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「MWC Barcelona 2025」KDDIの出展の様子を現地レポート

2025年3月3日から3月6日にかけて、スペイン・バルセロナで開催された世界最大のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2025(以下、MWC2025)」。KDDIは昨年に続き本イベントに出展し、社会に溶け込む通信とAIを中心に、生活インフラとなった「コンビニ」におけるリテールテック、安心/安全/快適なモビリティ技術、それらの実現を加速させるオープンイノベーションなどをユースケースとともに世界に向けて発信しました。

● 通信×AIが切り拓く可能性をプレゼンテーション

MWC2025においてKDDIは、「Life Transformation」をテーマとし、「通信×AI」を軸とした「つなぐチカラの進化」を講演や展示を通じて紹介。未来のライフスタイルやビジネスモデルを提案し、世界各国の来場者にその可能性を示しました。

初日の基調講演には、代表取締役社長 CEOの髙橋 誠が登壇し、KDDIは、KDDI VISION 2030のもとで、「誰もが思いを実現できる社会をつくる。」の実現を目指しており、そのための戦略として、通信を核としながらもAIやIoT(モノのインターネット)、モビリティ、宇宙分野などに事業領域を拡大していることを発信。非通信領域の売上が2015年比で2倍以上に拡大したことや、海外45拠点でのデータセンター展開、5,000万IDのIoT基盤といったグローバルビジネスの加速にも注力していることを印象づけました。

KDDI 代表取締役社長 CEO 髙橋 誠 基調講演の様子KDDI 代表取締役社長 CEO 髙橋 誠 基調講演の様子

また、KDDIブースでは、KDDI、グループ会社、パートナー企業が、「AI時代の通信インフラ」「KDDIのネットワークAPIの取り組み」「通信×AIで支える未来のモビリティ社会」「生成AIとIoTによるリテール業界の革新」「コネクティッドボートのユースケース」「KDDIスタートアップピッチ」「KDDIにおけるDigital Telcoの進化とB2B2Xビジネスの探索」といった多彩なテーマで、最新の取り組みについて講演を行いました。通信という枠を超えたKDDI事業に、多くの聴衆が興味・関心を寄せていました。

● 通信×AIで未来を体感!KDDIブースの展示をレポート

最新テクノロジーを各社が発信するなか、KDDIブースには、世界各国のビジネスリーダー、技術者、スタートアップなど、さまざまな方が来場されました。そこでは、社内の多様な部署から手を挙げた、20代から30代前半の若手社員を中心に構成された説明員が、来場者と対話しながら魅力を紹介。実際に最新技術を体験できるデモを楽しむ人々の姿が印象的でした。本記事では、MWC2025に出展したKDDIブース内の全13の展示のうち6つをレポートします。

1 バーチャル受付

受付では、日本で有名なバーチャルビーイング*1「KizunaAI」から生まれた「#kzn(キズナ)」が、KDDIのアンバサダーとして来場者にKDDIの会社概要や、展示のコンセプトを紹介しました。動きの滑らかさや、映像の美しさに驚かれる方も多く見られました。

2 Power of AI

Power of AIでは、KDDIのグループ会社で、グローバル展開しているデータセンター事業「TELEHOUSE」の技術・運用ノウハウを生かし、次世代のAIデータセンターをブース内に構築。大規模電力を保有する工場の再利用や柔軟性に優れたコンテナを利用するなど、多彩なアプローチを紹介しました。

この展示の説明をしたサービスプラットフォーム企画室の千原 健太は、「私はブース中央のGPU(Graphics Processing Unit)サーバーを担当し、冷却技術を保有するパートナーなどのご協力のもと、最先端のGPUサーバーである『NVIDIA GB200 NVL72』を展示しました。予想以上に多くの方が興味を持ち、写真を撮ったり熱心に話を聞いてくださったりしました。AIを支えるGPUサーバーや、GPUの冷却として水冷技術を採用していることに多くの関心が集まっていました。さらに、液晶工場をリノベーションしてAIデータセンターを短期間で構築する取り組みには、『そんな方法があるんだ』と驚きの声が寄せられていました」と話し、来場者の関心の高さを実感しました。

KDDI 先端技術企画本部 サービスプラットフォーム企画室 千原 健太KDDI 先端技術企画本部 サービスプラットフォーム企画室 千原 健太

さらに、千原は来場者との対話を通じ、KDDIへの期待を感じたと言います。
「日本の通信事業者であるKDDIが、AIデータセンターを構築していることに強い関心を持たれていると感じました。私たちが構築するAIインフラ基盤の上にアプリケーションを載せたいという声もありました。今回プレスリリースした渋谷データセンターの検証環境(25年4月開設)の場も活用し、さまざまなパートナー企業さまとKDDI独自の価値を持ったAIインフラ基盤を構築し、グローバルに展開していきたいと考えています」(千原)

3 AI Digital Signage

AI Digital Signageは、エッジAIを搭載したカメラを活用することで来場者の分析が可能となり、最適な情報をリアルタイムでレコメンドすることができます。これにより、お客さまにはこれまで以上に満足度の高いお買い物体験を提供することができるだけでなく、店舗情報と連携を行うことで店舗オペレーションの負荷を軽減し、商品情報と連携によりフードロスの削減も実現可能となります。

この展示を担当した、ビジネス共創推進室の金山 亜衣は、AIとデジタルサイネージの可能性を強く感じたと語っています。

「来場者の皆さまからの反応は非常に好評で、驚きました。実際に手に商品を取って体験いただくと、技術の魅力を即座に伝えられたのも効果的でした。映像は日本美を意識していたため、多くの方から『Beautiful』との声をいただき、写真や動画を撮る姿が多く見られました。また、演出面でも工夫を凝らし、ブースの体験人数をカウントし100人ごとにお祝い映像を流し、プレゼントをお渡しました。当選者の驚きと喜びの表情を見ることができて、とても嬉しかったです」(金山)

KDDI オープンイノベーション推進本部 ビジネス共創推進室 金山 亜衣KDDI オープンイノベーション推進本部 ビジネス共創推進室 金山 亜衣

また、金山はKDDIの取り組みへの期待感や手応えについて、「来場者との会話のなかで、KDDIが通信はもちろん、幅広い技術を活用して多様な事業領域へ挑戦していることに多くの方が興味を持っていると感じました。私の展示も含め、多くの展示がスタートアップとの共創によって実現しています。スタートアップに海外アプローチの機会をご提供できたことは、オープンイノベーションを担当する者として非常に嬉しく思います」と、話してくれました。

4 AI Restocking System

AI Restocking Systemは、AI自動制御により、リアルタイムでの在庫管理や時間帯や需要に応じた品出しなどの店内業務を24時間365日サポートします。これにより、深刻化する労働力不足などの社会課題への貢献が可能になります。

この展示の説明員として対応したLX戦略部の友安 菜那子は、海外の来場者にKDDIの取り組みを短時間で理解してもらう難しさを実感したと言います。

「今回展示したドリンクの自動補充ロボットは、日本のコンビニでは一般的なバックヤードからの補充を前提としていますが、海外ではこの構造自体が馴染みのない場合もあります。国によっては『コンビニエンスストア』という言葉自体が浸透していないこともあり、事前に説明方法を慎重に検討しました。その結果、多くの方にKDDIの取り組み意義を伝えられたと思います」(友安)

KDDI 事業創造本部 LX戦略部 友安 菜那子KDDI 事業創造本部 LX戦略部 友安 菜那子

また、KDDIの取り組みには多くの方が関心を寄せていたようで、「訪れた方のほとんどから質問を受け、詳しい説明を求められる場面も多かったです。なかには『自社でも取り入れたい』『参考にしたい』という声もあり、非常に嬉しかったです」と喜びを語ってくれました。

5 AI Mobility Society

「WAKONX(ワコンクロス)」とは、KDDIが展開する、AIが溶け込む時代の新たなビジネスプラットフォームです。日本のデジタル化をスピードアップするというコンセプトから生まれたブランドで、やがて日本から世界へも変革の流れを生み出していきます。

AI Mobility Societyでは、この「WAKONX」で目指す未来のモビリティ社会と、それを通信とAIの力でどのように支えていくのかを、ユースケースとともにご紹介しました。

未来のモビリティ社会を表現したモニュメント未来のモビリティ社会を表現したモニュメント

展示のガイドを担当したモビリティビジネス推進部のブライセチ 里衣奈は「この展示では、構想段階や研究開発中の取り組みを紹介する内容が多かったのですが、それらを動画を活用して効果的に伝えられたと思います。KDDIがモビリティの分野で、通信を軸にどのような価値を提供し、今後どのように展開していくのかを来場者にしっかりと届けることができました」と、その手応えを話してくれました。

KDDI ビジネス事業本部 モビリティビジネス本部 モビリティビジネス推進部 ブライセチ 里衣奈KDDI ビジネス事業本部 モビリティビジネス本部 モビリティビジネス推進部 ブライセチ 里衣奈

さらに、ブライセチは、来場者のモビリティ領域への関心の高さを感じたと言います。

「KDDIが国内だけでなく海外でも通信サービスを提供していることや、モビリティ領域にも関与していることに、多くの方が驚いていました。『どのようなビジネスが一緒にできるか詳しく話をしたい』と積極的に声をかけてくださる方もいました」(ブライセチ)

6 AI Space Exploration

AI Space Explorationでは、 Apple Vision Proを活用した未来の宇宙空間での無重力ショッピング体験や、大型ディスプレイを使った国際宇宙ステーション船内の探索シミュレーションなど、没入感あふれる宇宙体験をお楽しみいただきました。

この展示を担当したビジネス共創推進室の服部 雄也は、「幅広い層の方々に参加いただきましたが、皆さまの宇宙に対する関心が高く、通信×宇宙への可能性を強く感じました。また、来場者の皆さまとお話をするなかで、新たなユースケースの発見があったことや、スタートアップの方々との共創が期待されるシーンもあり意義深い展示になりました。KDDIが展開する事業領域の幅広さに驚かれる方が多く、反応もポジティブであり、今後のグローバル展開への期待を感じることができました」と語り、会場での体験が非常に印象深いものであったと言います。

KDDI オープンイノベーション推進本部 ビジネス共創推進室 服部 雄也KDDI オープンイノベーション推進本部 ビジネス共創推進室 服部 雄也

服部は続けて、「今回、KDDIには若手が挑戦できる環境があることを実感しました。入社1年目でMWC2025に参加できるとは思っていなかったので、このような機会をもらえたことがとても嬉しく、自身の業務においても大きな成長にもつながると思います」と、挑戦を後押ししてくれた会社への感謝を口にしていました。

● 来場者が体感したAIと通信の可能性

全体の展示を通して、会場では、「KDDIの展示は、AIと通信の未来を体感できるものばかりだった」「全ての展示がユースケースを元とした内容だったので分かりやすかった」「プレゼンがとても印象的で、日本企業のグローバル展開に期待が高まった」「AIを活用したリテールやモビリティのデモが非常にリアルで、実用化が待ち遠しい」といったような声が多く聞かれ、KDDIの取り組みが多くの人々にインパクトを与えたことが分かりました。

KDDIはMWC2025を通じて、通信とAIの融合による新たな価値創出を世界に向けて発信しました。技術力の高さはもちろんのこと、グローバル展開における積極的な姿勢が際立ったイベントとなりました。今後も、KDDIは「つなぐチカラ」の進化を加速させ、世界中の「誰もが思いを実現できる社会」を目指します。

*1 バーチャルビーイングとは、架空のキャラクターでありながら、利用者と双方向の感情的コミュニケーションを行える存在を指します。

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