for-future

モンゴルの次世代を担う子どもたちに平等な機会を! デジタルを活用した教育支援事業

1990年の民主化以降、経済成長が著しいモンゴル。KDDIのグループ会社であるMobicom(モビコム)は、モンゴル最大の総合通信事業者として、モンゴル社会に貢献するさまざまな社会活動に取り組んできました。中でも、特に重視しているのが教育支援です。これからの社会を担う子どもたちにデジタルを活用した高度な教育機会を提供することが、モンゴル国の発展につながり、さらにはMobicomそしてKDDIがモンゴル国とともに成長していくことにつながっていきます。

モンゴルの小学校モンゴルの小学校

● 若年層におけるデジタルデバイドや教育格差が社会課題に

2016年3月にKDDIのグループ会社となったMobicomは、モンゴル最大の総合通信事業者であり情報通信の分野において幅広いサービスを展開しています。KDDIとMobicomとの関わりについて、KDDIのグローバルコンシューマ事業企画本部の木村 瞭は次のように説明します。

「KDDIは、1995年のMobicom設立時から出資し、Mobicomの運営およびモンゴルにおける通信事業の発展に寄与してきました。私たちは、KDDIが培った通信サービスの経験やノウハウ、技術力を提供し、Mobicomのビジネスを推進しています。一例として、2018年以来、人財交流プログラムとして計10名を超えるMobicom社員を受け入れ、KDDIでの業務を通じた研修を実施しています。また、モンゴル政府が日本のICTスタートアップの視察をする際に協力するなど、モンゴルとの橋渡し役も担っています」(木村)

KDDI グローバルコンシューマ事業企画本部 事業統括部 木村 瞭KDDI グローバルコンシューマ事業企画本部 事業統括部 木村 瞭

モンゴルの国土は日本の約4倍。人口は約350万人であり、そのうち半数が首都のウランバートルで暮らしています。では、国内の通信環境はどのような状況なのでしょうか。Mobicomのマーケティング部門でディレクターを務めるBatzaya Sukhbalsanは次のように話します。

「モンゴルは1人が複数の電話番号を持つ市場で、スマートフォンや携帯電話など、モバイルの普及率は全人口の130%以上*1に達しています。また、2025年からは5Gがスタートする予定です。特に若年層の利用率が高くなっています」(Batzaya)

Mobicom Corporation LLC,Marketing Communication Division,Batzaya Sukhbalsan(バトザヤ・スフバルサン)Mobicom Corporation LLC,Marketing Communication Division,Batzaya Sukhbalsan(バトザヤ・スフバルサン)

3Gが整備されて以降、国内のモバイルマーケット競争は苛烈さを増し、Mobicomも教育やエンタメ、金融などサービスの領域を拡大してきました。このように、通信インフラが整いサービスが豊かになる一方で、都市部と地方ではインターネットやデバイスの普及率が異なり、若年層におけるデジタルデバイドや教育格差が社会課題となっています。

「Mobicomは、国内最大の総合通信事業者として、デジタルデバイドや教育格差の是正に取り組んでいきたいと考えています。そのためにも、SDGs(持続可能な開発目標)に即した3つの目標である“質の高い教育”、“インフラのイノベーション”、“不平等の削減”を掲げ、より多くの学生に、より多くの機会を与えるためのさまざまなプロジェクトを推進しています」(Batzaya)

● 平等な教育機会を提供するための2つの支援プロジェクト

Mobicomでは、教育の質を高めることが国の発展を推し進めるという考えのもと、29年間にわたる企業活動を通じて、モンゴルの子どもたちの教育環境の改善に努めてきました。例えば、小学校に衛生的で安全な水洗トイレや洗面台などの設備を導入する「WASHプロジェクト」は、延べ約5万4千人の子どもたちの公衆衛生環境の向上に貢献しています。

「2021年からは、『Smart Education』という教育支援プロジェクトをスタートしました。コロナ禍でも平等な教育機会を提供するため、小中高生を対象に、スマートフォンやオンライン学習のデータパッケージの無償提供を実施したのです」(木村)

Smart Educationには多くの学生が参加
Smart Educationには多くの学生が参加Smart Educationには多くの学生が参加

「Smart Education がスタートしてから、プロジェクトに参加したモンゴルの小中高生の成績は、1年間に平均13.5%向上しました。このような成果を受けて、2023年度からはプロジェクトの対象を個人から学校へと変更。デジタル教室を学校に無償整備する取り組みを実施し、ウランバートルから1,200km離れたフブスグル県の学校を含む14の教室に、スマートスクリーンなどの設備を導入し終えました。現在は、Mobicomだけでなく、国内のさまざまな企業にも取り組みに参画していただき、本プロジェクトを推し進めています」(Batzaya)

2022年からは、もう1つの教育支援プロジェクト「Smart Usage」もスタート。プロジェクトの目的について、Mobicomでマーケティングを担当するTuvshinzaya Byambasurenは次のように明かします。

「Smart Usageは、簡単に言えば小中高生向けのスマホ教室です。ネットいじめの防止や、ネットリテラシーの向上、スマホ利用による健康被害への意識向上を目的に、実践型の講義を実施しています。モンゴルでは、ネットいじめを経験したことがある子どもが87%いるという調査結果*2もあります。スマホを安全に、適切に使ってもらうためにも教育が必要であると考え、プロジェクトをスタートしました」(Tuvshinzaya)

Mobicom Corporation LLC,Marketing Communication Division,Tuvshinzaya Byambasuren(トゥブシンザヤ・ビャンバスレン)Mobicom Corporation LLC,Marketing Communication Division,Tuvshinzaya Byambasuren(トゥブシンザヤ・ビャンバスレン)
Smart Usage 実践型講義の様子
Smart Usage 実践型講義の様子Smart Usage 実践型講義の様子

2023年には、教育機関との連携強化によって対象の学校数や生徒数を拡大し、より多くの子どもたちへこの活動に参加してもらうことを目指しています。Tuvshinzayaによれば、現在、Mobicomの従業員約100人がSmart Usageに賛同し、ボランティアとして活動に参加しているそうです。

「KDDIでは、これらのプロジェクトに対して、フレームワークの設計や日本のケーススタディ共有といった面でサポートを続けています。若い世代に適切な知識やツールを提供することで、モンゴルの持続的な成長に貢献していきたいと考えています」(木村)

KDDI グローバルコンシューマ事業企画本部 事業統括部 木村 瞭

● 次世代が希望を持てる社会をつくるために

国土の広さゆえに生じてしまう、デジタルデバイドや教育格差といった社会課題。SDGsの目標に含まれる「質の高い教育をみんなに」を実現するには、Mobicomだけでなく、国内のさまざまな企業や機関が連携して、解決に向けて取り組んでいく必要があります。

「Mobicomではこれまで、さまざまなステークホルダーを巻き込みながら、社会課題の解決に取り組んできました。Smart EducationやSmart Usageなどのプロジェクトにおいても、教育省やユニセフ、World visionなどの国際協力NGOとともに、取り組みを発展させていきたいと考えています」(Tuvshinzaya)

「私たちは、国内有数の総合通信事業者として、若い世代に良い影響を与え、彼らがもっとアクティブに活動できるような環境を作っていく責任を負っています。そのような社会を目指すことによって、国全体の発展にも貢献していけるはずです」(Batzaya)

Smart EducationやSmart Usageなどの教育支援プロジェクトを望んでいる学校は多いものの、実施された学校はモンゴル国内でまだひと握り。「ここから継続していくことが重要」と、KDDIの木村は未来を見据えます。

「今、実施している活動を着々と進めていき、多くの子どもたちに教育の機会を与えることができれば、10年後、20年後の未来がより良いものになっていくと思います。KDDIおよびMobicomは、これからも、モンゴルの若年層の教育支援を通して、モンゴル国およびMobicomの持続的な成長と、グローバルにおける社会課題の解決に積極的に取り組んでいきます」(木村)

国が発展し持続し続けるためには、次世代を担う子どもたちの教育が欠かせません。これから先もKDDIは、グローバルパートナーとの事業共創を通じて、誰もが思いを実現できる社会をグローバルにも拡大していきます。

*1:モンゴル通信規制委員会による調査、2024年6月時点
*2:モンゴル通信規制委員会による調査、2020年時点

KDDIトビラの記事カテゴリ

  • X
  • facebook
  • youtube