2023.4.28

「つくばスーパーサイエンスシティ構想」がめざす社会

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都市と郊外の二極化を解決したい

1960年代から筑波研究学園都市として開発が進み、1987年に3町1村が合併して誕生した茨城県つくば市。筑波大学やJAXA(宇宙航空研究開発機構)といった国の研究・教育機関をはじめ、多数の民間の研究機関・企業等が立地し、2万人に迫る研究者を有する日本最大の研究学園都市です。 

つくば市 政策イノベーション部 スマートシティ戦略課の中山秀之さんが、つくば市の課題について次のように話します。

つくば市 政策イノベーション部 スマートシティ戦略課 中山秀之さんつくば市 政策イノベーション部 スマートシティ戦略課 中山秀之さん

「1つは、つくば市の住民の方々と、研究学園都市として有している科学技術とが結びついていないということです。多くの研究機関が設置されていますが、学生や研究者以外の一般市民には、 “地場産業”とも言える科学技術による恩恵があまりありませんでした。
そしてもう1つの課題が、公共交通機関が充実しておらず都市と郊外の二極化が起きていることです。茨城県は北海道に次いで道路の延長距離が長く、なかでもつくば市は茨城県で最も長く、完全な車社会になっています」

「2005年につくばエクスプレスが敷設されてからは沿線の各駅周辺の都市化が進み、商業施設も充実して、若年層の市民が増加しました。一方で、古くから郊外地域に住む市民にとっては、買い物も病院も自動車で移動しなければならないという不便さがあります。今後、高齢化が進むにつれて、免許の返納で自動車が運転できなくなる人が増えるのも懸念されます。こうした課題を解決するために最先端のテクノロジーを活用するにしても、まずは住民の方々の理解がないとなかなか進められません」

そのほか、外国人の住民が増えていることや、60年前からの都市建設によりインフラが老朽化していることなども課題に挙げられていると中山さんは話します。

すべてを相談できるパートナーとしてKDDIに期待

先述した2つの課題を含め多様な都市の課題を解決すべく、つくば市が策定したのが「つくばスーパーサイエンスシティ構想」です。これは、つくば市にある大学や研究機関が有するテクノロジーを活用し、住民も一緒になって地域の課題解決を目指しながら未来感のある街づくりを行うというもので、行政、移動、物流、医療・介護、防犯・防災・インフラの5つの領域で先端サービスを実装を目指しています。この構想により、つくば市は内閣府の「スーパーシティ型国家戦略特別区域」に指定されました。

つくばスーパーサイエンスシティ構想によってめざす社会
① 移動の自由と健康な自立を人々へ提供し、安心して暮らせるために都市と郊外の二極化を是正する。
② 人生の各段階を支える行政サービスを人々へ提供し、信頼ある行政が支える多文化共生の社会を実現する。
③ 安全で持続可能な都市空間を人々へ提供し、活力ある都市力を向上させる。

その後、KDDIが提案した調査事業が内閣府によって採択され、つくば市とKDDIが一体となって先述した実証実験が行われました。

「これからの街づくりに通信技術は欠かせません。しかし、今回の取り組みにおいてKDDIは単に通信事業者というよりも、すべてを相談できる心強いパートナーだと捉えています。突拍子もないことを相談しても真剣に受け止めてくれて、適した解決策を探してくださり献身的に関わってくれました。この調査事業を成功させ、さらに今後もともに取り組んでいくことが、つくばスーパーサイエンスシティの完成につながると確信しています」