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KDDIのグローバル通信プラットフォームが切り拓く、より安全で快適な近未来のクルマ社会「コネクティッドカー」

100年に一度の大変革期を迎えているとされる自動車業界。その変革の一つが、自動車に通信機能を持たせ、外部のさまざまなサービスと接続させる「コネクティッドカー」のサービス(以下、コネクティッドサービス)です。KDDIは現在、コネクティッドサービスを世界規模で展開している自動車メーカー各社に向けて「グローバル通信プラットフォーム」を提供しており、このプラットフォームを軸にしたコネクティッド事業に力を注いでいます。また、その事業のビジョンを世界に向けて発信すべく、2024年2月26日からの4日間、スペイン・バルセロナで開催される世界最大のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2024(以下、MWC 2024)」にも出展します。

KDDIのプラットフォームによって自動車の何がどう変わるのか。KDDIのコネクティッド事業をグローバルに推進するキーパーソンに話を聞きます。

● 世界83の国と地域をつなぐKDDIの「グローバル通信プラットフォーム」

KDDIの「グローバル通信プラットフォーム(以下、GCP)」は、自動車に搭載されている車載通信機とクラウド間の通信において、高品質で安定した通信をグローバルに提供するための基盤です。それは、自動車メーカー各社がコネクティッドサービスをグローバルに展開するための仕組みといえます。

岩永 祐一: Connecting Place Executive Vice President, KDDI America, Inc./ モビリティビジネスのグローバル事業責任者岩永 祐一: Connecting Place Executive Vice President, KDDI America, Inc./ モビリティビジネスのグローバル事業責任者

「KDDIは2019年からトヨタ自動車様をはじめとする日本の主要な自動車メーカー各社様に対して、コネクティッドサービスのためのモバイル通信の基盤を提供してきました。今日ではGCPを通じて83の国と地域に通信サービスを提供しています。」(KDDI America、岩永)

日本の自動車メーカー各社はすでに、GCPを土台にしながら、さまざまなコネクティッドサービスをドライバーに向けて提供しています。

ボー・リビング(Bo Ribbing): Senior Director & Head of IoT, KDDI Europe Ltd./ モビリティビジネスのパートナー戦略責任者ボー・リビング(Bo Ribbing): Senior Director & Head of IoT, KDDI Europe Ltd./ モビリティビジネスのパートナー戦略責任者

「例えば、事故の発生時に警察や病院、緊急サービスを自動で呼び出す仕組みや、車両の状態を遠隔から監視して確認できる機能は、コネクティッドサービスの典型的な例です。そうしたサービスのグローバル展開を、GCPによってサポートするのがKDDIの役割です。GCPは、車載通信機とクラウドとを高品質につなぐだけではなく、統合的な管理画面を通じて車ごとの通信状態をコントロールする機能なども提供しています。また今後は、自動車メーカー各社様と、新しいソリューションも共創していこうとしています」(KDDI Europe、Ribbing)

KDDIは、そうした共創の輪を広げることも視野に入れています。

「KDDIはこれまで、日本の自動車メーカーに向けた通信サービスの提供を中心にコネクティッド事業を推進してきました。今後は、海外の自動車メーカーに対してもGCPのサービスを提供し、GCPでカバーする国と地域をさらに広げていきたいと考えています」(KDDI America、Vaughn)

もっとも、GCPと同様のグローバルな通信サービスを提供する事業者は少なくありません。そうした事業者に対するGCPの強みはどこにあるのでしょうか。

ブライアン・ヴォーン(Brian Vaughn): Connecting Place Director, KDDI America, Inc./ モビリティビジネスのグローバル営業責任者ブライアン・ヴォーン(Brian Vaughn): Connecting Place Director, KDDI America, Inc./ モビリティビジネスのグローバル営業責任者

「KDDIの競合相手の多くは『ローミングソリューション』を軸にグローバルでの通信サービスを提供しています。それに対してKDDIでは、GCPを展開している各国の通信事業者と提携し、地域ごとに最適な通信サービスを提供することに力を注いでいます。通信事業者間で連携するローミングを使えば、グローバルの通信サービスを速やかに多くの国々に提供できますが、ローミング通信は、何らかのトラブルがあった際の原因究明や復旧に時間がかかるのが通常です。その結果、自動車メーカー各社様が提供するコネクティッドサービスの復旧にも時間を要してしまいます。自動車メーカー各社様が求める高い通信品質を提供するためには、現地の通信事業者と直接手を結び、両社の回線品質を担う部門が情報交換をしながら少しずつサービス品質を改善し、お客さまの求める通信品質で提供することが重要です」(Vaughn)

「実のところ、現地の通信事業者とパートナー契約を結び、通信サービスの対象エリアを広げていくのは簡単なことではありません。しかし、自動車メーカー各社様が求める高品質の通信サービスを長期にわたって提供していくためには、そのハードルを乗り越えていく必要があるのです」(岩永)

グローバル通信プラットフォームのサービス提供イメージグローバル通信プラットフォームのサービス提供イメージ

● 自動車に対する価値観の変化に適合する通信サービス

KDDIはこれまで、高品質な通信サービスをグローバルに提供することで自動車メーカー各社が各国で提供するコネクティッドサービスを支え、それを通じてクルマの安全性、利便性を高めていくことに力を注いできました。加えて、5G通信が普及し始めた今日では、コネクティッドサービスとして娯楽性に富んだ「インフォテインメント*1」系のサービスが求められるようになっています。そうしたサービスの発展・普及にも資する高品質の通信サービスを提供していく計画です。
*1:インフォメーション(情報)とエンターテインメント(娯楽)の語を組み合わせた造語

「自動車にインフォテインメント系サービスが必要とされ始めたことは、コネクティッドカーの潮流によって自動車が『スマートフォン化』していることの一つの現れです。つまり、今日の自動車はスマートフォンのようになり、各種の機能がソフトウェアで定義され、かつ、追加・更新できるようになっているということです。ゆえに、車外のネットワークに高品質に接続でき、インフォテインメント系サービスなどが快適に使えることが、自動車の重要な付加価値になっているのです」(Ribbing)

さらに、今日の若い世代は自動車での移動中においても、インターネットに接続し、SNSやストリーミングサービスを快適に使いたいと望んでいます。

「KDDIとしては、そうした若い世代のニーズや自動車に対する価値観の変化を見据えながら、それらに適合した機能、サービスの拡充を支援していきたいと考えています」(Ribbing)

このように、インフォテインメント系サービスなどの新たなコネクティッドサービスを支えていくうえでは、パートナーとの関係を強化することも重要であると、Vaughnは言います。

「コネクティッドサービスの新たな潮流に対応していくうえでは、全てをKDDIだけで取り組むのではなく、パートナーとの関係を強化することが大切です。その考えのもと、KDDIでは2021年に自動車用アプリのコンサルティング、開発で豊富な実績を有する米国Station Digital Media社に出資し、資本業務提携契約を結びました。このように社外のパートナーとの関係を強化し、その力を最大限に活用しながら、コネクティッド事業を拡大させていくことがKDDIの基本的な方針です。そして将来的には、自動車以外の移動手段にもコネクティッド事業の裾野を広げていく計画です」(Vaughn)

Station Digital Media社との提携によって実現されるKDDIのトータルソリューションのイメージStation Digital Media社との提携によって実現されるKDDIのトータルソリューションのイメージ

● 社会課題の解決に資する自動車社会の実現に向けて

自動車のコネクティッドサービスには社会課題の解決も期待されており、KDDIがGCPで大きく目指すところも、そこにあります。

「日本でいえば、物流・運送業界における2024年問題に代表されるように、業界を支えてきたドライバーの高齢化が深刻な問題になっています。また、日本の各地域では、公共交通機関のドライバーが減り、自治体がオンデマンドバスを運行するなどの動きも見られています。コネクティッドサービスは、そうした社会課題の解決に貢献し得る仕組みです。KDDIと自動車メーカー各社様が一体となって、少子高齢化や過疎化で他国に先行している日本の社会課題の解決に力を注げば、将来的に他国の社会課題の解決にも貢献できると期待しています」(岩永)

「コネクティッドサービスは、将来的な自動車の自律走行につながるものです。その実現によってドライバーの高齢化や労働力不足といった問題は抜本的に解決されるはずです。そして自動車の自律走行にはKDDIの5G技術が大きく貢献できると見ています。加えて、自動車の運転、運行を最適化、ないしは効率化し、CO2排出量を低減させる可能性もあるのです」(Ribbing)

なお、KDDIは初出展する「MWC 2024」でもGCPのビジョンを訴求していきます。

「MWC 2024では、『コネクティビティ』を展示領域のひとつと位置付け、KDDIが考える『2030年のコネクティビティが創る新たな可能性』を明確に示すことを主眼にしながら、GCPなどのコネクティッドソリューションで私たちが目指す世界を技術とビジネスの両面から提案・訴求します。それを通じてKDDIの技術力の高さをより多くの方に認知していただき、さまざまな自動車メーカー様、パートナー様との共創につなげていきたいと考えています」(岩永)

KDDIはこれからも、高品質な通信サービスをグローバルに提供しながら、「つなぐチカラ」を進化させパートナーとともにコネクティッド事業を拡大させていきます。