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KDDI髙橋誠社長 MWC Barcelona 2025で「5G×AIによる未来の変革」を語る

スペイン・バルセロナで2025年3月3日から3月6日に開催された世界最大のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2025(以下、MWC2025)」において、KDDI代表取締役社長 CEOの髙橋 誠が基調講演のスピーカーとして登壇。

このセッションでは、「Beyond Connectivity: The Telco to Techco Transformation」をテーマに、中東、日本、アフリカの各通信事業者のCEOが講演を実施。さまざまな技術の進化に伴い、各国の通信事業者は「通信を超えたテクノロジーカンパニーへの転換」が求められている中で、KDDIは5GとAIをコアに、非通信領域での先進的なビジネスモデルやパートナーシップなどLife Transformationの取り組みを紹介しました。

KDDI 代表取締役社長 CEO 髙橋 誠KDDI 代表取締役社長 CEO 髙橋 誠

● 「5G×AI」が創る新時代―Life Transformation

髙橋は基調講演の冒頭で、「KDDIは日本国内で3,100万のモバイル契約者を有する通信事業者です。さらに世界では、KDDIグループの海外現地法人である『TELEHOUSE』ブランドで45拠点のデータセンターを運営し、自動車を中心に5,000万IDのIoT(モノのインターネット)を提供しています。また、ネットワークと顧客接点の両方に強みを持つ『Life Platformer』を目指し、通信だけでなく非通信領域にも積極的に注力してきました。今や非通信領域の売上は2015年と比較して2倍以上となり、全体の約44%を占めるまでに至っています」と、世界中から来場した聴衆を前にKDDIの事業の概要を紹介しました。

続いて、KDDI VISION 2030「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。(Enhancing the power to connect, Empowering the people to dream.)」について言及し、それを実現するための「サテライトグロース戦略(Satellite Growth Strategy)」について説明しました。

「5G、データドリブン、AIを太陽と見立て、その周りに通信と連携して拡大するビジネス領域である金融、エネルギー、DXを位置付けています。さらにその先のビジネス領域には宇宙、モビリティ、ヘルスケアなどを考えていますが、この領域はまだまだ変化していくでしょう。重要なことは、通信と全く異なる領域にビジネスを拡大するのではなく、通信やAIを活用した領域にビジネスを伸ばしていくということです」

KDDI 代表取締役社長 CEO 髙橋 誠

● グローバル市場で「つなぐチカラ」を進化させる

KDDIの事業の核である通信インフラについて、「現在、日本全国に約3万9,000のSub6*1基地局を展開し、全ての基地局で5G SA*2サービスの提供を開始しています」と5Gネットワークへの取り組みを説明しました。

また、グローバル分析会社Opensignal社が発表した「グローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード2025」(2025年2月27日発表)において、KDDIが「信頼性エクスペリエンス」「音声アプリ・エクスペリエンス」「ゲーム・エクスペリエンス」の3部門で世界1位を受賞したことに触れ、ネットワーク品質の向上に対する継続的な取り組みを強調。加えて、衛星を活用したサービスをSpace Exploration Technologies Corp.(スペースX)と共同で進めていることに触れ、その活用例を紹介しました

「すでにStarlinkを基地局のネットワークに活用しており、昨年発生した能登半島地震でもその実用性が立証されています。さらに、Starlinkとスマートフォンの直接通信サービスも今春から開始する予定です。これによって、山の中でも、海の上でも、『空が見えればどこでもつながる』未来の実現を、加速させていきます。またRCS(リッチコミュニケーションサービス)や生成AIとの連携も検討しています」

また、Starlinkの活用として、建設会社との例があります。トンネルでロボットとドローンを活用してデータを取得し、Starlinkで本社の設計部門にデータを転送しています。

さらに、世界中の他の通信事業者とのパートナーシップについて、「KDDIは、API(Application Programming Interface)を通じて通信事業者の価値を提供する『GSMA Open Gateway』構想に賛同し、初期メンバーとして参画しています。また、新たにグローバルキャリア間での共通APIの実装を推進する『Aduna』にも参加します」と、他の通信事業者との連携を深め、アプリ開発者やイノベーターとともにプロダクト・サービスの展開を加速させていくことを強調しています。

KDDI 代表取締役社長 CEO 髙橋 誠

● デジタルツインが「店舗」や「都市」を変える

さらに、通信技術を活用したデジタルツインの取り組みについて、「デジタルツインは、リアル世界のデータをバーチャル空間で分析・シミュレーションし、リアル世界にフィードバックすることで、より良い社会を実現する技術です」と語り、KDDIが実際に進めているリテール分野とスマートシティ分野での応用例を話しました。

リテール分野で言及したのは、これからのコンビニエンスストアについてです。KDDIは昨年、大手コンビニエンスストアである株式会社ローソンへ出資しましたが、コンビニエンスストアは非常に重要なお客さまとの接点であり、24時間営業、食料から公共料金の支払いまで地域住民にとって欠かせない存在です。都市部においても、今後人口減少の課題を抱える地域においても、重要な拠点となりえます。

「これからのコンビニエンスストアは、無人会計やデジタルサイネージを活用した買い物体験の向上のほか、資産運用、薬の服薬指導、行政サービスなどのリモートカスタマーサービスの拠点、さらには防災を目的としたドローン拠点や電気自動車の充電拠点としての可能性があります。また、労働力不足を解消するためロボットを活用した商品の補充や清掃、配達などのバックヤード作業をDX化することができれば、店員がより接客に時間を割けるようになるでしょう。デジタルツインによりバーチャルな世界でシミュレーションすることで、効率的にリアルな世界を改善していけると考えています」

次に、スマートシティの取り組みとして、東日本旅客鉄道株式会社 (以下、JR東日本)が2025年春に開業する高輪ゲートウェイシティについて触れました。

「この街では、人流データや店舗情報を活用した都市OS(オペレーションシステム)を構築し、より快適で安全な都市環境を実現します。JR東日本さまは、この街をスマートシティとしてあらゆることにトライする大いなる実験場とするとしています。KDDIはこの取り組みに賛同し、ここに本社を移転して実験に参画することにしました。最先端のコンビニエンスストアを設置し、未来の小売モデルを試験運用します。KDDIの従業員がこの街でどのような暮らしをしていくかというデータも活用し、スマートシティの進化に協力していきます」

KDDI 代表取締役社長 CEO 髙橋 誠

● AI時代に向け、データセンターを拡大、整備

講演の後半では、AI時代に向けたデータセンターの整備にも注力していることも発信しました。

「KDDIはシャープさまと連携し、大阪の堺にある液晶ディスプレイ工場をAIデータセンターに転用する取り組みを進めています。2025年4月にはAIデータセンター向けの工事が開始され、NVIDIAの最新高性能AIサーバGB200 NVL72を設置する予定です。KDDIは堺以外でもデータセンターの拡大を進め、AI時代への準備を着実に進めていきます」

さらに、「KDDIは『Life Transformation』を実現するため、つなぐチカラを進化させ、人々の生活を変えていきます」と力強く語り、講演を締めくくりました。

KDDIは、MWC2025で今回紹介された未来のコンビニエンスストアをモチーフに、通信とAIを核とした最先端のテクノロジーを展示し、世界中から来場いただいた多くの方々に、Life Transformationによる新たな価値を体験していただきました。

講演を終えた髙橋は、「MWC2025に参加することができて大変光栄です。通信事業者には、テレコミュニケーションの領域を懸命にやっている会社と、我々のようにライフプラットフォーマーとして通信以外の領域にも事業を広げている会社に大きく分かれます。MWC2025には世界各国から多くの通信事業者が参加されていますが、我々と同じ方向性の企業さまとお話しする機会もあり、非常に刺激的でした」と振り返ります。

KDDI 代表取締役社長 CEO 髙橋 誠

最後に、MWC2025を通して、KDDIの未来に向けた思いを語りました。

「KDDIブースには4日間で約1万3千人を超える方が来場し、多くの方々に楽しんでいただきました。KDDIにとってグローバル市場は成長の余地があり、データセンター事業やコネクティビティ事業といった『つなぐチカラ』をさらに展開していく必要があります。今後も『つなぐチカラ』を軸として、グローバル市場での成長を加速させ、さまざまな社会課題を解決していきます。そして、『誰もが思いを実現できる社会』を目指し挑戦を続け、新たな価値を世界中に届けてまいります」

*1 Sub6とは5Gの高品質な(高速・大容量・低遅延)通信に寄与する周波数帯のうち3.7GHz帯/4.0GHz帯/4.5GHz帯の通称。一部エリアで提供。
*2 5G SAとは、コア設備や基地局なども含めて5G専用の技術と設備で構成した5Gサービスを指す。

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