2023.09.15

データがさらなる価値を生むための基盤「都市OS」

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都市のデータ基盤「都市OS」のメリット

リアルとバーチャルのかけ算によって加速する、スマートシティの取り組み。そのコアとなっている技術が「都市OS」です。「TAKANAWA GATEWAY CITY」プロジェクトにおいても、街と人に関するデータ分析は重要視しており、既存サービスのさらなるブラッシュアップや新たなサービス創造の源泉として位置付けています。

そもそも都市OSとはどのようなものなのでしょうか。KDDIの中嶋 優は次のように説明します。「都市(街)をハードウェアとして考えるとき、共通の基盤(オペレーティング・システム:OS)さえあれば、さまざまなサービスをスムーズに導入・横展開できます。OSの登場によってパソコンが爆発的に普及したように、都市OSを整備することで便利なサービスをあらゆる地域で利用できるようになります」

KDDI ソリューション事業本部 DX推進本部 スマートシティ推進室 PFデザイングループ グループリーダー 中嶋 優KDDI ソリューション事業本部 DX推進本部 スマートシティ推進室 PFデザイングループ グループリーダー 中嶋 優

スマートシティの取り組みは大都市だけに限るものではなく、むしろ地域格差の縮小に貢献できる可能性を秘めています。共通基盤としての都市OSがあれば、予算や人材に限りがある地域でも、都市部で実装された市民サービスを簡単に取り入れ、地域社会や住民へ提供できるようになるためです。分散型社会やデジタル田園都市国家構想などが提唱されている今だからこそ、スマートシティの基盤として都市OSが注目されています。

都市OSに乗せるアプリやサービスの連携が付加価値を生む

現代はさまざまなデータがあらゆるところに集められています。しかし、集まったそれらのデータをただ蓄積させていては宝の持ち腐れです。データ基盤を都市機能と市民生活につなぎ、サービスを連携させることで、はじめてデータの真価が発揮されます。例えば街角の防犯カメラは、犯罪抑止や事件・事故の捜査だけでなく、道路の混雑状況の把握にも使えます。カメラに映る人の個人情報を適切に保護しつつ、位置情報や属性情報だけを抽出すれば、マーケティングやサービス開発に資するデータとしての価値が生まれるでしょう。

「お客さまのデータをお預かりしている企業として、KDDIは安全なデータ管理と適切なデータ利用の経験を持っています。そして、データを用いた新サービスの開発・提供は、お客さまへさらなるメリットを還元できます。TAKANAWA GATEWAY CITYにおいても、KDDIのデータを活用し都市OSのデータと掛け合わせることによる、新しい価値の創出に取り組んでいます。こうした技術要素やトレンドを組み合わせ、社会のニーズに応える新サービスを自由な発想で開発することは、まさにKDDIの得意とするところです」

ポイントは外部のパートナーとの協働・共創にあります。JR東日本との取り組みも、まさに明日の日本を創るような大規模DXプロジェクトの1つです。100年続く、心が豊かになるまちづくりのために、JR東日本が「未来への実験場」と位置付けるTAKANAWA GATEWAY CITYにおいても、最先端技術を実践的に活用しながら試行錯誤しています。

「2025年3月のまちびらき(開業)に向けて、都市OSで稼働するロボットやアプリなど、付加価値の高いサービスの開発を進めています」と中嶋は意気込みを語ります。都市OSに乗るプラットフォームやサービス同士を連携させ、大きな相乗効果を生み出すことが、この取り組みでの目標なのです。