快適なモバイル通信の実現へ!100以上の改善活動への挑戦
「日常をつなぐ・非日常をつなぐ・空が見えればどこでもつながる」社会を目指し、KDDIは常に通信品質の向上に努めています。この積み重ねによって、第三者評価機関であるグローバル分析会社Opensignal社(以下、Opensignal)が2024年10月16日に発表した「モバイル・ネットワーク・ユーザー体感レポート」*1 の、全18部門のうち13部門で1位(最多受賞)を獲得しました。快適なモバイル通信品質を実現した取り組みの裏側には、100にも及ぶ挑戦と地道な改善活動がありました。
● ストレスなく映像やゲームをできるようにしたい
KDDIは、お客さまの体感に直結する品質の向上を目指し、パケ止まりの解消など通信品質の向上にむけて、さまざまな取り組みに挑んでいます。
KDDIモバイルアクセス技術部の長谷川 洸は、「例えば、ゲームやライブ配信の快適さに関わるレイテンシー(通信遅延時間)やスループット(データ転送能力)などにも、もっと注力しなければなりません。お客さまの笑顔や感動のために、ストレスのないモバイル通信を実現することは私たちの使命だと考えています」と話します。
KDDI コア技術統括本部 ノード技術本部 モバイルアクセス技術部 長谷川 洸
また、KDDI エリア企画室の石橋 洋輝は、「いつでも、どこでも快適につながるネットワークが理想です。お客さまが使いたいときに、使いたい場所で、不便なくサービスを利用いただけるよう、調査と改善活動を日常的に繰り返しています」と続けます。
KDDI コア技術統括本部 エリア企画室 石橋 洋輝
二人が話すように、KDDIが目指すのは、いつでも、どこでも、ストレスなく快適につながるネットワークです。その理想に一歩でも近づくために、第三者評価機関であるOpensignalの評価は大きな参考、ヒントになります。その理由は、Opensignalが1億台以上のスマートフォンや携帯電話から日々収集される数十億の測定値をもとにモバイル・ネットワークの通信品質を評価する機関であり、ユーザーの体感に焦点を当てた評価をしているからです。そこには客観性があり、他の通信事業者との比較もできるため、KDDIが何を改善すべきかが見えてきます。
● 1年未満で100以上の施策を実施
KDDIのさまざまな部門のほか外部の複数のパートナー企業が加わり、2023年にお客さま体感品質を向上させるためのプロジェクトが始まりました。
「客観的なOpensignalのデータと、KDDIが保有するビッグデータ、さらにはお客さまの生の声とを、KDDIのAI分析や自動化の技術を活用して分析することで、これまでは分かりづらかった原因が見えてきたり、新たな対策が考えられるようになりました」(石橋)
ビッグデータ、お客さまの声、第三者機関評価を組み合わせ施策を検討
改善点の洗い出し、施策立案の段階では、メンバーが持ち寄ったアイデアを全て検討し、優先度や難易度、効果や影響範囲を精査して順次実行に移していきました。
1年足らずの期間で、実行した施策は100以上にのぼります。中には、改善効果の小さかったものもありましたが、そこからも知見を得ながら、短期間で多くの施策に取り組んだことが、結果的に今回のOpensignalでの最多受賞という結果につながりました。
例えば、基地局で使用する機器の機能開発は、通常であれば2〜3年を要します。しかし長谷川のチームでは、Opensignalの評価をヒントに、改善効果が大きいと思われる機能から優先的に対応していくことで、圧倒的に短い期間で開発を完了しています。
ただ、苦労したことも少なくありません。例えば、OpensignalのデータとKDDIが持っているデータとの間にギャップがあったときです。
「ギャップの要因を特定するには、全国各地の現場へ行き、さまざまな調査を実施しなければなりません。そして収集してきたデータを徹底的に分析することで、ようやく問題点や現象の因果関係がつかめます。こうした地道な作業の積み重ねが、結果的に短期間での成果につながったのだと自負しています」(長谷川)
KDDIの電波をキャッチできるアンテナを背負い、タブレットでモニタリングを行う
さまざまな場所に足を運び、電波状況の調査を行う
● ネットワークも全国で総点検
お客さま体感の向上にとって、「稼働中のサービスが止まらない」という信頼性は最も重要なことです。
「突発的な障害が発生しないための予防策はもちろん、障害が起きてもサービスの継続に支障がないように備える耐障害性と通信品質向上を両立させること。その上で全体最適化を図ることが、トータルでの通信品質の維持と向上には不可欠です」と話すのは、KDDIネットワーク企画部の田邉 勇志です。
KDDI コア技術統括本部 技術企画本部 ネットワーク企画部 田邉 勇志
一般的にネットワークは冗長構成をとっており、主系にトラブルが発生しても自動的かつ瞬時に副系に切り替わるように設計・運用されています。こうしたサービス持続性も品質を構成する要素であり、これを損なうことがないように、全体最適化に取り組みました。
ネットワークは携帯電話とつながる「アクセス」、中継する「メトロ」、インターネット接続を担う「コア」の3層で構成されています。仮に「コア」の層でベストと思われた施策であっても、検証してみると他の層に偏りを生じさせてしまうケースもあります。そのため、各層の担当部署が一丸となり、全体最適化を目指す必要がありました。
「お客さまの体感品質向上には、スマートフォンや携帯電話などのユーザー端末からインターネットまでEnd to Endでの全体最適化が必須です。アクセス、メトロ、コアの各層を専門とするメンバーが集結し、『お客さま体感品質の向上』という1つの大きな目標に向かってネットワーク全体を俯瞰的に捉えて、課題解決のための議論を積み重ねました。ここでの議論がとても意義深く、それによって真に品質向上と全体最適化を目指す体制が構築できました」(田邉)
ネットワーク全体の見直しやチューニングを全国で総点検
基地局設置も、これまでも継続的に取り組んできた商業施設や鉄道・新幹線、高速道路といった生活動線への5Gエリア展開に加え、業界最多局(5GとSub6)の基地局をスピーディーに展開しSub6を高密度に配置したことで、高速かつ高品質な5Gネットワークを構築することができました。
● 欠かせなかったパートナー企業の力
今回のプロジェクトで大きな役割を果たしたのが、パートナー企業の皆さまです。
「パラメーター変更のような簡単なチューニングにとどまらず、大掛かりな改善施策もパートナー企業の皆さまの協力によりスムーズに実施できました。例えば、基地局の取り組みでは現地の電波測定が必須になるため、実際の現場を駆け巡ってもらいました。また機能開発では、パートナー企業さまと毎週のように定例会で議論し、施策の精査、テスト、実行という流れを繰り返したことが、短期間での改善につながっています」(長谷川)
基地局での構成変更には、前例の無い構成をとる施策も含まれていました。テストを繰り返し行い、想定と異なる挙動があれば改良し続けることで得られたノウハウは大きく、パートナー企業の協力はなくてはならないものでした。
「現場の雰囲気はとても良く、関係者のモチベーションの高さも印象に残っています。Opensignalでの高評価はKDDIが単独で成し得たものではなく、支援してくださったパートナー企業の皆さまとの総力の賜物です。私たちKDDIの業務自体も、より高度に進化させることができたと感じています」(長谷川)
● 改善活動を愚直に地道に
KDDIはこれからも、さまざまな施策の積み重ねることで、お客さま体感品質を着実に向上させ、au/UQ mobile/povoの各ブランドを利用するお客さまに快適な通信環境を届けられるように努めていきます。
「Opensignal13部門で1位の評価をいただけたことは誇らしいことです。しかし、お客さまが不便に感じる点を全て解消できたわけではありません。改善活動は、愚直さが求められる仕事の連続です。お客さま体感品質と満足度の向上を目指して、一歩ずつ改良を重ねていきます」(石橋)
通信品質向上の取り組みにゴールはありません。次世代技術の登場や普及など、通信インフラの発展に対応しながら、KDDIではStarlinkなどの新たな技術を積極的に活用することで品質改善を積み重ねていきます。KDDIは、今回のOpensignalでの高評価を励みとして、お客さま体感品質のさらなる向上に向けて、一丸となって改善活動に取り組み続けます。
*1:
Opensignal アワード - 日本: モバイル・ネットワーク体感レポート(2024年10月)
2024年7月1日~2024年9月28日の期間に記録されたモバイル測定値の独自分析に基づく。
詳細はOpensignal社HPをご覧ください。© 2024 Opensignal Limited.