2023.11.30

TMIプライバシー&セキュリティコンサルティングが目指す変革とKDDIとの協業

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KDDIは2023年4月にTMIプライバシー&セキュリティコンサルティング株式会社(以下、TMI P&S)と業務協力覚書を締結し、企業や自治体のプライバシーガバナンス構築を共同で支援しています。

TMI P&Sは、TMI総合法律事務所のベンチャーキャピタルであるTMIベンチャーズ株式会社の100%出資子会社です。パーソナルデータの活用とサイバーセキュリティ分野に精通した弁護士を中心に2019年12月に設立されました。日本の個人情報保護法やGDPR(EU一般データ保護規則)、CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)などに関する知見を生かしながら、パーソナルデータの利活用を支えるシステムづくりや、データガバナンス(プライバシーガバナンス)/サイバーセキュリティ体制構築の支援、セキュリティインシデント対応の支援などのサービスを提供しています。

TMI総合法律事務所 パートナー弁護士 TMIプライバシー&セキュリティ株式会社 代表取締役 大井哲也さんTMI総合法律事務所 パートナー弁護士 TMIプライバシー&セキュリティ株式会社 代表取締役 大井哲也さん

「パーソナルデータの利活用と、データのガバナンス、あるいはセキュリティの確保は相反する概念ですが、これらの機能を併せ持っていなければ企業はデータ利活用のアクセルを思い切り踏み込めません。実際、膨大な数の顧客データを保持しているにもかかわらず、データの活用について『ここまではOK』、『それはNG』という線引きをしてくれる人がいないがゆえに、利活用が一向に進展しないといったケースが日本ではよく見受けられます。法令に関する知見と、パーソナルデータを利活用するためのシステムづくり、体制づくりのノウハウをもって、そうした現状を打破することが、TMI P&Sの目指すところです」

プライバシーガバナンスの実践者として見るKDDIの技術とノウハウ

KDDIとTMI P&Sによるプライバシーガバナンス構築の共同支援においては、KDDIが「KDDI IDマネージャー 同意管理機能(PPM:Privacy Policy Manager)」(以下 KDDI PPM)などのプライバシーガバナンスに必要とされる技術を提供し、TMI P&Sが「プライバシーガバナンスポリシー・宣言書の策定」や「プライバシーガバナンス体制の構築支援」「外部ガバナンスボード組織の構築支援」、「プライバシー影響評価(PIA)」などのサービスを提供するという体制が組まれています。

大井さんは、プライバシーガバナンス構築支援のパートナーとして、KDDIをこう評価します。

「KDDIさんの強みは、膨大な数の顧客データのガバナンスと利活用を実践してきた経験とノウハウ、技術力があることです。PPMの技術を提供できるIT企業は少なくありませんが、それをどう使うべきかを肌身で知るところは日本では稀有といえます。しかも、KDDIさんは技術や世の中の変化に対し積極的でスピード感があるので、一緒に取り組んでいてやりがいがあり、期待しています」

日本企業におけるデータ活用のレベルを世界水準へ

大井さんによれば、欧米諸国の企業に比べて、日本企業におけるパーソナルデータ、ないしは顧客データの利活用のレベルは低く、部門やグループ会社などを跨いだ顧客データの統合や一元管理が実現されていないなど、プライバシーガバナンスを構築する以前の状態で立ち止まっている企業も珍しくないといいます。

一方で、グローバルにビジネスを展開し、日本でも多くの顧客を擁する企業は、顧客データの統合化はもとより、世界共通のポリシーと体制のもとでプライバシーガバナンスを実践しています。

「日本の生活者の多くは、そうしたグローバルカンパニーのプライバシー保護のあり方やプライバシーガバナンスの仕組みにすでに慣れていて、同じような対応を日本企業に求めるようになっています。また、プライバシーガバナンスの体制とシステムが構築できていない企業は、世界的な信用を得ることができず、サービスのグローバル展開が図れないという問題にも直面しています。当社としては、KDDIさんの力を借りながら、日本企業のデータ統合やプライバシーガバナンス体制の早期確立を支援し、日本企業のデータ活用のレベルを世界水準へと押し上げていければと思っています」