未来のサッカースタジアムが銀座に。担当者が描いた「2030年の観戦体験」とは
KDDIは、2024年7月26日からブランド体験施設「GINZA 456 Created by KDDI」(以下、GINZA 456)にて、未来のサッカー観戦を一足先に体験できるイベント「GINZA STADIUM TOUR 2030」(以下、本イベント)を開催しています。
本イベントは「もしも、2023年に銀座にサッカースタジアムを建設したら?」をコンセプトに、KDDIが想像する2030年のサッカー観戦——通信がスポーツ観戦に溶け込んだ未来社会を表現しました。仮想空間で臨場感あふれる未来の観戦体験が楽しめる「バーチャルスタジアム」をはじめ、指向性音源合成を取り入れた「AR観戦体験」、ユニフォームの「バーチャルフィッティング」など、KDDIの技術とアイデアが詰まったさまざまな体験が楽しめます。ここでは、イベントの楽しみ方や開発の裏側についてご紹介します。
● 未来の観戦&応援が楽しめる「バーチャルスタジアム」
さまざまな体験・展示の中でも最大の見どころが、B1Fに設けられた「バーチャルスタジアム」です。本イベントの企画・制作に携わってきたKDDI ブランドマネジメント部の米澤ちなつは「KDDIが想像する、未来のサッカー観戦への思いが盛り込まれた体験になっている」と語ります。
KDDI ブランドマネジメント部 つなぐデザイン室 米澤ちなつ
「バーチャルスタジアムは、オリジナルチーム『FC GINZA 456』の試合映像が周囲3面と床1面に映し出された、没入感あふれる空間となっています。中継でよく見る俯瞰の視点と、ピッチ上でプレーする選手たちと同じ視点、2つの目線から試合を観戦できます。さらに、体験されるお客さまが手振りのアクションをとることで、応援がエフェクトとして壁面の映像にリアルタイムで映し出され、選手たちに直接応援を届けることができます。力いっぱい応援をして盛り上がれば、実際にスタジアムに行ったかのような気持ちのいい疲労感を味わうことができます」(米澤)
開発にあたっては、『バーチャルスタジアムはどのような体験をできる場所なのか?』の定義を考え抜いたといいます。
「『未来の観戦体験=バーチャル・パブリックビューイングができる空間』と定義し、まるで試合中のグラウンドにいるような臨場感と、応援の熱量の共有ができる設計を目指しました。これまでは、選手と観戦しているお客さまの間には大きな隔たりがあるように感じていますが、未来ではその距離がどんどん近くなり、選手とファンがより一体化できると考えています。このバーチャルスタジアムでの体験を実際の試合に応用できるようになれば、いつ・どこにいても、誰もが応援しているチームや選手に自分の思いを届けることができるようになるかもしれません」(米澤)
B1F バーチャルスタジアム:体験イメージ
● サッカー日本代表とコラボレーション「入場ゲート・ロッカールーム」
本イベントでは、バーチャルスタジアムの他にも、さまざまな展示や体験を楽しむことができます。
まず、会場となる「GINZA 456」のエントランスをくぐると、サッカー日本代表選手のロッカールームを模した入場ゲートが広がっています。来場者の方には特典として、本イベント限定デザインのオリジナルスタジアムパスが配布されます。
日本代表ロッカールームを模した入場ゲート。公益財団法人日本サッカー協会の協力の下、実現することができた
本イベント限定のオリジナルスタジアムパスは、サッカー日本代表HOME / SAMURAI BLUE AWAY / NADESHIKO JAPAN AWAYの3種類を用意
● 向きや位置による音の違いを再現した「AR観戦」
入場ゲート・ロッカールームを通り抜けると、そこには2030年のスタジアム観客席が広がっています。1Fには3つの展示があり、そのうちの1つがKDDI総合研究所の立体音響技術である指向性音源合成を組み込んだ「AR観戦」です。研究・開発をリードしてきた、KDDI総合研究所 大久保翔太に話を聞いてみました。
1F AR観戦:体験イメージ
「この展示は、KDDI総合研究所が独自に開発した『指向性音源合成』という立体音響技術を使用しています。指向性音源合成とは、音の向きによって音色や音量が変わる体験を再現した技術です。これをAR(拡張現実)での観戦に組み込むことで、より没入感のある聴覚体験を実現しています。体験する際には、ぜひ顔の向きや位置を変えながら聴いてみてください。スタジアムの観客席からの歓声や声援など、聴こえてくる音がリアルタイムで変化するので、常に異なる聴こえ方を楽しむことができます」(大久保)
また大久保は、未来の観戦体験についてこう語ります。
「KDDI総合研究所では、映像の研究を主に、音響や触感などの感覚についても研究を進めています。例えば、映像で不足している部分を音で補ったり、聴こえていなかった音を触感によって錯覚させたりすることも可能になるはずです。このような技術によって、本来なら現地では聴こえなかった音や、見えなかった映像を提示し、現実を超えた没入体験を提供することが今後の目標です」(大久保)
KDDI総合研究所 大久保翔太
● オリジナルユニフォームを試着できる「バーチャルフィッティング」
1Fの2つ目の展示は、ユニフォームの「バーチャルフィッティング」です。ここでは、「GINZA STADIUM TOUR 2030」のイベントロゴが胸元にあしらわれた、GINZA 456オリジナルデザインのユニフォームを試着することができます。本展示の制作を担当した、KDDI Web3推進部の藤倉皓平は、この技術を「自分の身体という“リアル”に“バーチャル”の衣服を合成する技術」と表現します。
1F バーチャルフィッティング:体験イメージ
「バーチャルフィッティングなら、架空の衣装やまだ企画段階の衣料品でも、実物がなくても試着することができるため、資源の無駄を出さないサステナブルなエンタメ体験やマーケティングを実現することができます。会場であるGINZA 456の中を歩いていると、まるで魔法のように、ユニフォームがご自身に着せられていることに気付くでしょう。ユニフォームのデザインは変更することもできるので、お気に入りのデザインを見つけてみてください」(藤倉)
藤倉が未来の観戦体験を通して目指すのは、リアルとバーチャルを違和感なく“つなぐ”体験の提供です。
「将来的には、バーチャルであることの違和感はさらに少なくなり、日々のコーディネートや気になるアイテムの試着が、場所を選ばず行えるようになると信じています。そして衣服だけでなく、さまざまなものがバーチャルとして日常に溶け込むことで、枯渇する資源や資材の利用を最小限に抑えることが可能になります。その結果、人、企業、そして地球にも優しいサステナブルな世界が実現するはずです。サッカーの観戦体験においても、こうした未来を提供できることを目指しています」(藤倉)
KDDI 事業創造本部 Web推進部 藤倉皓平
● スマホゲームを通してチームを支える「ARギフティング」
1Fの3つ目の展示は、ARギフティングです。近年、エンタメ業界・スポーツ業界において、推しのアイドルやスポーツチームにギフトを送ることで応援できるサービスが、注目を集めています。
KDDIも、京都サンガF.C.と共同で、2024年3月2日に行われた「2024明治安田J1リーグ第2節湘南ベルマーレ戦」にて、ファンエンゲージメントサービス提供に向けた実証実験を行いました。
1F ARギフティング:体験イメージ
ここで使用されたのが、AR技術によってスタジアム上に現れたゴールに向けて、スワイプ操作でボールをシュートする、シューティングゲーム形式のサービスです。本展示では、このゲームを疑似体験することができます。
ゲームの最大の特徴は、チームに贈ったギフトに応じて、ゲーム内で使用できるボール(色によって得点数が異なる)を増やせること。実証実験が行われた試合では、ゲームの結果によって、選手のグッズや限定デジタルコンテンツなどの特典を受け取ることもできました。
今後、このようなサービスモデルが本格実装されれば、ファンやサポーターがより直接的な形でチームを支援できるはずです。
● お客さまとともに考える“未来のサッカー観戦”
バーチャルスタジアムがあるB1Fには、お客さま自身が“未来のサッカー観戦”のアイデアを発信できるコーナーも設けられています。GINZA 456では、2030年の社会に向けて、生活者の皆さまとより良い社会を共創していくことを目指しており、このコーナーはその第一歩となります。
未来のサッカー観戦への思いを収集
「体験後のお客さまにお声がけをすると、皆さんたくさんのアイデアを投稿してくださいます。11月中旬現在、イベント開始から3か月半ほど経っていますが、計1,000以上ものアイデアをいただきました。例えば、『自宅から現地に応援を届けたい』『選手と一緒にピッチを走りたい』『審判と何を話しているのか知りたい』……子どもたちからもどんどんアイデアが湧き上がってくるのを見て、この子たちの思いを叶える未来を形づくっていきたいなと感じます。ぜひ会場となるGINZA 456にお越しいただき、2030年の観戦を体感し、未来を考えるきっかけになれば、私たちもうれしく思います」(米澤)
KDDIはこれからも、「GINZA STADIUM TOUR 2030」をはじめとするさまざまな取り組みを通じて、KDDI VISION 2030で掲げている「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会」を目指してまいります。
※KDDIは、サッカー日本代表を応援しています。