2023.2.13
どんなロボットも接続できるプラットフォーム
多様なロボットが接続されることを想定した柔軟性
ロボットプラットフォームの開発では、要件定義をKDDI総合研究所の花野博司が主に担当し、KDDIのグループ会社で、クラウド活用の分野で業界をリードするアイレット社の夜光智和さんのチームが開発と実装を進めています。
花野はロボットプラットフォームの技術的な概要を、次のように話します。
「室内などの閉じた空間であれば、ロボットは自律的に行動できますが、より広い空間を移動するとなるとロボット単体の機能を超えてしまいます。そのため、ロボットとサービス(配送・見回り・清掃など)とを仲介するプラットフォームが必要となるのです。例えば、サービス側からロボットに対して『A地点からB地点へ移動する』という指示が出たら、その移動途中にあるセキュリティゲートやエレベーターをどのように通過するかの計画を立て、実行を支援するのがプラットフォームの役割です」(花野)
ロボットは配送や清掃、巡回などの役割に応じて搭載されている機能が異なりますし、通信時のメッセージフォーマットもメーカーによって異なります。ロボットの機種による差異を吸収して、個々の具体的な動作を「抽象化」して取りまとめているのが、ロボットプラットフォームです。機種ごとの変換ロジックを備えることで、ROS対応のロボットならばKDDIが独自に開発した通信デバイスを差し込むことでロボットプラットフォームに接続できます。
大量のロボットが接続されることを想定してクラウドを活用
大量のロボットが稼働することを想定すると、ロボットの稼働場所や、配送、巡回、清掃といった用途を考慮しながら、活用範囲の拡大に応じて柔軟性と拡張性を併せもつサーバー環境が必要になります。そこで、パブリッククラウドのAWS(Amazon Web Services)のパワーと拡張性を活用しています。
アイレットの夜光さんは、開発で工夫した点や今後について次のように話します。
「将来的にどのようなロボットが接続されるか分からないため、柔軟性を意識して設計しています。この柔軟な対応力をいかに実現するかが、開発における難所でした。また、ロボットからの通信が0.2秒ごとという非常に高頻度であるため、処理速度も重要になってきます。さらに、今後は映像データの処理も必要となってくるでしょう。5Gの本格活用やMEC(マルチアクセス・エッジ・コンピューティング)といった技術を活用していくことも視野に入れています」(夜光さん)
「マンション購入の決め手が『便利なロボットがたくさん動いているから』となる日も、そう遠くはないはずです。ロボットの普及を早めるためにも、我々が開発するロボットプラットフォームが重要な役割を果たすと確信しています」(花野)