2023.1.19
中山間地域の快適な暮らしを叶えるために、ドローンを飛ばす
KDDIスマートドローンは、KDDIが2016年から推進しているドローン事業化の取り組みを2022年4月に事業継承しました。掲げるビジョンは「叶えるために、飛ぶ。」──。モバイル通信と運航管理システム、そして優れたドローン機体との融合によって、人や社会の思いを叶えることを目指しています。
例えば、過疎の問題を抱え、買い物弱者とされる高齢の方が多く住む地域の自治体の方は、より少ない労力で、誰のもとにも注文された荷物が届けられるようにしたいと願っているはずです。「そうした願いを、ドローンを遠隔制御で飛ばす仕組みによって叶えていくことが、KDDIスマートドローンの目標です」と代表取締役社長の博野雅文は語り、こう続けます。
「そもそも空を駆けるドローンには人を惹きつけ、わくわくさせる魅力があります。そのドローンが地域の人々のために飛び回ることで、地域が元気になり、さらに人口の社会増となることにより、過疎問題の抜本解決に貢献したいとも強く願っています」
地域へのドローン定着のカギを握る運航管理システム
地域貢献へのそうした思いを具体化させるうえで重要な役割を担うのが、ドローンの遠隔操作や映像のリアルタイム共有を可能とするKDDIスマートドローンの「運航管理システム」です。その最大のポイントは、ドローン操縦の熟達者でなくともドローンの運航が行える点にあります。
「過疎地域における物流の問題を解決するためにドローンを導入したとしても、運用のために特殊技能を持った技術者を雇用しなければならないとすれば、地域にドローンサービスを定着させることは困難です。当社の運航管理システムは、各地域が地域内の人材だけでドローン運航が行えるよう、使いやすさに徹底してこだわっています」と博野は明かします。
こうした設計上の工夫が奏功し、例えば、2020年8月に運用が開始された長野県伊那市におけるドローン配送サービス「ゆうあいマーケット」では、現地スタッフによって毎日のドローン運航を実現しています。
「いずれは、運航管理システムを通じて、熟練者でなくとも配送用の多数のドローンを同時並行で運用できるようにする計画です。それが実現することで、より少ない人数で、より多くの人にドローン配送サービスを提供できるようになります。また、運航管理システムには、飛行ルートを設定するだけで、国交省への飛行申請が自動で行える機能も搭載させる予定です」と博野は説明を加えます。
地域課題解決のパートナー、エアロネクストに膨らむ期待
KDDIスマートドローンは、全国自治体へのドローン配送サービスを浸透させるパートナーとして、エアロネクストと協業・共創の取り組みを推進しています。
KDDIスマートドローンは、2022年3月に新潟県阿賀町で展開されたエアロネクストとセイノーホールディングスのスマート物流プラットフォーム「SkyHub」*1の実証実験を支援したのを皮切りに、2022年6月にはエアロネクストの物流専用ドローン「AirTruck」とKDDIスマートドローンの「スマートドローンツールズ」*2とを組み合わせたドローン配送パッケージ「AirTruck Starter Pack」の提供も開始。10月にはAirTruck Starter Packを使ったSkyHubサービスを福井県敦賀市でスタートさせました。この試みではドローンを使い最短30分で物品を届けるオンデマンド配送や買物代行などのサービスが地域住人に向けて提供しています。
「エアロネクストは、提供するAirTruckの性能が非常に高いうえに、同社が展開するSkyHubはドローン配送と陸送とを巧みに組み合わせ、地域の課題に対応していく実効性の高いソリューションです。エアロネクストとの共創・協業によって、多くの地域の課題を解決し、その願いを叶えていくことができると確信しています」(博野)
*1 SkyHub:エアロネクストとセイノーホールディングが共同で推進するドローン配送と陸上輸送を融合したスマート物流プラットフォーム
*2 スマートドローンツールズ:モバイル通信、運航管理システムと、クラウド、その他オプションから構成されるKDDIスマートドローンのサービス