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KDDI決算 次の成長を支える、モバイル構造改革やAI時代に向けた取り組みが進展

KDDIは、2025年11月6日に2026年3月期第2四半期の決算説明会を行いました。本記事では、決算説明会のポイントを、代表取締役社長CEOの松田 浩路のコメントとともに、分かりやすく解説します。詳細は、決算短信やオンデマンド配信、決算プレゼンテーション資料をご確認ください。

決算説明会2026年3月期2Q | 決算説明会 | KDDI株式会社

2026年3月期第2四半期 連結業績

連結業績は増収増益、EPS目標達成に向けて想定通り進捗しています。売上高は2兆9,632億円で昨対比プラス3.8%、通期予想に対する進捗率は46.8%。営業利益は5,772億円でプラス0.7%、進捗率は49.0%。親会社の所有者に帰属する当期利益は3,777億円でプラス7.6%、進捗率は50.5%となりました。第2四半期単独での昨年対比の成長が大きく、売上高はプラス4.1%、営業利益はプラス2.9%、当期利益はプラス18.6%となっています。

連結業績
連結営業利益

各事業が成長し、過年度販促費影響を吸収しました。左からパーソナルセグメントのモバイルは昨対比プラス111億円、金融・エネルギー事業・ローソンの持分法利益は合わせてプラス127億円、DXはプラス39億円、技術構造改革はプラス96億円、過年度販促費影響はマイナス312億円で、トータルでプラス41億円の増益となりました。

連結営業利益

通期目標の達成に向けた下期業績のポイントとして、モバイルはサービス改定による価値向上を含め成長加速して、下期昨対比プラス190億円以上、通期ではプラス300億円超を目指します。注力領域(DX・金融・エネルギー・ローソンの持分法利益)はプラス約300億円を目指します。このうち金融は預貸率を重視した戦略に転換、DXはBPO事業のターンアラウンドにより成長軌道に乗せていきます。これに技術構造改革のプラス影響を加え、全体でプラス約550億円の達成を目指します。なお、過年度販促費のマイナス影響は上期で終了します。

モバイル構造変革の進展

2025年5月の料金改定発表の際に「つなぐチカラが生み出す好循環を目指したい」とお伝えしました。

つなぐチカラが生み出す好循環

「この好循環が動き始めていると実感しています。左下のとおり、当社はこれまで通信品質にこだわった積極的な5G基地局投資や、Starlinkとの連携を進めてきました。そこが価値づくりにつながり、取り組みが芽吹き、通信品質No.1、つながる体感価値など、当社ならではの価値を創出することにつながり、それらをセットにした新プランを提供することができました。そして、そのサービス改定・料金改定を原資としてパートナーさまへの還元、価格転嫁への対応、販売チャネル強化などにつなげていくことができています。この循環こそが、当社のサステナブルな事業成長の根幹となっています。これからも、パートナー様とともに成長していく、好循環を繰り返していきます」(松田)

KDDI 代表取締役社長 CEO 松田 浩路
KDDI 代表取締役社長 CEO 松田 浩路

そうした好循環で生み出す価値をベースに、モバイル事業はライフタイムバリュー(LTV)を意識した構造変革に取り組んでいます。

LTVを意識した構造変革

お客さまは、サービスの価値、端末、月額の料金などに魅力を感じて、auやUQ mobileにご加入いただいています。KDDIはそれぞれのブランドでお客さまのニーズに応じ、利用し続けていただくことを重視しています。また、UQ mobileのお客さまには、auならではの価値をお伝えし、ご理解いただいたうえで移行を推奨しています。

「この構造改革を半年以上前から続けており、一部の、特定目的での短期解約を誘発するようなプランや売り方を見直してきています。今後はより長期的な視点を重視し、価値づくりによるARPU成長、ご契約の長期化による解約率の低下にこだわって、より筋肉質な事業基盤にしていくことを推進しております」(松田)

つなぐチカラの進化、Opensiignal社ユーザー体感分析、au Starlink Direct(スターリンクダイレクト)

価値づくりの根幹となるのが、つなぐチカラの進化、通信品質です。KDDIはNo.1通信品質とエリアカバレッジによる、業界随一のネットワークを構築していきます。

これまでこだわってきた投資の成果が表れており、Opensignal社のユーザー体感分析では、2月の世界評価No.1*1に続き、10月には国内3連覇*2を達成しました。それに加え、au Starlink Directは8月にデータ通信を開始し新しい価値を提供することで、多くのお客さまにご利用いただいています。

「au Starlink Directの接続数(ユニークユーザー)は約270万人、対象機種76機種1,000万台以上というところまで拡大しました。また、本日発表しましたように、Apple Watchにも対応しました。お客さまやアプリ開発パートナーからもご好評をいただいており、業界のフロントランナーとして、これからも新しい価値を創造し続けてまいります」(松田)

「つながる体感」、au 5G Fast Lane、au 海外放題

この「つながる価値づくり」が広がっています。

「混雑時にもより快適につながるau 5G Fast Laneは、9月末で80万人、直近10月末には100万人を超えるお客さまにお使いいただいております。例えば、通勤通学の電車の中ですとか、フェスなどのイベント会場で快適につながることでご好評をいただいております」(松田)

海外でもつながるau 海外放題は、海外に行った時に1カ月のうち15日間が無料で使えるサービスです。ご利用者さまから好評で、Wi-Fiルーター要らずということが浸透してきています。

Pontaパス、地震の備えサポート、RCS

KDDIならではの価値づくりとして、暮らしにおトクや安心を提案するエンゲージメント向上に取り組んでいます。

Pontaパスは、第2四半期に純増約29万会員と拡大しています。ローソンでは、クルーの発案で、「コーヒーの無料クーポンが毎月5枚もらえる」というコースを追加して好評を博しています。

また、地震の備えサポートとして、震度7の地震が発生した際に当面必要となる3万円をその日のうちに入金するサービスを年内に提供開始します。これもauバリューリンクプランに含まれているサービスです。

安心・安全のメッセージアプリであるRCS(スマートフォンの電話番号を使ったメッセージサービス)は、iPhone のアップデートで事前操作なく使えるようになりました。電話番号だけで、相手の端末を気にすることなく、写真や動画が安全に送れます。

通期目標達成に向けて

2026年3月期の目標達成に向け、金融とDX(ビジネスセグメント)に関しましては期初から事業環境に変化があり、課題だと認識しております。以降で、金融とDXそれぞれについて、この後の成長に向けた取り組みにフォーカスして説明します。

金融については、金利ある世界になり、預金調達の競争が激化してきました。住宅ローンだけに依存せず、預貸率をより意識した戦略に転換をしていきます。

個人の預金残高は昨対比1.3倍と順調です。この調達力を強化するために、プランの特典強化や銀証連携の拡大を進めていきます。クレジットカードは会員数の拡大が急務ですが、ゴールドカードについては172万会員に到達し、さらに成長させていきます。

ビジネスセグメントは、モバイルやIoT、データセンターが順調だった一方で、BPO事業やSI関連事業で一過性減益要因があり、期初予想対比でビハインドとなりました。ただし、それぞれ減益要因の解消目途はついており、リスクとしては見切っていると考えています。下期の大幅増益の実現に向けては、「主力サービスの安定成長」と「新規商材の受注拡大」を加速させます。
モバイルやIoTといった主力サービスは、上期も昨対比10%以上を達成して成長を牽引しています。IoTについては、「BMWのつながるクルマ」へ提供を開始し、7月以降に生産された北米地域の全車両にKDDIの通信サービスが搭載されていきます。また、新たな商材も成長に貢献しています。

ビジネスセグメント業績

「ファシリティとして、高輪新本社のデジタルオフィスが多くのお客さまに関心をいただいております。そのノウハウを生かし、下期は案件を着実に伸ばしてまいります。また、Starlinkやドローンは、防災・点検・警備などの分野をはじめ、常設や大口案件も増えており、ニーズの高い官公庁・自治体を含めて開拓してまいります」(松田)

次の成長に向けた取り組み

経営新体制となって半年が経過し、料金改定をはじめ、着実に将来に向けた事業基盤の構築が進展しています。そうした状況も踏まえ、来年からの次期中期経営戦略に向け、「持続的成長」と「クオリティ」の2つを重要テーマとして掲げています。

AI時代の持続的成長と企業価値の向上

AI時代において、通信をはじめとしたインフラを次世代モデルにトランスフォームすることに加え、付加価値、成長領域をデジタルデータとAIを活用してさらに拡大していきます。AI時代を支える通信、セキュリティ、データセンターなどの価値を向上させ、AIにより各事業領域の成長を加速します。

今後も通信を軸とした事業成長が可能だと考えており、成長と合わせてリターンに基づくキャピタルアロケーションや資本効率などを意識していきます。そのため、格付けも意識したレバレッジの活用で投資原資を最大化し、その成長投資は規律をもって、中長期目線で高いリターンの見込める領域に行います。また、これらと合わせ、安定増配をベースに自己株取得も機動的に実施したいと考えています。

「持続的成長という当社の強みをAI時代においても進化させ、資本効率性を意識したクオリティ、これを追求していくことで、企業の価値、企業価値の向上を目指してまいります」(松田)

ネットワーク構築の取組み

次世代インフラ構築に向け、AI時代を支えるネットワークの高度化が着実に進んでいます。

「業界最多のSub6/ミリ波の基地局で快適なエリアを構築し、4Gの転用周波数を含めた5G SA化で、5Gの特徴を最大限発揮できるエリアを拡大していきます。今期、第4四半期には、人口カバー率90%超のエリアを目指してまいります」(松田)

ミリ波通信については、高輪を実験場としてパートナーさまとともにユースケースの実証を行っています。NETFILXの動画が1話1秒でダウンロードできたり、またSONYのカメラを用いた4Kの撮影写真80枚が80秒でアップロードできるなど、ミリ波の特長を生かしたユースケースがでてきています。

データセンターの拡張

AI活用で急速に需要が高まるデータセンターは、これまでにTelehouse(テレハウス)で培ったノウハウと強みを生かし、さらに拡張していきます。

Telehouseは事業者間の接続数のシェアで世界第3位、通信事業者では第1位を誇り、都市に近接する立地が強みとなっています。結果、メガワット当たりの高収益性や、投下資金の効率化などの実績につながっています。

「これらを生かし、AI時代に向けて、ロンドンにおける6棟目となるデータセンターを総工費約600億円で建設します。ロンドンデータセンターの供給電力は約57メガワットまで増強され、推論AIなどのリアルタイム処理にも最適なスペックで対応可能となります」(松田)

AIデータセンター

国内のAIデータセンターは、Telehouseのノウハウも活用し、セキュアな大規模AI基盤を早期構築していきます。

「大阪堺データセンターは来年1月にいよいよ稼働を開始いたします。ソブリンなAI*3開発環境を提供し、安心して活用できるこうしたAIインフラをもって、日本の産業競争力の向上に貢献してまいります。この国内の最新GPU基盤上でGeminiを提供するGemini on GDC(グーグル・ディストリビューテッド・クラウド)を早速、大和総研さまに活用いただく予定でございます」(松田)

AIサービス

Google Cloudとの戦略的な提携により、GeminiやNotebookLMといったサービスを活用しながら、お客さまとコンテンツプロバイダーさまの双方にメリットがあるAIサービスを作っていきます。サービスを発表以降、すでに数多くのコンテンツプロバイダーさまから、お問い合わせをいただいています。

リアル×テクノロジー、「Real×TechLAWSON(リアルテックローソン)」

KDDIの強みとして、リアルとテクノロジーの掛け合わせにより、新たな価値創出に向けた取り組みを推進します。

ローソンとの取り組みでは、防災や防犯を目的として、AIドローンが約10分で駆けつけられるポート配備の実証を行っています。

また、高輪のKDDI本社にあるオフィスローソンでは、社員が実験対象となって、利用頻度のデータ蓄積、クルーのワンオペレーションの実現などが行われています。また、ダイナミックプライシング、食事支援クーポンといったオフィスならではの取り組みも進めています。

好循環創出

「今までご説明したことをはじめとして、次なる価値の好循環創出を目指してまいります。投資やパートナー連携は、後々の価値を創出するための財産となっていきます。AI時代を支える5G・6Gなどの次世代高品質ネットワーク、高付加価値サービスを作り上げていくために、規律を持った効率的な投資とパートナー連携を強化してまいります」(松田)

最後に、2026年3月に開催されるMWC Barcelonaに3年連続で出展をすることを宣言し、「『Life Transformation』をテーマに掲げる出展内容について、是非ご期待ください」と述べ、会見を締めくくりました。

KDDI 代表取締役社長 CEO 松田 浩路

*1 Opensignal社によるグローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・レポート「信頼性エクスペリエンス」評価などに基づき、au回線を通じて、ネットワークに接続した際にお客様にとってより快適で安定したサポートを実現することを指します。詳細はOpensignalウェブサイトをご覧ください。十分にデータ収集が可能な国土面積200,000km²以上の国々のすべてのモバイル・ネットワーク・オペレーター(41カ国、142 MNOs)で構成され、各国でOpensignalが認める共通の評価基準に基づいて値を比較。データ提供期間2024年7月1日~12月27日 ©Opensignal Limited.
*2 Opensignal社の国内主要MNO4社を比較した直近過去2回の25/4(データ提供期間:2025/1/1~3/31)と24/10(データ提供期間:2024/7/1~9/28)のレポートにおいても、auは、「一貫した品質」(25/4 レポートでは項目なし)及び「信頼性エクスペリエンス」評価などで1位を獲得しており、日本国内で初めて3回連続それらの評価の1位を獲得。詳細はOpensignalウェブサイトをご覧ください。
*3 重要な情報を海外に出さない、日本国内のインフラ内で完結するAIシステム

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