KDDI決算 「つなぐチカラの進化」でデジタルデータ×AIによる新たな価値創出へ

KDDIは、2025年8月1日に2026年3月期第1四半期の決算説明会を行いました。本記事では、決算説明会のポイントを、代表取締役社長CEOの松田 浩路のコメントとともに、分かりやすく解説します。詳細は、決算短信やオンデマンド配信、決算プレゼンテーション資料をご確認ください。

決算説明会2026年3月期1Q | 決算説明会 | KDDI株式会社

2026年3月期第1四半期 連結業績

連結業績は、増収・減益となりましたが、期初の想定通り進捗しています。売上高は1兆4,363億円で昨対比プラス3.4%。営業利益は2,725億円でマイナス1.6%。親会社の所有者に帰属する当期利益は、1,711億円でマイナス3.3%となりました。

連結業績ハイライト
連結営業利益 増減要因

連結営業利益は一過性影響で減益となったものの、主要事業は成長し、期初の想定に対して着実に進捗しています。左から、パーソナルセグメントベースのモバイルは、昨対比プラス19億円で、期初予想の通期プラス300億円超の利益成長を目指します。金融・エネルギー事業は合わせてプラス62億円。ローソン持分法利益はプラス57億円。ビジネスセグメントはプラス29億円。技術構造改革はプラス32億円。過年度の販促費影響が一過性の73億円を含み、マイナス214億円。その他、ステークホルダーへの還元、楽天ローミング収入の減などもあり、44億円の減益となりました。

「記載の通り、主要事業は順調に推移しているほか、販促費影響も期初から織込んでおり、想定通りとなっています。」(松田)

KDDI 代表取締役社長 CEO 松田 浩路
KDDI 代表取締役社長 CEO 松田 浩路
つなぐチカラの進化

KDDIは2025年5月の本決算で、次の成長に向けたこだわりとして、「デジタルデータ×AIによる新たな価値創出」と「つなぐチカラの進化」の2点を掲げました。

「土台となる『つなぐチカラ』の成長に注力し、これをKDDIの強固な競争基盤としていきます。そのために、『つながる体感』価値などの提供とともに、toC(一般のお客さま)・ toB(ビジネスのお客さま)の通信事業基盤を拡大していきます。それらの事業成果として、パーソナルとビジネスセグメント、両方の通信+付加価値である『モバイル収入の成長』が重要だと考えています。当社をご支援いただいている皆さまには、その成長の状況をご確認いただきたく、開示KPIを変更し、これを訴求していきます」(松田)

※モバイル収入の成長、および開示KPIの詳細は、決算詳細資料をご確認ください。

好発進の新プラン

6月に開始したauとUQ mobileの新プランは好調なスタートを切っています。

auでは、「au 5G Fast Lane」「au Starlink Direct」「au海外放題」といった通信の「つながる体感」価値が好評で、データとセットのプラン「auバリューリンクプラン」「使い放題MAX+」「auマネ活プラン+」「auマネ活バリューリンクプラン」をお選びのお客さまが約8割にのぼります。

UQ mobileでは、データ利用量の増加により、最も容量が大きい「コミコミプランバリュー」をお選びのお客さまが約4割に上っています。つながる体感価値やデータ需要によって、安心の大容量プランが好評となっています。

5Gネットワーク

KDDIの強みとなる5Gネットワークについて松田は、「5Gの真骨頂とも言える5G スタンドアローン(5G SA)でもNo.1評価を獲得し、競争力をますます強化しています」と話し、5G SAの本格展開に向けたKDDIの優位性を説明しました。

KDDIでは、5G SAの本格展開に向けて、国内最多のSub6基地局4.1万局全域で、5G SAを展開しています。KDDIが保有する2つのSub6周波数に同時対応できる基地局を開発し、設置効率2倍、通信速度も最大2倍を実現することを紹介しました。さらに、快適な通信品質を体感いただけるよう「au 5G Fast Lane」を2025年7月から開始。山手線で測ったKDDIの測定では、通常と比べて約1.9倍の通信速度を達成しています。

「国内5G SAに関しては、Opensignal社による国内における5G SAの通信体感分析(2025年7月31日に発表)で、全6部門のすべてで1位を獲得することができました。また、『au 5G Fast Lane』については、お客さまから、非常に混雑した場所でも快適な通信ができるという声をいただいています」(松田)

Starlink / 海外放題

さらに、「au Starlink Direct」と「au海外放題」によって、au 5G/4G LTEの圏外エリアでも海外でも、お客さまの生活や安心を支えています。

au Starlink Directは7月から、衛星から発射される電波が追加されたことで、よりスムーズなメッセージのやり取りが可能となり、SMSの送受信時間が4倍速くなりました。7月末からはAndroid端末で、メッセージのアプリの中で動画や写真の送受信が可能となりました。提供開始以来、66機種、900万台以上に対応しており、ユニークユーザーで100万人にご利用いただいています。今年の夏には対象機種の一部アプリにおいてデータ通信も開始します。

またau海外放題は、料金メリットや利便性、通信品質などが好評です。6月にご利用いただいているお客さまのうち、約6割が通信セットプランにご加入されています。

「このサービスによって、Wi-Fiルーターいらずで、手軽に手間なく海外でデータをお使いいただけます。日本の方々が海外に行くことを応援してまいります」(松田)

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Pontaパス

Pontaパスは、KDDIとローソン、両社の成長へ貢献しています。6月からは、Pontaパスの魅力化の取り組みを積極的に推進。6月17日からは、ローソンの店頭で簡単に入会できるようになり、新規入会の約8割がau IDを持っていない他社のお客さまとなっています。このような取り組みを通じて、通期純増プラス100万会員を目指します。

金融サービス

KDDIの金融サービスは、2008年にauじぶん銀行を開業、2019年には金融サービスを磨き、魅力化するためのホールディングス会社、auフィナンシャルグループ体制を発足。さらに、2023年には通信とのセットプラン「auマネ活プラン」を携帯業界で初めてスタートさせるなど、他社に先駆けて通信と金融のシナジーモデルを創出してきました。現在は、お客さまに便利な様々な金融サービスを提供できる基盤を構築しています。そんな中、2025年秋に銀行と証券の連携サービスをより強化すべく、SBI証券との協業を開始することを発表しました。

「サービスの連携先を、従来の三菱UFJ eスマート証券さまに加えて、SBI証券さまにも広げます。auじぶん銀行とのリアルタイム口座振替をご利用いただくことで、金利優遇が受けられます。これらにより、当社の銀行預金も増強していくほか、パートナーの皆さまとともに金融機能をさらに強化していくべく、今後も証券各社さまとの連携拡大を推進していきます」(松田)

グロース領域

ビジネスセグメントのグロース領域では、需要の高い「セキュリティ」と「IoT」に注力し、成長を目指します。

セキュリティはネットワークとのシナジーを発揮し、デジタル化の支援で成長します。KDDIは、国内最大級のセキュリティ監視センターを持つLACを子会社化しており、LACとKDDI両社の強みを生かして、2025年に大型案件も受注しました。また、7月からはグローバル対応も本格展開して、さらなる事業拡大を目指します。

IoT関連サービスについては、回線数が昨対比プラス19.5%で5,320万回線に拡大しています。そのほか、パートナー回線のSORACOMは800万回線を突破しました。また、PC向けのConnectIN(コネクティン)は、対応機種が30機種を突破。複数自治体でGIGAスクールに活用されるとともに、個人向けのPCについてもpovoを活用して販売を開始しました。

次の成長に向けた取組み

次の成長に向けた取組みとして松田は、「我々は、デジタルデータを持っているからこそ、強力なAIを活用できると考えており、それらによって企業やお客さまのDX浸透加速化を図っていけると考えています。そのために、その根幹となるAI時代のインフラが、重要な価値となっていきます」と、インフラ整備の重要性を力説しました。

デジタルデータ × AI

AI時代のインフラでは、これからトラフィックが膨大に増えることが予想されています。また、さまざまなデータを活用するためには、個人情報をはじめとした機微なデータの安全かつシームレスな保管・活用が必要です。KDDIは、データセンター、通信ネットワークをしっかりと構築し、これらの整備を進めていきます。

次世代ネットワーク

AI時代における膨大なトラフィックを支える次世代ネットワークの構築と、安定運用に向けた取組みを推進します。

AI時代におけるネットワークである「ネットワーク for AI」では、新たなパートナーとしてCPUやGPUに強みを持つAMDさま、柔軟なネットワーク構築に強みを持つイスラエルのDriveNetsさまと提携しました。AIをネットワーク運用に生かす「AI for ネットワーク」に関しては、AIを活用した障害復旧やネットワーク管理などに取り組んでいます。AIと対話をしながら、自然言語で自動的に制御する実証にも成功しており、運用の効率化を段階的に商用実装していきます。

AIデータセンター

AIデータセンターは、日本企業・お客さまが安心して活用できるAI環境を整備します。

今期に本格稼働する大阪・堺のAIデータセンターでは、HPEの先進的な技術を活用しています。また、多摩では「Telehouse TOKYO Tama 5-2nd(テレハウス多摩5第2ビル)」が着工し、2027年秋に新規開業予定です。

このAIデータセンターのGPU基盤の上で動くクラウドAI、ソブリンクラウドも整備します。ソブリンクラウドは、データの主権、技術の主権、運用の主権が非常に大事になります。この度、暗号鍵管理サービスをGoogle Cloud上で行い、KDDIのグループ会社のiretがこのサービスを提供することを発表しました。また、大阪・堺のAIデータセンターでは、Googleの生成AIモデル「Gemini」の基盤の提供を予定しています。

AIサービス化に向けて

AIインフラの上で展開するAIサービスの取り組みも進めています。グループ会社のELYZAが開発した医療特化型LLMは、グローバル水準を超える性能を持ち、推論モデルについても、o1-miniに匹敵するモデルの開発を行っています。

AIエージェントについては、ローソンとの連携をはじめとして、リモート接客するAIエージェントや、お客さまサポートで使うAIエージェントなどでノウハウを蓄積しています。

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Real×Tech LAWSON始動

これらのAIの取り組みを現場で実践していく場として、高輪新本社で「Real×Tech LAWSON」を始動しました。

「6月にオープンした未来のコンビニ1号店では、次世代リモート接客を1カ月で100件超のお客さまにお使いいただいており、30件ほど成約している状況です。特に、オンライン診療や服薬指導が好評を博しています。また、右側のKDDI社内にあるオフィス環境に特化したローソンでは、スマホレジを使うことでレジ待ちがなく、平均滞在時間約2分と非常に短い時間で買って帰ることができ、とても効率性が高くなっています。さらに、ロボットが回遊してローソンの商品を販売しており、1日に60名から80名の社員が購入しています。2万円程度を売り上げる非常に優秀な販売員として活躍してもらっています」(松田)

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未来への実験場

未来への実験場である高輪では、訪れる人、働く人にとって、高いパフォーマンス体験、パーソナライズ体験を提供していきます。

「この街をデジタルツインのOSとして準備することで、この街の一部分を切り取って他の街にも展開ができますし、あるいは街ごとその他の都市にも展開ができます。そういったことを『高輪モデル』として目指していきたいと思っています」(松田)

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KDDI 代表取締役社長 CEO 松田 浩路

こうしたKDDIの取組みを皆さまにより深く理解していただくため、10月28日と29日にKDDIグループ最大級のビジネスイベント「KDDI SUMMIT 2025」を東京・高輪の「TAKANAWA GATEWAY Convention Center」で開催します。多様なゲストやビジネスパートナーさまを迎え、KDDIの強みである「つなぐチカラ」を活用した最新の事例を紹介していきます。オンライン配信でもご覧いただけますので、ぜひご参加ください。

最後に松田は、次の成長に向けて、「しっかりとインフラ基盤の整備をしていくとともに、高輪での新しい実験、新しい取り組みを何としても成功させて、これを全国に広げていきたいと思っています。引き続き『つなぐチカラの進化』に注力してまいりますので、ぜひともご支援ください」と、力強く抱負を述べ、会見を締めくくりました。

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