2023.3.17

快適な5G通信のために繰り返し駅へ足を運ぶ

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5Gエリア化、駅施設ならではの工夫

鉄道の駅施設をはじめ、イベントホールやスタジアムなどの屋内における5Gエリア設計、システム構成などを検討し、鉄道会社などのパートナー企業への実施依頼を行っているのがKDDIエンジニアリングの屋内センターチームです。

「駅施設の場合、必ずしも理想的な場所に無線機やアンテナが設置できるわけではありません。列車運行の安全性を第一に考える必要があるからです。また柱や天井といった構造物による制限も多いのです」と話すのは、KDDIエンジニアリング モバイルプロセス本部 屋内センター長 永田栄二です。

KDDIエンジニアリング株式会社 モバイルプロセス本部 屋内センター長 永田栄二KDDIエンジニアリング株式会社 モバイルプロセス本部 屋内センター長 永田栄二

屋内センターで設計を担当する嶋田直樹も、駅での5Gエリア化の難しさを次のように話します。

「駅構内の5G化では、限定された場所での最適な設計が必要になるため、アンテナの全体配置、無線機からのケーブル長、電波の強さ、方向、角度など、さまざまな要素について検討しなければなりません。逆に言えば、こうしたことを総合的に判断するためにはインドア設計のノウハウや経験が生きてくるので、設計者としては一番おもしろく、腕の見せどころでもあります。設計にあたっては、設置する駅に何度も足を運んで屋内の構造を観察し、人の流れや滞留の様子も確認して最良の設計ができるよう努力しています」

KDDIエンジニアリング株式会社 建設事業本部 モバイルプロセス本部 屋内センター 屋内設計グループ 嶋田直樹KDDIエンジニアリング株式会社 建設事業本部 モバイルプロセス本部 屋内センター 屋内設計グループ 嶋田直樹

東京駅のように利用客数が非常に多い駅の場合には、お客さまにストレスのない通信サービスを提供するため、数多くの基地局やアンテナをホームやコンコースに設置する必要があります。

「しかし、単純に数多く設置すればよいというわけではありません。数多くの基地局の電波が飛び交うことで、電波干渉が生じ、品質が劣化する要因となるからです。また5Gでは、衛星通信事業者の地球局への干渉量を協議する必要もあるため、免許申請前のステップで時間を要してしまうこともあります」(嶋田)

衛星通信との干渉衛星通信との干渉

駅を何度も訪れ最新の状況を確認

利用客の多いターミナル駅ならではの苦労もあります。

「5G通信のパフォーマンスを可能な限り発揮するために、アンテナからの出力レベルが最適となるように設計、配置していますが、なにぶん改修が多いのが駅施設です。いつの間にか把握していなかった構造物ができていたり、ほかの工事のためにアンテナが外されていたりするといった想定外のことが起こることもあります」(永田)

「鉄道や駅施設を利用するお客さまの数は、時間帯や曜日、近隣施設でのイベントの有無などでも大きく変化します。お客さまの数が少ないときでも多いときでも、快適な通信を行うような設計の工夫も必要になります」(嶋田)

そうしたことのないよう永田や嶋田は、駅の利用状況を確認するために5G化を進めている駅へ何度も足を運び、どんな変化が起きているか、どんな問題が生じているのかを自身の目で観察して修正を施していきます。ある種の職人的スキルが駅における5Gエリア化を支えているのです。

「今後お客さまは、『5G通信できることが当然』という感覚になっていくはずです。そのためにもより良い品質の5Gエリア構築ができるよう、お客さまに寄り添ったエリアづくりを進めていきたいと思っています」(嶋田)

「『○○駅で5Gがつながった!』といったお客さまの声をSNSで見つけると、自分たちの努力が実ったという気持ちになります。自分自身が駅で5G通信しているときも達成感を感じますね」(永田)