災害用伝言板と au Starlink Direct で進化する緊急速報メール。KDDIのたゆまぬ備え

KDDIの防災に対する日常的な備えとは

9月は防災月間です。地震や大型台風、豪雨といった災害の増加にともない、私たちの生活に影響を与えるような被害も拡大しています。KDDIが2024年11月に実施した「防災×スマートフォンに関する全国調査」では、6割以上の人が、防災意識が高まっていると回答。また、防災の観点からスマートフォンの機種変更時に気にする点について尋ねたところ、「バッテリー容量」と「通信のつながりやすさ」が半数を超える大きな関心事項となっていました。

「防災×スマートフォンに関する全国調査」:2024年11月8日~10日、全国の20~50代の男女800名を対象にインターネット調査
「防災×スマートフォンに関する全国調査」:2024年11月8日~10日、全国の20~50代の男女800名を対象にインターネット調査

KDDIは、24時間365日途切れることなく、「安心・安全で快適な」コミュニケーション環境を守るために取り組んでいます。これは、基地局や通信ネットワークの監視だけでなく、災害時に役立つサービスの提供も含まれています。ここでは、 災害時の命と安全を守るために欠かせない「災害用伝言板」と「緊急速報メール」について 、どのように運用されているのか、そこにどのような工夫があるのかをご紹介します。

シンプルにこだわった誰でも使える災害用伝言板

「災害用伝言板」は、災害時に家族・親類・知人との安否確認にご利用いただくためのサービスです。 大規模災害発生時に、災害発生地域にお住まいの人が安否情報を登録することで、全国から閲覧できるようになります。電話回線が混雑してつながりにくい状況でも、安否確認やメッセージのやり取りができるのがメリットです。
災害発生時に、KDDI、NTTドコモ、ソフトバンク、楽天モバイル、NTT東日本、NTT西日本の6社一斉に立ち上げ、各社の公式サイトのトップページからアクセス可能です。「登録」をタップすると登録画面(赤枠)へ、「確認」をタップすると確認画面(青枠)へ遷移。自分の被災状況の登録や、携帯電話番号による家族・友人の安否確認を簡単に行えます。

災害用伝言板の登録・確認方法
災害用伝言板の登録・確認方法

KDDIサービス開発部の小河原 晃子は、こう解説します。

KDDI パーソナル事業本部 サービス・商品本部 サービス開発部 小河原 晃子
KDDI パーソナル事業本部 サービス・商品本部 サービス開発部 小河原 晃子

「災害時は通信が混雑するので、通信量をできるかぎり下げる必要があります。すごくシンプルな操作画面で、実際の通信量もわずかなものです。それに加えて、『どなたでも見てすぐに登録できる』ということを目的に作っています。そのため、このサービスは長い間、大きな変更を加えていません。電話番号さえあれば、契約している通信会社に関係なく安否を検索できる。その簡単さ、便利さにこだわっているので、特殊な操作や機能を加えないようにしているのです」(小河原)

空が見えれば必ずつながる緊急速報メール

もうひとつ重要なのが、「緊急速報メール」です。これは気象庁から「緊急地震速報」や「津波警報」を、国や地方公共団体からその他の「災害・避難情報」を、それらの災害が発生する対象エリアにいる人の携帯電話に一斉に配信する仕組みです。

緊急速報メール配信の仕組み。いずれも対象となるエリアのみです
緊急速報メール配信の仕組み。いずれも対象となるエリアのみです

気象庁や国・地方公共団体が該当するエリアに一斉に送信し、携帯電話の電源が入っていれば、受信に関しても、基本的には特別な契約や操作をする必要はありません(一部機種では事前に設定が必要な場合があります)。そんな中で唯一といえる課題が「圏外」でした。山間部や海上、災害で基地局が被害を受けた場合には、そもそも電波が届かず、緊急速報メールも受け取ることができませんでした。KDDIは、その課題を、「au Starlink Direct」によって解決しました。

au Starlink Directは、低軌道のStarlink衛星とauスマートフォン・携帯電話が直接通信できるサービスです。モバイルネットワークの圏外で、かつ空が見える環境であれば衛星モードに自動的に切り替わり、テキストメッセージなどのサービスが利用できます。

「au Starlink Direct」を通じて届いた緊急地震速報。ディスプレイには衛星マークが表示される
「au Starlink Direct」を通じて届いた緊急地震速報。ディスプレイには衛星マークが表示される

「これまで圏外では受信できなかった緊急速報メールが、山や海でも届くようになりました。緊急速報メールは基地局単位でエリアを区切って発信しているのですが、この衛星から直接通信は、基地局に比べて広い範囲に配信されるという特性があります。そのため、緊急速報メールの対象エリア外の携帯電話にもメールが届く場合があるんです。その点は自治体や省庁への丁寧な説明を重ね、利用者への周知を徹底しました。災害は迅速な判断がその後の結果を左右することもありますから、“即時”に情報が届くことは大きな意義があると考えています」(小河原)

24時間365日のたゆまぬ備えが災害時の支えとなる

24時間365日、ネットワークと災害の予兆を監視し続けている
24時間365日、ネットワークと災害の予兆を監視し続けている

これらの取り組みの裏側では、24時間365日ネットワークを見守るエンジニアスタッフがシステムを支えています。災害用伝言板は災害が起きたときに立ち上げられるものですが、もしものときに不具合を出すわけにはいきません。そのため、平時から常に稼働できる状態に保っています。

KDDIネットワーク強靱化推進室の戸倉 智行が説明します。

KDDI コア技術統括本部 オペレーション本部 エンジニアリング企画部 ネットワーク強靭化推進室 戸倉 智行
KDDI コア技術統括本部 オペレーション本部 エンジニアリング企画部 ネットワーク強靭化推進室 戸倉 智行

「災害が発生したら、まず災害用伝言板の立ち上げを判断します。震度6弱以上の地震、津波警報、台風や大雨による被害拡大が予想されるなど、国による自動立ち上げ基準も設けられています。各通信会社は、幹事会社であるNTT東日本またはNTT西日本の号令で一斉に立ち上げるため、お客さまは契約先に関わらず誰もが安否を確認できるのです」(戸倉)

「災害のモニタリングは、ネットワーク監視センターで24時間365日体制で行われています。さらに、新宿に拠点を置くネットワーク強靭化推進室では、平時から大型モニターに常時映し出されている気象庁やNHK、その他独自の情報を監視し、異変があれば即座に行動します。災害が発生すると「運用対策室」  が立ち上がり、スタッフは迅速に参集する必要があります。そのため、災害発生時に公共交通機関が止まることを想定し、各メンバーが自宅から運用対策室への移動経路や徒歩・バイクなどの交通手段、所要時間をあらかじめ確認するなど、入念な準備をしています。また、事後対応策の検討と実践計画を立て、通信の復旧を担います」(戸倉)

ネットワーク強靱化推進室は社内の取りまとめ役であり、初動対応の一環として災害用伝言板の立ち上げも行います。被災エリアと関係者の安否確認はそれだけ重要だということがよく分かります。

なお、戸倉自身の平時の仕事は災害時に備えた体制やマニュアルの整備。つまり、こうした作業の流れや優先順位、参加する人員など災害時のスタッフの行動を決め、発災時にはきちんと実践されているかを確認し、災害時に迅速な対応ができる基盤を整えています。

実際の利用データから見る防災通信

こちらが、2024年の緊急速報メール発令と、災害用伝言板立ち上げの実績です。

2024年緊急速報メール配信回数
2024年災害用伝言板立ち上げ期間

緊急速報メールが合計2,005件配信され、そのうち400件は夜間に発信されました。災害用伝言板では、1月の能登地震が群を抜いて長期間運用されています。こちらは、その運用の記録です。

能登半島地震における災害伝言板の利用記録
能登半島地震における災害伝言板の利用記録

戸倉が、振り返って説明します。


「1月1日に地震が起きて、すぐに災害用伝言板が立ち上がり、この日に2,396名が安否情報を登録されました。対して安否確認が5,377件。やはり、発災直後には安否を確認される人が多いです。

安否情報を登録する人は、半年間累積し続けて、最終的には1万4,989名も利用されています。もちろん、震災直後の無事を知らせたり、避難所の所在を知らせたりする人、震災から時間が経って生活環境が変わられた人もいらっしゃるでしょう。中には半年経ってもコンスタントに登録、検索をされる人がいらっしゃいます。そこを電話番号ひとつで共有できるツールというのは、社会的にも意義があると私たちは考えています」

通信を活用して日々災害に備えていくために

KDDIは通信を活用して、こうしたツールやサービスを提供し、保守し続けています。災害用伝言板も緊急速報メールも、設定や利用方法はとても簡単です。災害用伝言板は携帯番号を入力して安否情報を登録するだけ。緊急速報メールは特別な設定は不要ですが、au Starlink Direct対応機種では衛星通信モードを有効化しておくことが推奨されます。災害への備えについて、小河原と戸倉はそれぞれの立場から、以下のように説明します。

KDDI 小河原
KDDI
小河原

「今は便利なサービスやツールがたくさんあります。災害用伝言板は通信会社にかかわらず、電話番号さえわかれば安否が確認できる非常にシンプルで使いやすいツールですが、これにこだわらなくてもいいと思います。普段からご家族でどういうツールを使って安否確認するか、どのような行動を取るかなど、きちんと情報共有して備えておかれるのがよいと思います」

KDDI 戸倉
KDDI
戸倉

「災害用伝言板は災害が起きてきたら立ち上がりますが、実は平時にも試すこともできるんです。毎年8月30日から9月5日の防災週間 もそうですし、毎月1日と15日には体験版を立ち上げていて、実際に操作していただけるようになっています。事前に触れておくことで、いざというとき迷いなく使えると思います。私たちも普段から災害時に備えた準備を進めていきます」

KDDIはテクノロジーで防災の未来もつないでいく

防災の日を迎える今、あらためて確認したいのは「通信」が災害時の命綱であるという事実です。KDDIは災害用伝言板や緊急速報メールを軸に、au Starlink Directなど新技術を取り入れながら、災害に強い社会を支え続けています。
「人々の命、暮らし、心をつなぐ」ために。KDDIはこれからも、災害時のあらゆる状況を想定し、つなぐチカラを進化し続けます。

災害・緊急時の対策
 

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