2023.5.30
ほぼ100%の再資源化率を支える「手分解」の舞台裏
使用済み携帯電話の再資源化率、99.8%。この高い数値を可能にするのが、人の手を使った端末の分解です。
「機械で分解すると、再資源化率は70~80%にとどまってしまいます。環境に配慮した循環型社会を目指す私たちは、ほとんどの素材を再利用できる手分解にこだわってきました」KDDIチャレンジドの大屋瑞夫は、携帯電話のリサイクルを支える仕組みと技術について、このように話します。
携帯電話がバラバラの18種類のパーツに
1カ月に約5,000台という使用済み携帯電話の分解を担当しているのは、6人の分解担当者。繰り返しの作業を得意とし、高い集中力を持つ知的障がいのあるスタッフです。
作業場ではスタッフが、慣れた手つきで手際よくパーツを外していきます。驚きの速さで外されたパーツは机の上のケースに分別され、ある程度まとまったところで大箱に運びこまれます。使用済み携帯電話は最終的にネジやカメラ、スピーカーなどの18種類のパーツに分けられ、リサイクル業者に渡されます。
「分解を始めた当初は、リサイクル業者の協力を得てマニュアルを作成し、わからないところは教えてもらいながら分解を進めていました」大屋はこの事業が始まった時のことを、こう振り返ります。
他キャリアの端末も含め、携帯電話は多種多様なため、個別の分解マニュアルはありません。新人はベースとなる端末のマニュアルを見ながら分解の基本を覚え、あとはベテランスタッフに教えてもらいながら、複雑な端末の分解を覚えていきます。
ちなみに、分解が難しいのは、au携帯電話の中でもファンの多い「G'zOne」シリーズ、通称G-SHOCK携帯。「防水仕様でつくりも頑丈なため、部品を外すのには特に技術が必要です」(大屋)
作業の工程は大きく3つに分かれています。最初はネジを隠すカバーやシールを外す「仕分け」という作業。次は電動ドリルをつかってネジを外します。最後にバラバラにして18種類のパーツに分別して終了。
それぞれの工程を6人のスタッフが一斉に行い、次のステップに進むという形で効率よく分解しているのだとKDDIチャレンジドの堀内定幸は話します。
KDDIは手分解の携帯電話リサイクルを通じて、より多くの素材を再資源化することで、地球にやさしいリサイクル社会への取り組みを進めていきます。