2024.01.23
DE&I アンコンシャスバイアス研修の効果と今後への期待
2022年3月、全社的に初めて開催された「DE&I アンコンシャスバイアス研修」。まずは本部長に向けた研修として始まりました。
そこで、多くの気付きを得られたと語るのはKDDI 技術統括本部 副統括本部長 田村俊之です。「世の中には、無意識の偏見があるということは自身で理解していましたし、自分の中にもおそらくあるだろうと思っていました。しかし、研修を受けるという段階になって、“アンコンシャスバイアス”という単語を知り、DE&Iの中でそれが非常に重要だということを初めて知りました」
研修で得られたアンコンシャスバイアスへの理解
研修の中で、アンコンシャスバイアスについて気付きを得た1つの事例について、「バスの運転手が、業務が遅くなるから家族に『夕ご飯を先に食べておいて』と連絡するシーンを提示されました。私はそれについて、父親が家族に対して連絡していると思いました。そこで、仕事で夜遅くなるのは男性という自分の思考自体こそが無意識の偏見、思い込みということを分かりやすい例として捉えることができました」と話します。
研修を通して、アンコンシャスバイアスという用語だけでなく、それが自身の中にも存在するという「気付き」を得たということです。まさに「私に先入観はない、という先入観を捨てよう」というKDDIのキャッチコピーに適した研修内容となっています。
さまざまな人が本来の能力を発揮するために、努力しても埋められない部分に不利益が生じないようにスタート地点を合わせるという考え方の「エクイティ:公平性」ですが、こちらについても気付きがあったといいます。
「例えばゴルフで、レディースティーは前側に設置されていますが、あれは平等にプレイするために女性として埋められない部分を最初から埋めている。それから格闘技などの体重別階級もエクイティに近い概念かもしれないと改めて感じました。KDDIでは、特に技術系の分野で女性基幹職が少ないという指摘があります。アンコンシャスバイアスやエクイティという考え方の浸透が、その問題を解決していくのではないでしょうか」
アンコンシャスバイアス研修で無意識の偏見への気付きと意識醸成へ
また研修を経て過去を思い返してみると、田村自身もアンコンシャスバイアスの対象になっていたといいます。
「私はもともと技術系として入社しました。開発業務を経て30代の半ば以降、サービスや事業の企画策定、M&Aといった必ずしも技術開発に関わらない、モノづくりではない業務も多く経験しました。そのとき、『理系の社員は、何かつくることにやりがいを感じるのでは?』といった考えを持っている文系の社員が多くいることに気付きました。理系はモノづくりを、文系はサービスを、考えるといった考え方も無意識のバイアスによるものです。理系の人財でも、お客さまに楽しんでいただきながら利益を得る、モノに限らずヒトに接することの方が楽しいと考える方は絶対いる。そういった個人の価値観を理解することが重要だと改めて気付きました」
DE&I アンコンシャスバイアス研修は現在、部長層やリーダー層向けに展開しています。研修が全社的に展開していくことに対して、田村は、「経営基幹職に女性社員を登用するとき、女性にだけその覚悟を問うような無意識のバイアスが働くことがあってはいけません。また、女性人財にさまざまな支援を行うことも“スタートを揃える”というエクイティの意味合いがあります。そのようなことをグループリーダーレベルまで理解してもらい、自然な形で仕事をしてもらえるような環境が整っていけば、最終的に組織のアウトプットも向上するのではないでしょうか」と期待をしています。
KDDIでは、以前からD&Iが推進され多様な人財に働いてもらう環境は整えてきました。今後もこれまで以上に、多様な人財に最大限の能力を発揮してもらうために、エクイティやインクルージョンがより重要であるという意識を社内で醸成していく方針です。そして、フェーズアップしたDE&Iの取り組みであるアンコンシャスバイアス研修などを通じて、多様な人財が活躍し、お客さまの多様なニーズに対して、多様な価値と新たな価値を提供できる「人財ファースト企業」へ変革していきます。