社会の持続的成長と企業価値向上を目指す「KDDIのサステナビリティ経営」:KDDI SUMMIT 2023

日々の生活やビジネスから視線を上げ地球全体へと目を向けると、気候変動や生態系破壊などの環境問題が深刻化し、人権問題や貧富の格差の拡大といった社会課題もより複雑化しています。

KDDIは、こうした社会課題の解決と企業価値の向上とを両立させ、ありたいレジリエントな未来社会に向けて邁進するという思いを込めて、2022年5月に「中期経営戦略」と「KDDI VISION 2030」を策定。そして、「サステナビリティ経営」を経営戦略の軸に据えました。

2023年2月21日~22日に開催したオンラインイベント「KDDI SUMMIT 2023」のセッションのなかから、KDDI 執行役員 コーポレート統括本部 副統括本部長 兼 サステナビリティ経営推進本部長である最勝寺奈苗が登壇した「KDDIのサステナビリティ経営」について紹介します。

「長期志向」と「環境・社会価値」の観点を組み入れて、持続的成長を目指す

「KDDI SUMMIT 2023」に登壇したKDDI株式会社 執行役員 コーポレート統括本部 副統括本部長 兼 サステナビリティ経営推進本部長 最勝寺奈苗の「KDDIが掲げるサステナビリティ経営」についてのセッション前半を、以下ダイジェストでご紹介します。

サステナビリティ経営実現のための6つの重要課題

KDDIグループが掲げるサステナビリティ経営とは、経営戦略に長期志向と社会価値の観点を組み入れて、持続的成長を実現することです。経済価値に加えて、社会価値、環境価値を向上させることが、企業価値の向上と社会の持続的成長実現につながります。社会の成長をKDDIの次の事業戦略に活かし、それが再び社会に還元されるという好循環を目指しています。

サステナビリティ経営を実現するためにKDDIグループでは、5G通信を核とした「サテライトグロース戦略」を展開しています。これは、通信を軸にDX(デジタルトランスフォーメーション)、金融、エネルギー、LX(ライフトランスフォーメーション)、地域共創という5つの注力分野を定め、通信を核としてシナジーを発揮することで通信事業の進化と新たな領域の成長を加速させる戦略です。

サテライトグロース戦略

サステナビリティ経営を実現するための重要課題(マテリアリティ)を6つにまとめ、それに対応した社会に提供すべき8つの提供価値を定めています。そして、25項目のサステナビリティ中期目標(KPI)の達成状況をモニタリングしています。

パートナーのみなさまとともに実現するビジネス戦略

KDDIが目指しているのは、5Gの特性を生かして「つなぐチカラ」を進化させ、あらゆるシーンに通信を溶け込ませることで、パートナーのみなさまとともに新たな価値が生み出すことで、同時に社会課題を解決することにあります。

ここで、「つなぐチカラ」を進化させている4つの具体的な取り組みをご紹介します。

1つ目は衛星通信の取り組みです。スペースX社の衛星ブロードバンドインターネット「Starlink」をau基地局のバックホール回線、いわゆる中継回線に利用することで、山間部や島しょ地域の通信環境を改善できます。デジタルデバイドを解消し、日本中どこででもauの高速通信を利用できるようにすることが、KDDIの目指す姿です。

2つ目はメタバースについてです。エンターテインメントと通信技術を掛け合わせることで、時間や場所の制限をなくし、ジェンダー・年齢・障がいなどに関わりなく社会と人々がボーダレスにつながる新しい体験価値を創出します。

3つ目はドローンの取り組みです。ドローンを活用し、さまざまな社会課題解決に取り組んでいます。例えば、各地の自治体や流通企業と連携し物流の実装や、中山間地域でのドローン配送、離島地域での災害時物資輸送など、ドローンを通じて快適な社会の実現を目指しています。

4つ目は地域課題解決の取り組みです。情報格差や地域特有の課題をサポートすることで、デジタルデバイド解消に取り組み、通信のチカラで地域共創の実現を目指していきます。その具体例として高知県日高村では、チェンジ様と共創した「村まるごとデジタル化」プロジェクトが進行中で、地元のauショップと共にスマートフォンの普及や活用支援を実施しています。

KDDIはこれからもパートナーのみなさまとともに新たな取り組みに挑戦し続け、社会の持続的成長と企業価値の向上を目指してまいります。

事業を支える経営基盤強化の取り組み

「KDDI SUMMIT 2023」に登壇したKDDI株式会社 執行役員 コーポレート統括本部 副統括本部長 兼 サステナビリティ経営推進本部長 最勝寺奈苗の「KDDIが掲げるサステナビリティ経営」についてのセッション後半を、以下ダイジェストでご紹介します。

サステナビリティ経営を中期経営戦略の軸と位置付けているKDDIでは、「つなぐチカラの進化」を推進していくための経営基盤強化にも取り組んでいます。経営基盤強化のための主要テーマは3つあります。「カーボンニュートラルの実現」「ガバナンス強化によるグループ経営基盤強化」「人財ファースト企業への変革」です。

カーボンニュートラル実現のために

1つ目のカーボンニュートラルの実現に関して、KDDIでは、カーボンニュートラル達成目標を2030年度に前倒ししたほか、2026年度にはデータセンターの全世界でのカーボンニュートラルを目指しています。さらにKDDIグループ全体では2050年度までにCO2排出量実質ゼロを目指します。そのために、スタートアップのみなさまとともに社会全体のカーボンニュートラル実現と気候変動問題の解決にも取り組んでいます。

カーボンニュートラルへの取り組み

また、KDDIではエネルギーやグリーン分野のイノベーションは社会課題解決と企業成長の重要なテーマであると考えており、コーポレート・ベンチャー・キャピタル「KDDI Green Partners Fund」を2021年に立ち上げました。環境課題に取り組むスタートアップ企業への投資規模は、5年間で約50億円。彼らの技術を生かしたビジネスの開発を進めていきます。

KDDI Green Partners Fund

ガバナンス強化と人財ファースト企業への変革

2つ目の柱は「ガバナンス強化によるグループ経営基盤強化」です。KDDIのグループ企業の増加と事業の多様化に対応するなかで、リスクマネジメント体制や情報セキュリティの強化は、ガバナンス向上のために不可欠となっています。グループ全体でシナジーを発揮してさらなる成長を遂げるために、CFO人財の育成・支援体制を強化し、シェアードサービスの活用やモニタリング体制の確立を目指しています。こうした総合的な取り組みを通じて、リスクマネジメント体制を強化していきます。

ガバナンス強化

またKDDIグループでは、人権尊重の徹底にも取り組んでいます。2022年10月には「KDDIグループ人権方針」を改定しました。人権尊重に向けたさまざまな取り組みを従来から更に踏み込み、加速しています。

人権尊重の取り組み

経営基盤強化の3つ目の柱は「人財ファースト企業への変革」です。具体的には、人財を最も大切なリソースと捉え、KDDI版ジョブ型人事制度を浸透させ、多様な人財活躍とD&Iを目指す「新人事制度」、全社員のDX基礎スキル習得やプロフェッショナル人財育成により組織力の最大化を目指す「社内DX」、社員エンゲージメントを向上させ社員と会社がともに成長することを目指す「働き方改革」、これら三位一体の改革を次のフェーズへと進めていきます。

サステナビリティ経営の社内浸透

KDDIが掲げるサステナビリティ経営は、全社員が理解し、浸透してこそ真に価値があるものだと考えています。そのための具体的アクションとして、社長が現場を回って社員とフラットに対話する「ワクワクツアー」や、社員の職位ごとに理解浸透を図る「階層別勉強会」、さらには業務の1%程度(年約2日)をお客さまと接する時間とすることで、「お客さま・社会の課題を体感する」といった取り組みを実施しています。また、ESG関連の取り組みを業績連動型賞与算定の評価指標に組み込むことで、仕組みの面からもサステナビリティ経営を実効性のあるものにしています。

KDDIグループは、これからも多様なパートナーのみなさまとともに、社会の持続的成長と企業価値の向上を目指したサステナビリティ経営を推進してまいります。

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