KDDIは、2025年5月14日に2025年3月期の決算説明会を行いました。本記事では、決算会見のポイントを、代表取締役社長CEOの松田 浩路のコメントとともに、分かりやすく解説します。詳細は、決算短信やオンデマンド配信、決算プレゼンテーション資料をご確認ください。
目指す姿
KDDIは現・中期経営戦略で、通信を中心において、周辺事業に溶け込む形での成長を目指す「サテライトグロース戦略」を推進してきました。一方で、2030年に向けたKDDI VISION 2030「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」というビジョンを掲げています。
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「KDDI VISION 2030の実現に向けて、ど真ん中にある5Gの通信に、デジタルデータ・AIを融合させて、トランスフォーメーションを加速していく。そして次の成長に向けて進化をしていくことが大事だと考えています」(松田)
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つなぐチカラを新たな次元にアップグレードしていくために、KDDIがこだわっているのが、下段の「つなぐチカラの進化」と上段の「デジタルデータ×AIによる新たな価値創出」です。
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<つなぐチカラの進化>
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「KDDIはこれまで、いかによりよい通信を実現できるかを追求し、特に『通信の品質』にこだわってきました。その成果の1つが、グローバル分析会社Opensignal社による、つながる体感 世界評価No.1*1を獲得したことです。」(松田)
加えて、Sub6*2/ミリ波の基地局は5万局を超え国内最多*3を誇り、この高速・大容量なSub6/ミリ波の通信が一目でわかるよう、「5G+(プラス)」というピクト表示を国内で初めて開始*4しました。5G端末にも、送信出力を高めて安定的に通信ができるHPUE(High Power User Equipment)という機能を搭載した機種を順次展開しています。そして、新たな価値として「au 5G Fast Lane」を発表しました。
「これらによって、競争力の源泉である通信品質の優位性を堅持していくとともに、今後も通信品質を高める取組みに挑戦し続けたいと考えております」(松田)
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加えて、「通信のギアを上げていく」ということでは、今年の4月、日本全国をカバーする衛星とスマホの直接通信サービス「au Starlink Direct」を開始しました。「空が見えれば、どこでもつながる」*5という体験をauだけでなく、au以外のすべてのお客さまにも提供します。
「ゴールデンウィーク中には、1日約4万人という方にご利用いただき、6月以降には、対応機種が63機種800万台以上になります。お客さまからの期待・信頼は、本業である通信にかかっていると思っていますので、しっかりこだわってサービスの土台となる通信をぶらさずに磨き上げていくことをお誓いします」(松田)
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高品質のネットワークに、通信の新たな価値を加え、マルチブランド戦略も進化していきます。「ずっともっとつなぐぞ」は、マルチブランド共通の土台です。auではメインブランドとしての安心の価値を十分に体現できる機能を、UQ mobileではシンプルでおトクという価値で幅広いお客さまにお使いいただく、そしてpovoではオンライン専用と自由にトッピングできるという価値をお届けし、マルチブランドを構築していきます。
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<デジタルデータ×AIによる新たな価値創出>
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つなぐチカラのさらなる進化の鍵が「AI」です。サテライトグロース戦略推進の中で、通信により膨大なデジタルデータとAIをつなぎ、新しい価値を創出していきます。
作り上げた通信基盤には、日々の事業から生まれ溢れてくるデジタルデータがたまっていきます。それは、DXの浸透加速化のチャンスです。KDDIは、通信回線やサービス等のオンライン接点だけでなく、auショップやローソン等のオフラインのチャネルも保有しています。
「日々の事業から生まれ、溢れてくるデジタルデータとAIとを、通信でつなぎこむことで、ハイパーパーソナライゼーション、つまり個人のお客さまには一人ひとりに寄り添ったライフサポートを、法人のお客さまには、各企業それぞれの持つオペレーティングモデルの変革をご提供できると考えています」(松田)
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AIによる価値提供を加速する取組みとして、AIマーケットを構想しています。
KDDIは、スマートフォンの黎明期に、アプリが取り放題となるauスマートパスを開始しました。自分が使いたいアプリを自由に探して試したいというお客さまに、アプリを選べる場をつくるとともに、レベニューをコンテンツプロバイダーとシェアし、アプリ浸透とパートナー成長の両立に貢献しました。
「AIにおいても同様なことを実現したい。お客さまにお届けしやすくするとともに、ここに集まるパートナーも成長していけるよう、生活を支えるAIサービスが集まる場を創出します」(松田)
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また、KDDIは約40万社の法人のお客さまと接点があり、お客さまに関するナレッジが蓄積されています。当社法人のお客さまのオペレーティングモデル変革にも貢献し、リテール業界、ロジスティクス、BPOなど、あらゆる産業を対象に、蓄積したナレッジを生かして店舗運営の省力化や、お客さまの買い物体験のアップデートなどを磨き上げていきます。
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さらに、AIサービスを提供するための基盤構築として、今年度中に大阪堺AIデータセンターの本格稼働を目指します。堺データセンターのGPU基盤上でGoogleのGeminiを提供し、Google Cloud、Geminiの開発環境に慣れた方には、KDDIのこのセキュアな基盤をお使いいただくことで、データを国内に保持しつつAIを活用できる、いわゆる「ソブリンAI」としての提供を可能といたします。
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「こうした取組みを中心にサテライトグロース戦略を推進し、事業成長と企業価値の最大化の両輪を目指します。下段の『つなぐチカラの進化』の上に、デジタルデータとAIを掛け合わせていく、ということがあります。この中でも、先端技術や新規の事業創造といった領域は社長の直轄組織として私自身がしっかりと携わっていきます。これを基に、次の中期に向けた取り組みを進めていきたいと思っています」(松田)
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「こうした挑戦の成功にために、社員一人ひとりが夢中に挑戦できる会社を目指します。また、社員だけでなく、夢中になれるパートナーの皆さまと一緒に、未来をつくることに挑戦します。今後のKDDIの成長にご期待ください」(松田)
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25年3月期業績
2025年3月期の連結業績は増収増益、中期経営戦略の最終年度に向けて順調に進捗しています。売上高は5兆9,180億円で、昨対比プラス2.8%、営業利益は1兆1,187億円で昨対比プラス16.3%、親会社の所有者に帰属する当期利益は6,857億円で昨対比プラス7.5%となりました。
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連結営業利益は、注力領域が着実に成長したほか、ローソンの好調な業績により増益となりました。2025年3月期は、2024年3月期のミャンマー通信事業の引当等、一時的影響除きでも381億円の増益となりました。
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26年3月期見通し
2026年3月期は、引き続きサテライトグロース戦略を推進し、さらなる増収増益を目指します。
パーソナルセグメントでは、お客さまのつながる体感価値を進化させ、ライフタイムバリュー向上による事業成長を目指します。「つながる体感 世界評価No.1」*1の通信と、KDDIならではのサービスを組み合わせることで、新たな価値を創造します。
また、お客さまの今とこれからにつながることによる解約率の改善によって、通信+付加価値のさらなる成長を実現します。
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ビジネスセグメントでは、収益性の高い強固な通信を軸に、IT市場でも高成長のデジタル基盤領域となるグロース領域にリソースをシフトし、高成長を目指します。グロース領域で多くの付加価値を提供し、ベース領域である通信のライフタイムバリューを向上させる好循環を実現します。
グロース領域は25年3月期売上昨対比プラス17%と、デジタル基盤領域の市場成長を上回る成長率で拡大しました。市場の需要も取り込み、26年3月期はさらに成長を加速させていきます。

未来への取り組み
目指す未来の実現に向け、ステークホルダーとともに成長していくための取組みを継続していきます。
「KDDIならではの価値づくりを続け、それをご提供することで適切な対価につなげ、その対価をステークホルダーの皆さまに還元、また未来へ再投資をするという好循環を目指します。例えば、お取引先さまとの適正なお取引、労務費上昇への対応や、通信サービスを支える代理店さまへの運営に関するご支援などを通じ、未来に向けて成長していきたいと考えています。日本の存在感を高めたいということもあります。そのための投資、通信の高度化、あるいはAIの進化、環境に配慮したエネルギー技術への投資などを通じ、持続可能な未来の実現に貢献をしていきたいと考えています」(松田)

今年4月に開催した大阪・関西万博では、日立製作所とともに、Society5.0、人間中心の社会をテーマとして、「未来は自分たちで変えられる」をコンセプトとした体験型の共同展示をしており、未来を支える子どもたちの成長を応援します。

スタートアップ支援も引き続き積極的に進め、日本初のユニコーン企業の創出を促進していきます。これまでのコーポレートベンチャーキャピタルKOIFに加えて、有望な海外ベンチャーファンドへの出資や、産学連携の強みを持つATACへの出資を通じて、スタートアップの成長の取り組みを行っていきます。

今年度からスタートするKDDIの高輪新本社は、「つなぐチカラを進化させ、ワクワクする未来を発信し続けるConnectable City」をコンセプトとして、KDDIグループだけでなく、お客さまやパートナーが集い、新しいアイデアを出し合い試行錯誤する、発信し続ける「マチ」になることを目指します。

高輪ゲートウェイシティは未来の実験場として、スタートアップをはじめとしたパートナーとイノベーションを創出して、スマートシティにつながる好事例を広く展開していきます。例えば、KDDI高輪新本社にReal×Tech Convenienceの1号店として未来のコンビニを開業し、JR東日本とともに取り組むスマートシティなどの事例を積み重ね、社会の課題解決に資するソリューションを、通信プラットフォームであるWAKONXとして展開していきます。

また、これまでもKDDIは人財ファースト企業への変革を目指してきましたが、高輪本社移転を契機に、人財ファースト企業への変革を加速させ、社員が成果創出に向けて挑戦できる環境を整備していきます。社内外の連携強化や、メリハリの利いた働き方へのシフトを進める働き方のアップデート、KDDI版のジョブ型人事制度を推進していくことで、「夢中に挑戦できる会社」の実現を目指していきます。

決算説明会の最後に松田は、「KDDIは、通信の力を信じて、『つなぐチカラを進化させていく』ということと、その上に『デジタルデータとAIによる新たな価値創出』にこだわっていくこと」を強調しました。そして、「未来への取り組みとして、あらゆるステークホルダーの皆さまとともに成長していくための取組みを継続していきます」と、次の成長に向けて力強く抱負を述べ、会見を締めくくりました。
*1 「つながる体感」とは、Opensignalによる「一貫した品質」および「信頼性エクスペリエンス」評価などに基づき、au回線を通じて、ネットワークに接続した際にお客様にとってより快適で安定したサポートを実現することを指します。詳細はOpensignalウェブサイトをご覧ください。
*2 Sub6とは5Gの高品質な(高速・大容量・低遅延)通信に寄与する周波数帯のうち3.7GHz帯/4.0GHz帯/4.5GHz帯の通称。一部エリアで提供。
*3 国内MNO4キャリア比較。2025年4月18日時点で、総務省無線局等情報検索で閲覧できる免許数。
*4 2025年4月3日から「Xiaomi 14T」より対応開始、以降は準備が整い次第、順次対応。
*5 対象機種にて、iOSメッセージアプリ/Googleメッセージアプリ上でのテキストメッセージで先行して提供開始。音声通話とインターネット通信は未対応(2025年4月時点)。
衛星捕捉時には留守電機能と着信転送機能とナンバーシェア(スマートウォッチ)での着信機能をご利用いただけません。衛星捕捉まで時間を要する場合や、一時的に停波する場合があります。遮蔽物がある場合には接続が制限されます。また、一部地域においては接続されない場合があります。
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