衛星とスマートフォンの直接通信サービス「au Starlink Direct」発表会見レポート

KDDIは2025年4月10日、KDDI代表取締役社長 CEO 松田 浩路の就任会見で、衛星とスマートフォンの直接通信サービス「au Starlink Direct」の提供を発表しました。本記事では、発表のポイントを分かりやすく紹介します。

空が見えれば、どこでもつながる「au Starlink Direct」

1963年、茨城宇宙通信実験所で米国からの映像を受信して以来、KDDIが60年間磨き上げてきた衛星通信のノウハウと、パートナーの最新のテクノロジーを掛け合わせ、2025年4月10日から、国内通信キャリア初となる衛星とスマートフォンの直接通信サービス「au Starlink Direct」の提供を開始。つなぐチカラを新たな次元にアップグレードします。

KDDIはOpensignal社の調査で「つながる体感 世界評価No.1」*1を獲得し、世界に誇れるネットワークを構築し、人口カバー率も99.9%以上*2を実現しています。しかし、日本は自然があふれているため、国土面積のカバー率では60%(2025年3月時点)にとどまっているのが実情でした。

「いまやモバイル通信は社会インフラです。残り40%を何とかしたいという思いで、衛星通信を使った方法をずっと考え、検討を進めてきました。そして今回、いよいよ『au Starlink Direct』を提供できるようになったことに、万感の思いでおります。『au Starlink Direct』なら、空が見えれば、どこでもつながる。日本全土をカバーする、衛星とスマートフォンの直接通信サービスになります」(松田)

KDDI 代表取締役社長 CEO 松田 浩路
KDDI 代表取締役社長 CEO 松田 浩路

「au Starlink Direct」は、お客さまの「共有したい」「不安を解消したい」「調べ物をしたい」といった思いに寄り添います。

・共有したい

SMSなどのテキストメッセージの送受信が可能です。例えば、登山をしているときや海上にいるときに大切な人へ連絡をとる、逆に、ご自宅にいる家族側から連絡をとるなど、圏外でつながらないと思っている場所でも、空さえ見えれば、あたりまえに双方向のコミュニケーションができるようになります。

・不安を解消したい

災害のときなど、地上のネットワークに何かあっても、衛星経由でメッセージを送ることができます。また、大切な人に居場所を知らせる位置情報共有や、地震速報・津波警報などの緊急速報メールの受信が可能です。命をつなぎ、災害大国日本の社会課題にも貢献できます。

・AIに相談したい

情報を知りたいときにAIエージェントが回答してくれます。Androidの場合には、衛星の向こう側にいるGoogleのAIアシスタント「Gemini」が調べて回答してくれます。たとえば、高山植物の情報を写真つきで返信してくれるほか、「近くの避難場所はどこ?」「天気はこれからどうなる?」「○○を英語に翻訳して」など、圏外でもAIに相談することが可能です。

具体的なサービス概要やご利用方法に関する情報はこちら

世界でも先駆けとなる衛星とスマートフォンの直接通信サービス

「au Starlink Direct」は、KDDIとSpaceXとのパートナーシップによって実現しました。高度約340km、東京・名古屋間の距離と同じくらいの上空を周回している宇宙にある基地局(衛星) とスマートフォンとが直接通信し、地上のauのモバイルネットワークにつながります。ここで生かされているのが、これまで7,000機以上の衛星を打ち上げているSpaceXのロケット技術とスマートフォン向けの衛星技術です。スマートフォン向けの専用衛星は、すでに約600機打ち上がっています。

会見では、SpaceXのPresident & COOであるGwynne Shotwell氏から、ビデオメッセージも紹介されました。

Shotwell氏は、Starlinkのアジア展開における地上局の整備、日本初のStarlinkの基地局バックホール活用、日本初のStarlinkインテグレーターなど、KDDIがStarlinkの世界展開において重要な役割を果たし信頼関係を深めてきたことに言及するとともに、日本の人々のことを思いやる心温まるメッセージを伝えてくれました。

「世界に先駆けアジアで初となる『Starlink Direct』を、KDDIによって日本で実現できることを大変嬉しく思います。『Starlink Direct』は、技術革新の最たるゲームチェンジャーです。日本のどこにいても、つながらないがなくなるように、災害時や緊急時に命を救う可能性を持つ、新たな価値をもたらします。これからも松田さんとKDDIの皆さんと共に、日本の人々のために戦略的なビジョンを達成することを楽しみにしています」(Shotwell氏)

「au Starlink Direct」の対象機種

「au Starlink Direct」が利用できるのは、衛星モード対応のAndroidスマートフォンとiPhone(2025年4月時点で50機種、約600万台)です。auを利用しているお客さまは、端末の設定をいただくことで、 申し込みをすることなく、当面無料でご利用できます。

「圏外に行くことがあっても、お持ちのスマートフォンでそのまま、衛星を通じた通信が可能です。これまでは圏外であった場所も、空が見えればつながります。『共有したい』『不安を解消したい』『調べものをしたい』といったお客さまの気持ちに寄り添うことができるサービスができたと思っています」(松田)

KDDIの3つの挑戦を体現した「au Starlink Direct」

松田は、この発表に先立って行われた社長就任会見で、KDDIの目指す姿「夢中に挑戦できる会社」と、「未来をつくる仲間とつながる。」「つなぐ力を世界に広める。」「お客さまの今とこれからにつながる。」という3つの挑戦を掲げました。今回の「au Starlink Direct」は、この3つの挑戦を体現するものです。

「1つ目の未来をつくる仲間とつながるは、SpaceX 社とともに新たなサービスを日本で開始するということです。2つ目のつなぐチカラを世界に広めるは、『au Starlink Direct』が世界に先駆けたサービスであり、災害時や緊急時にもつながる安心感、つながる価値を創出するということで、この経験をさらに世界に広めていきたいと考えています。3つ目のお客さまの今とこれからにつながるは、空が見えればどこでもつながるという体験をお客さまにお届けできるということです」(松田)

さらに、夏以降にはデータ通信にも対応する予定です。これからもKDDIは、「つなぐチカラ」の進化を加速させ、お客さまにより価値のあるサービスを提供いたします。

*1 「つながる体感」とは、Opensignal社による「一貫した品質」および「信頼性エクスペリエンス」評価などに基づき、au回線を通じて、ネットワークに接続した際にお客様にとってより快適で安定したサポートを実現することを指します。詳細はOpensignalウェブサイトをご覧ください。
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一貫した品質:一般的なモバイル・アプリケーションを遅延や速度低下なしにサポートする能力を測定する指標
信頼性エクスペリエンス:通信サービス・プロバイダのネットワークに接続し、タスクを完了する能力を評価する指標

*2 4G LTE(800MHz)の場合。「人口カバー率」は国勢調査に用いられる約500m区画において、50%以上の場所で通信可能なエリアを基に算出しています。

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