KDDIとエリクソン・ジャパンは、2025年9月27日、「エリクソン×KDDI 遠隔STEAM教室」を行いました。これは、東京都港区・TAKANAWA GATEWAY CITYのKDDI本社と宮城県仙台市のエリクソン・ジャパン仙台オフィスをつないで、子どもたちにロボットプログラミングを体験してもらうという取り組み。仙台市教育委員会の後援のもと開催されました。
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今回の「遠隔STEAM教室」は、「KDDIみらい共創プログラム」の一環として行われました。「KDDIみらい共創プログラム」は、つなぐチカラを進化させたパートナーとの共創により、未来を担う子どもたちの思いを実現し、夢や希望を届け、可能性を広げる機会を提供したいという思いで発足した活動です。
東京と仙台が同じ教室のような熱気に
「遠隔STEAM教室」では、グループ同士が離れていても、同じ場所にいるかのような臨場感でコミュニケーションできるKDDIの「空間自在コネクター」によって実現しました。東京側の会場はKDDI本社の「TSUNAGU BASE」ラウンジ。エリクソン・ジャパン仙台オフィス会場の様子が4K相当の映像で壁面のディスプレイに映し出され、同時に高性能の集音マイクで現地の音声もタイムラグなく届きます。同様に東京の映像や音声も仙台にリアルタイムで届けられています。
イベントの進行は東京側で行われ、講師の声や動作は『空間自在コネクター』を通じて仙台と共有。小学5年から中学1年の子どもたちを中心に合計25人が、同じ教室にいるような雰囲気のなかでロボットプログラミングに取り組みました。
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今回行われたロボットプログラミングは、小中学校のプログラミングの授業でも使われているレゴ® エデュケーションSPIKE™のシステムを使用して、エリクソンがグローバルで展開しているデジタルラボのロボティクスコースに、KDDIで独自にAIカメラを組み合わせました。
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最初にAIについて簡単なレクチャーを受けたうえで、AIカメラにオリジナルの“標識”を認識させることを学ぶ子どもたち。初めて触れるAIカメラに大興奮しながら、AIが学習する流れを習得します。そして、AIカメラが標識を認識したときにどうロボットが動くかを、PCからアプリを使ってプログラミングしていきます。
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東京会場の子どもたちは2人1組、仙台会場は子ども1人にそれぞれインストラクターが1名付き、ロボット1体をプログラミング。KDDIとエリクソン・ジャパンのメンバーはインストラクターとして参加しました。
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最終的には、模造紙に「左折」「右折」「一次停止」の標識を配置し、AIカメラがそれを認識し、ロボットがプログラミングどおりに走行していかに早くゴールできるかを競います。
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プログラミングは、パソコンのディスプレイ上でコマンドが記されたカラーブロックを並べていくという簡単操作。ロボットの走行速度が速すぎてAIカメラが標識を認識できなかったり、カーブのタイミングがずれて、ロボットが次の標識を認識できなかったりと、なかなか思い通りにはいきません。
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実際にコースを走らせては「速度85%まで下げよう」「ギリギリまで攻めるか!」など、初対面の子どもたちが、熱く議論しながらプログラミングの改良に取り組むシーンも。仙台側の熱気も「空間自在コネクター」を通じて東京に伝わってきます。
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そして、東京と仙台、それぞれ2度ずつ行われたレースの優勝者同士で決勝戦を行い、最後には「遠隔STEAM教室」修了証が授与されました。
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会場内を走り回ってプログラミングとレースの試行錯誤に夢中
「遠隔STEAM教室」に参加した、東京の優勝チームの2人に感想を聞いてみました。
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カホさん(右・小学6年生)
「今日はとても楽しかったです。レースのタイムを上げる工夫をしてちゃんと提案できたし、ちゃんと結果が出たのがとてもうれしかったです」
タクくん(左・中学1年生)
「パソコンは普段からいじっているんですが、チームでいろいろ考えて話し合って試してみるという経験は初めてで、いつものプログラミングとは違う楽しさでした。」
仙台側にも空間自在コネクターを活用して東京からインタビューしてみました。
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ユウキさん(仙台会場:右・小学5年生)
「今日は自分で考えたプログラムでレースに勝てたのがうれしかったです。いちばん工夫したのは速度を80%にして攻めたところです。東京の楽しそうな雰囲気は仙台でもずっと感じていました」
ユウキさんのお母さん(仙台会場:左)
「みんな楽しんでいてよかったです! それと、私、仕事でテレビ会議はよく利用するんですが、このシステムには驚きました。鮮明な画像でタイムラグなく会話ができて、対面でのコミュニケーションと遜色なかったと思います」
KDDIとエリクソン共創の背景は通信による社会貢献
KDDIとエリクソン・ジャパンがこの取り組みで目指したものは何だったのでしょうか。
エリクソン・ジャパン マーケティング統括本部長の相田 桂さんは両社の出合いを振り返ります。
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相田 桂さん
「エリクソンでは、グローバルの教育支援活動“Connect to Learn”の一環として、『デジタルラボ』というプログラムを展開しています。ロボティクスやAI、電子工学、ゲーム開発、プログラミングなど五つの領域での11~16歳の子どもたちを対象とした体験型の教育なのですが、日本では2022年末からKDDI先端技術統括本部さんと協働するかたちで、ロボットプログラミング教室を開催しています。
私たちは将来の人材育成と教育格差の是正を目指しています。将来の労働力不足を見据え、子どもたちに自分たちで考え、手を動かす体験をしてもらうことで、デジタル技術により親しんでもらいたいと考えています。今回はさらに、KDDIさんの『空間自在コネクター』を組み合わせ、東京と仙台を4K相当の映像で結んだ遠隔授業を実現しました。AIカメラも導入し、講師が目の前にいるような臨場感を再現。それぞれ通信に携わる会社の理念が一致した自然な共創になったと思います」
エリクソン・ジャパンと行っていた取り組みが、「KDDIみらい共創プログラム」の一環へと進化したその背景について、同プログラムの責任者であるKDDI ブランドマネジメント部の西原 由哲が説明します。
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「『遠隔STEAM教室』は、同じ『KDDIみらい共創プログラム』の一環で京都サンガF.C.さん、京都府さんと行っている『遠隔サッカー教室』で得た知見をベースにしています。地方と都市の教育や指導者の格差を“つなぐ”ことによって解消したい、という思いを教育分野でも実践したいと考えたのが出発点でした」

「今回の遠隔STEAM教室で実現したかったのは、単なるオンライン授業ではなく、“距離に関係なく同じ熱量で学べる教育体験”です。都心と地方では、先生や教材、学ぶ機会にどうしても差が生まれてしまいます。そこでKDDIの通信技術『空間自在コネクター』によるリアルな臨場感を活かし、東京の講師が仙台の子どもたちにまるで同じ教室にいるように教えられる環境をつくりました」
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「さらに、企業や自治体、パートナーが力を合わせて教育の未来を形にしていくという『KDDIみらい共創プログラム』の考え方を体現したいという思いもありました。通信をインフラとしてだけでなく、社会課題を解決する手段として生かすこと。それが私たちがこのプロジェクトで目指していることです」
イベントの見学に来ていた、KDDIとエリクソン・ジャパンの「ロボットプログラミング教室」を行っている横浜市立箕輪小学校の五嶋 裕輝先生にも、今回の取り組みについて聞きました。
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「プログラミング教育が必修化されたことで、現場の教員には教材づくりや専門知識の不足といった大きな負担が生じています。そうした中で、KDDIさんとエリクソンさんの取り組みは、専門性の高い内容を子どもたちが直接学べる貴重な機会だと思います。私たち教員にとっても学びの場となり、授業の質を高める助けになりそうです。
今回の遠隔STEAM教室では、離れた学校同士が一体となって学ぶことができる可能性を感じました。単なるリモート授業ではなく、空間を共有して協働する感覚が得られた点がとても印象的でした」
「KDDIみらい共創プログラム」の根幹にある熱いモチベーション
「KDDIみらい共創プログラム」の大きな特徴のひとつは、責任者の西原以外のメンバーは全員、自身の“本業”とは別に社内の副業制度を利用して参加している点。「遠隔プログラミング教室」の企画に関わった2名に、今回の取り組みについて聞きました。
本業はマーケティングを担当している細井 飛聡は、ロボットプログラミング教室のプロジェクトリーダーとして、全体企画と社内外との連携を担当。子どもたちと保護者の方が楽しく、安心して参加できるよう企画設計をしました。
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「今回もっとも重要だったのは、エリクソンさんの仙台オフィスへの『空間自在コネクター』の設置でした。空間自在コネクターを十分に生かすためにはセキュリティやネットワークの環境構築が必須でした。そこで、仙台へデモに伺い、空間自在コネクターの価値を実際に体感いただき『子どもたちにより良い学びの環境を、一緒に届けたい』という思いを共有しました。その結果エリクソンさんが社内で奔走下さり、短期間にもかかわらず、ネットワーク環境を構築いただくことができました。通信やテクノロジーを単なるサービスではなく“人の成長や学びを支えるツール”として届ける、その発想をパートナーさまに伝えていくという視点を、私自身も今回の経験から得ることができました」
普段、カスタマーサービスを担当している杉山 明日香は、イベントの広報・コミュニケーションを担当しました。

「この取り組みを広く伝えることが大きな課題でしたが、関係部門と協力し、さまざまな媒体を活用することで、多くの方に関心を持っていただくことができました。この経験から、パートナー企業と共に新しい価値をつくる喜びを実感しました」
パートナー企業とともに「誰もが思いを実現できる社会」へ
KDDIとエリクソン・ジャパンの共創の、今後の展開について西原が語ります。
「エリクソンさんと、より継続的で発展的な取り組みを進めていきます。5Gや『空間自在コネクター』技術を活用した遠隔教育の常設化と、複数拠点を同時につなぐ授業モデルの確立を目指し、さらに、過疎地域や被災地等も含む教育リソースの限られた地域にも専門的な学びを届け、誰もが等しく最先端の教育を受けられる環境づくりを進めます」
そして「KDDIみらい共創プログラム」もさらなる発展を見せます。
「『みらい共創プログラム』は、今後さらに領域を広げていきます。教育現場から得た知見をもとに、エンタメ、地域の課題解決など多様な分野での共創を目指します。KDDIと、エリクソンさんをはじめとするパートナー企業、自治体、教育機関が協働し、リアルとデジタルの垣根を超えた“参加型の共創フィールド”を全国に広げていく構想です。遠隔でも“同じ空間を共有できる”技術を活かし、地域や世代を越えて学び合い、支え合う社会の実現を目指していきます」
KDDIはこれからも、未来を担う子どもたちの思いを実現し、可能性を広げる機会を提供します。
