2023.1.19
アパレル商品の魅力をリアルに再現する「XRマネキン」の技術とユースケース
「XRマネキン」をさらに高精細にするクラウドレンダリング
KDDIの「XRマネキン」は、商品(衣服)訴求のXRコンテンツを作成するための仕組みです。「APEXFiz」などのデザインソフトを用いて企画・作成したバーチャルサンプルを使って、スマートフォンや店舗のデジタルサイネージ(デジタル看板)いった多様なデバイスを介し、商品を360度どの角度からも閲覧可能にします。
このXRマネキンでバーチャルサンプルを更に高精細に表示できるようにするのが、Google Cloud*¹の3D・XRコンテンツ配信のサービス「Immersive Stream for XR」を活用したクラウドレンダリングの仕組みです。レンダリングとは、3Dデータを画像化する処理のことですが、高精細に表示しようとするとポリゴン数や生地テクスチャのサイズが増え、データサイズが非常に大きくなるため処理が重くなり、スマートフォンや店舗のデジタルサイネージといったデバイスで行うことは性能的に困難でした。処理速度を上げるためにデータの軽量化をするにも、モデル1体あたり約3時間という膨大な作業時間がかかっていました。
このレンダリングの処理をGoogle Cloud上で集中的に行い、XRコンテンツを、ストリーミング配信することで、スマートフォンなどのモバイルデバイスやデジタルサイネージで表示・再生できるようになりました。この仕組みによって、従来のXRコンテンツ制作では大きな労力がかかっていた「データ軽量化」の作業をすることなく、高精細の3DモデルをXRで配信することができるようになります。
*¹:Google Cloud は Google LLC の商標です。
XRマネキンの多彩なユースケース
XRマネキンでは、APEXFizなどのデザインソフトから取り込んだバーチャルサンプル(3Dデータ・画像データ)を使い、さまざまなXRコンテンツの提供を可能とします。XRマネキン for APEXFizで実現されているコンテンツについて改めてご紹介します。
【すぐに導入いただけるユースケース】
① デジタルカタログ
MasterVisions株式会社が提供している「自由視点映像」の配信プラットフォームを活用したXRコンテンツにおいて、APEXFizで作成した高精細なバーチャルサンプルを使用してデジタルカタログを制作できます。商品の実物に触れずとも、その商品の色合い、質感、着心地などを感じとることも可能です。デジタルカタログはECサイトや決済システムと連携させることができ、販売促進ツールとしての運用も行えます。
② 360度VRショールーム
「au XR Door」のWEB版を活用し、VR空間で360度見られるように展示できます。
③ 店舗のデジタル拡張
スマートフォンを店舗内でかざすと、カメラが風景を認識し、特定の場所にコンテンツや情報を表示させるAR機能。この機能は店舗のデジタル拡張に応用できます。
【今後展開予定のユースケース (開発中)】
④ スマートグラスによるバーチャル展示
KDDIがNreal社と共同開発したスマートグラス「NrealLight」を活用したバーチャル展示。NrealLightをかけると目の前の光景にバーチャルサンプルが立体的に投影され、360度から回り込んで見ることができます。
⑤ バーチャルヒューマンを活用した製品PR・店舗活性化
「au VISION STUDIO」が企画・開発したバーチャルヒューマン「coh」にバーチャルサンプルを着せたXRマネキンを製品PRや店舗活性化につなげることができます。
こうしたXRマネキン for APEXFizで実現できるXRコンテンツが、これまでになかった新しいショッピング体験、顧客体験を可能にしていきます。