティアフォー
オープンソースの自動運転OS「Autoware」を開発。KDDIは設立当初からの資本・事業パートナーで、安全な自動運転に不可欠な通信分野で強固に連携しています。会場では、新型ロボットタクシーのプロトタイプ車両などによる自動運転の社会実装の推進状況を映像で流し、絶大な集客力を発揮しました。来場者の約4分の1が海外からと、グローバルでの関心の高さを実感させました。
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ファインディ株式会社
エンジニアのスキルを可視化して偏差値化し、企業とのマッチングや開発組織の生産性向上を支援するSaaS「Findy Team+」などを提供。KDDIグループでの利用や連携可能性のある営業先の紹介など、多岐にわたる連携実績があります。今回の出展では、グローバル市場でも自社製品への強いニーズがあることを確認。特に韓国のスタートアップとは、具体的な商談フェーズへと発展する大きな手応えを得ました。
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来場者から「日本にこんな企業が」と驚きの声
「SusHi Tech Tokyo 2025」に出展した理由や、会場で感じた手応えについて、オープンイノベーション推進本部の清水 一仁と原 吉之介に話を聞きました。
「日本のスタートアップが国内市場に留まる限り、真のユニコーン企業(時価総額が10億ドル以上、かつ設立10年以内の未上場のベンチャー企業)への成長は難しく、グローバル展開が不可欠という強い課題意識がありました。これは日本経済の長期的発展にも関わります。SusHi Tech Tokyoは、東京都が海外の投資家や事業会社を招きビジネスマッチングを創出する場であり、KDDIが日本のスタートアップの海外進出を支援したいという思いと合致したため、海外進出意欲の高い投資先7社にこの機会を提供させていただきました」(清水)
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「『日本にこんな企業が』という驚きの声や技術への称賛をいただきました。スタートアップの国際的な認知度向上にKDDIがハブとして貢献できたのは意義深いです。海外投資家からは『日本のスタートアップの技術力は世界のトップレベルと遜色なく、国際市場へのチューニング次第で十分に世界で戦える』と力強い評価をいただいています。日本市場への注目が高まる今、KDDIとしてもこの好機を生かし、日本の優れたスタートアップのグローバル展開を後押ししたいです」(原)
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日本のスタートアップに世界で活躍してほしい
KDDIは2011年にスタートアップとの事業共創プラットフォーム「KDDI ∞ Labo」を開始。また、2012年に開始した「KDDI Open Innovation Fund」は、2025年4月時点で国内外152社に出資し、成長とシナジー創出を支援しています。
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清水は、「この10年、多くの挑戦と経験から確信したのは、新しい時代を拓くのは常に、果敢にリスクを取り価値創造に挑むスタートアップだということです。我々のアプローチは、彼らのビジョン実現をKDDIのアセットで後押しし、成長を支えること。スタートアップが成長し社会に価値を提供した時、その支援者がKDDIであれば、結果、KDDIにも新たな事業機会が生まれます。今回の出展もその一環です」と、スタートアップとともに未来を共創することが重要だと説明します。
そうしたアプローチを続けた1つの結果として、KDDIはスタートアップが選ぶ「イノベーティブ大企業ランキング」で7年連続の第1位を獲得するなど、スタートアップからも高い評価を得ています。
KDDIはこうした取り組みをさらに加速し、日本のスタートアップのエコシステム活性化とグローバル化を後押しすべく、2025年4月に「KDDI Open Innovation Fund V」の設立と、複数の海外ベンチャーキャピタルへの出資を新たに発表しました。KDDIが注力するAI、ロボティクス、モビリティ、ディープテック分野などで、日本のスタートアップとグローバル市場の有力企業との接点を構築していくことが狙いです。
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「海外ベンチャーキャピタルへ出資し、彼らの専門的な知見やネットワークを借りることで、日本のスタートアップが国際市場へ本格的に進出する道筋とサポート体制を構築できます。このような強力なパートナーシップを今後も増やしたいです」(清水)
KDDIの「つなぐチカラ」とスタートアップの革新性とを掛け合わせる「共創」が、双方の成長を加速させます。「SusHi Tech Tokyo 2025」のような国際的なイベントを契機として育まれた、国内外の多様な企業との連携は、グローバルな市場での新たな価値創造へと発展していくことが期待されます。KDDIはこれからも、日本の優れたスタートアップが世界へ羽ばたくための挑戦を、共創の輪を広げながら力強く支援し続けていきます。